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2014年6月25日水曜日

「FIFAワールドカップ2014」における日本の「惨敗」-「個」の力がまだまだ弱く「組織力」に統合されていないのが日本の現実

(日刊ゲンダイ 2014年6月25日号の一面)

ニッポン惨敗。
残念だ。悔しい。

一次リーグで一勝もできなかった日本代表。最後はコロンビアに 4-1 でぼろ負け。

たしかに日本代表はベストは尽くしたが、世界との実力差はいかんともしがたい。

技術力はそれなりにある。パス回しのうまさは見ていても美しい。

だが、「個」の力がまだまだ弱いここぞというときの「突破力」が足りない。

たとえ「個」の力を発揮できる選手がいても、それが日本代表チームという「組織」のなかで発揮されていない

「個」の力が「組織力」に統合されていないのが日本の現実だ。優秀な「個」がいても、「組織」として弱い日本企業にも似ている。

ヨーロッパのプロリーグで世界中からきた選手たちにもまれて鍛えられている選手たちも、日本語だけでプレイできる環境のなかで「甘え」が生じていたのではないか?

そもそも日本のファンが選手に優しすぎる。優しいのは悪いことではないが、優しさが甘さになってしまうのは論外だ。スポイルしてしまうからだ。今回の残念な結果に対しては苦言を呈すべきだ。

だが、これくらいに「惨敗」、いや「ぼろ負け」すると、抜本的な改革も進めやすいだろう。その意味では、「惜敗」などという中途半端な結果ではなくてよかったのかもしれない。甘えを断ち切ることが可能になるからだ。

まずは「現実」を見つめること、「事実」を「事実」として受け止めること。

選手たちにとっても、ファンにとっても残酷な「事実」だが、これを避けていては「次のステージ」には進めない。


(今回の参加32国の分布 wikipediaより)


負けて知る悔しさ負けてみてはじめてわかる世界の現実。負けてみてはじめてわかる根本的欠陥

深刻に、いや真剣に受け止める必要がある。否定しようのない「事実」を受け止めるのは「勇気」である。

かつて日本代表監督を務めながらも病に倒れたイビチャ・オシムはこう言っている。出典は『オシムの言葉』から。

夢ばかり見て後で現実に打ちのめされるより、現実を見据え、現実を徐々に良くしていくことを考えるべきだろう。

そう、厳しく「現実」を認識したうえで、ただしい方法論にもとづいて地道に改造していく以外にほかに道はない。「夢ばかり見て後で現実に打ちのめされ」たのが今回の結果である。ビッグマウスで目標を公言するだけでは、結果はついてこない。

ここで、ちょっと極端なことを考えてみるのも必要かもしれない。

たとえば、いっそのこと日本代表チームでは日本語を禁止してしまう、とか。

かならずしもロジックを重視しない日本語を使用していると、どうしても「なあなあ」になってしまう傾向があり、ロジカルなコミュニケーションが徹底できない恐れがあるからだ。日本人が日本語を使用するときは、どうしても「甘え」が発生しがちである。

「サッカーには国民性がもろに出る」と言われるが、国民性の根本にあるのは言語である。日本国民の場合は日本語である。

ヨーロッパで活躍する選手たちは、そのチームが所在する国の現地語を学んでコミュニケーションを行っている。特殊言語の場合は、少なくとも英語でチームメートやコーチとコミュニケーションを行う。局面転換の早いサッカーでは不可欠なことだ。

野球のようなスポーツの場合、たとえアメリカでプレイしても英語は必須要件ではない。だが、サッカーのようなチームスポーツにおいては、選手同士のコミュニケーションが欠かせない。野球との大きな違いである。

サッカーの日本代表選手もヨーロッパのチームでプレイしているときは英語など西洋語を使用しているが、日本代表チームでは使用言語は日本語となる。ここに「甘え」が発生する余地があるのではないか?

わたしが思うに、日本代表チームが抱える問題は、たんにフィジカルの問題ではないマインドセットの問題でもあるが、プレイ以外のスキルも関わってくる。

たしかにサッカー先進国ヨーロッパの選手たちにくらべると体格面では劣ることは事実である。だが、ヨーロッパのプロリーグで活躍している日本人選手を見ていると、かならずしもサッカー選手として劣っているわけではないことがわかる。

かねてから言われているが、「言語技術」の問題ではないか? ロジカルなサッカーができていないのではないか? これは自分で考えて自分で実行するための基礎の基礎である。

もちろん、共感力や共鳴力、共振力といってものが、日本人のアドバンテージであることはゲームをみていればよくわかることだ。これは今後も大いに活かしていく必要がある。

パス回しのうまさは、自律性のある選手どうしで「息が合わせる」ことができるからこそ可能になっている。チャンスをつくることもできている。

だが、誰かがカウンター攻撃で、ドリブルで突破するということをチームという「組織」の了解事項としておくことも必要だろう。必要なのは点を取るという気迫と突破力である。そしてそれをアシストする体制でもある。不必要にパス回しにこだわって、決定的なチャンスに突破力が発揮できていないのではナンセンスだ。

「個」の強さと「組織」においての協調性、この両立はまさに「個と組織」においての最大テーマである。まだまだサッカー先進国ヨーロッパに学ぶべきものは多い。

ゼロから出直しだ。原点回帰が必要だ。一人一人が自立して自律できるリーダーになる必要がある。強いオーナーシップ(=当事者意識)が必要だ。強いリーダーにおんぶにだっこではいけない。

この課題は、企業組織においてもまた同じである。サッカー日本代表の大改造から学ぶべきものは多いはずだ。今後4年間、注視していくべきである。

以上、議論としては生煮えではあるが、現時点での所感をつづってみた。「敗戦」というチャンスで覚醒し、かならずや次への思考とアクションにつなげていきたいものである。前向きに!








<関連記事>

米陸軍初の日本人教官が伝授、スーパーエリートの育て方  米陸軍士官学校にみるリーダー教育と日米の未来 (日経ビジネスオンライン、2014年6月25日)
・・サッカーでも企業組織でもないが、自分で考え自分で実行する強い「個」を前提とした米軍組織のリーダーシップ教育に学ぶべきものは多い。日本人の強みを活かし、かつ弱点を克服するために



PS 準決勝に進んだブラジルが対戦相手のドイツに 7-1 で大敗

惨敗というべきだろう。いや殺戮というべきか。準々決勝でネイマールを骨折負傷のため欠き、ディフェンスの要のキャプテンを警告の累積で欠き、万全の体勢ではなかったとはいえ、あまりにも無惨すぎる負け方。見るに忍びない試合であった。開催地のホームで敗退するという「悲劇」、ブラジルはまた繰り返してしまった。だからといって日本とブラジルを一緒くたにしてはいけない (2014年7月9日 記す)。


PS 2014FIFAワールドカップ ブラジル大会の決勝戦にみるドイツの強さ

決勝戦のドイツ対アルゼンチンは延長戦の後半でドイツが1点先取して優勝。ドイツにはアルゼンチンのメッシのようなスーパー選手はいなくても、組織力の高さで今回の代表チームのなあkではピカイチであったことが証明された。だが、「組織力」とはいっても日本とは段違いである。ドイツは個々の選手の技量も士気も高く、あくまでも「個を基盤とした組織力」である点が強く印象に残った。現在ドイツのプロリーグででプレイする日本人選手も多いこともあり、日本に求められているのは、ふたたびドイツを模範にすべきではないかとも思うのだが・・ (2014年7月14日 記す)



<ブログ内関連記事>

Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)

コトバのチカラ-『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える-』(木村元彦、集英社インターナショナル、2005)より

書評 『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(田嶋幸三、光文社新書、2007)-「論理力」と「言語力」こそ、いま最も日本人に必要なスキル

梅棹忠夫の「日本語論」をよむ (2) - 『日本語の将来-ローマ字表記で国際化を-』(NHKブックス、2004)

What if ~ ? から始まる論理的思考の「型」を身につけ、そして自分なりの「型」をつくること-『慧眼-問題を解決する思考-』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2010)


「個」と「組織」

「サッカー日本代表チーム」を「プロジェクト・チーム」として考えてみる

日体大の『集団行動』は、「自律型個人」と「自律型組織」のインタラクティブな関係を教えてくれる好例

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ

書評 『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダン・セノール & シャウル・シンゲル、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012)-イノベーションが生み出される風土とは?
・・「日本人からすると、議論が何よりも好きで、アクの強さではインド人以上に辟易するであろうイスラエル人ですが、「自分で考え、自分で行動する」究極のイノベーターの姿がそこにあるといってよいでしょう。こと議論するという点になると、たとえ軍隊内であろうと上下は関係ないという組織風土こそ、究極の「水平社会イスラエル」を象徴するもの」 とことん徹底的に議論するからこそ、最終的な結論がでたときには意志統一がされているのである。アメリカ人も驚くイスラエル人から学ぶべきものはそれだ

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる
・・「(フラットな組織である)オーケストラにおいては、個々の演奏者が、いかに他の演奏者とのハーモニーをつくり出すことができるかということであり、別の表現をつかえば、いかにチームワークを作りあげるかということになる。「もともと日本には、教会の響きのなかで賛美歌を歌いながらハーモニー(調和・和声)を創っていくという習慣がない。そのため、お互いの音を聴き合ってハーモニーを創っていくという意識が、どうしても低くなっているようにみえる」(P.157~158)」 日本と西欧との大きな違い






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2014年6月12日木曜日

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」の仕組みを確立した本人が解説


「アメーバ経営とは京セラ創業者の稲盛和夫名誉会長がつくり出した、経営哲学をベースにしたトータルな経営管理システムです」。これは、京セラ自身による「アメーバ経営」の定義です。

この簡潔な定義に「アメーバ経営」のエッセンスが見事に表現されているといっていいでしょう。すなわち「経営哲学」と「経営管理システム」の2つです。本書では随所で、この哲学(あるいは理念)と仕組みの2つが両輪となって、はじめて「アメーバ経営」が意味をもつことが強調されています。

「アメーバ」とは5人から10人くらいの小集団のこと。このアメーバを一単位として、あたかも会社のように採算意識をもって自主的に自律的に活動し、その他のアメーバとともに日々協同していけば、おのずから全社目標も達成されていくという経営システムです。

全社の数値目標が、末端の小集団までブレイクダウンされ、しかもすべてが連動しているので実現が可能となるわけです。経営数字が全社の従業員にオープンになっているという点も大きな意味をもっています。

経営者であれば、経営目標達成のための最適な経営手法は気になるものです。どうやったら売り上げを上げることができるか、どうやったら利益を上げることができるか、そのためにはどうやったら従業員のやる気を引き出すことができるのか。

そういう観点から、「失われた20年」の日本では、いわゆる「成果主義」システムが大流行したことがありました。ところが多くの会社では成果主義はうまく機能しなかったようです。

わたしは「成果主義」そのものが悪いとは考えていません。企業はそれぞれ考えもバックグラウンドも違いますし、業種業態によっても大きな違いがあるからです。成果主義がうまく機能している会社もあれば、そうでない会社もあります。

とはいえ、実際問題として、成果主義がうまく機能しなかった日本企業が多いことはたしかなことですし、一方ではアメーバ経営を導入して成功している会社が多いことも否定できません。

さらに、成果主義で破竹の勢いで快進撃していたといわれる中国企業においてすら、成果主義が機能不全に陥っているケースがすくなくないという事実には興味深いものを感じます。本書でもそういった中国企業の事例について取り上げられています。

こういった事実からわかるのは、すべての従業員がスーパースターになって稼ぎまくることができるわけがないし、そうなる必要もないということです。成果主義の前提が成り立たないケースが多いという事実です。

わたしは、本書を読みながら、「アメーバ経営」とは、一握りのスーパースターに依存するのではなく、「ごくごくフツーの平凡な人たちから自発性と自律性を引き出し、そのパワーを結集して非凡な組織をつくりあげるものだ」と思いました。わたしならこんな定義をしてみたくなります。


「全員経営」をたんなるスローガンにしない「仕組み×理念」

本書のタイトルに注目してみましょう。『全員で稼ぐ組織』とありますね。

「全員で」まではよくあるフレーズですが、「稼ぐ」という点が大事です。企業組織である以上、適正利益をあげてサステイナブルに存続し続けることが顧客にとっても、従業員にとっても、その他ステークホールダー全体にとっても重要です。

「全員経営」をスローガンやかけ声倒れに終わらせない仕組みがアメーバ経営にあるわけです。

付加価値をベースに考えること、しかもすべて金額ベースで考えること。管理会計の仕組みとしてここまでは考える人も少なくないと思いますが、時間意識を導入していることもきわめて大きな意味をもっています。同じ仕事をするにも、どれだけの時間(工数)がかかったかがわかれば、生産性向上についての意識が向かうからです。しかも数字ですべてが表現されるわけです。

さらにいえば、細かい話ですが、付加価値の計算に人件費を加えない(!)という点に、アメーバ経営がじつに非凡な経営管理システムであることを感じさせます。詳しくは本書を読んで確認していただきたいと思います。

しかし、いくら仕組みがしっかりしていても経営システムがうまく回るわけではありません。ここで暴騰に引用した定義に戻るわけです。「経営管理システム」は、「経営哲学」と両輪になることによって、はじめてうまく機能するのです。

小集団と小集団のあいだに発生するコンフリクト(葛藤)を最小限にするために、稲盛哲学の根底にある「利他の精神」という理念が生きてくるわけです。ビジネス関係者は、「制度に魂を入れる」という表現をよくつかいますが、まさに理念こそ魂」なのです。しかも生きた理念であってこそ、経営システムが生きてくるわけです。

「人生・仕事の結果」とは「考え方×熱意×能力」だという稲盛氏の「人生の方程式」が本書にも出てきます。これは「個」の心構えを説いたものですが、アメーバ経営を自薦する会社では、自分たちで立てた目標数字を達成するために、ゲーム感覚さえ感じている小集団もあるようです。

スーパースターではなく、ごくごくフツーの人たちのやる気を引き出している点に、仕組みと理念が混在一体化した姿を見ることができるのではないでしょうか。


JAL再生の舞台裏のストーリー

本書の副題には『JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書』とあります。「アメーバ経営」については、聞きかじりで名前くらいは知っていても、「JAL再生」という事実がなければ、これほど注目が集まることもなかったのではないでしょうか。

わたしにとっても、「JAL再生」について、「アメーバ経営」の仕組みつくりを行い伝道師として活動した著者自身が語るのを読むのはじつに興味深いものがありました。

とくにアメーバ経営の「部門別採算制度」をもとにした「組織再設計」のくだりはさらっと書かれていますが、じつに理にかなった組織改革が行われていることがわかります。ポイントは採算部門を明確にし、サポート部門の役割を明確にすることにあるわけですが、この点は熟読する価値があるといえます。

JALのような歴史ある大企業で、しかもアメーバ経営が得意としてきた中小製造業でなくサービス業においても応用可能なことが実証されたことは、本書の出版元である日経BP社が取り上げていることからもわかるように、日本のビジネスパーソンの多くの目を開いたことでしょう。

世の中には数々の経営手法がありますが、アメーバ経営がそれらと一線を画すのは、導入することにより意思決定の仕組みや組織、事業の構造だけでなく、目に見えない企業文化や働く人々の人生観、価値観までが変わっていくところにあります。

「はじめに」から引用しましたが、これが自画自賛ではないことが、本書を通読すれば納得されるのではないかと思います。

「経営哲学」と「経営管理システム」が両輪としてかけ算となった「アメーバ経営」は、先にふれたように中国企業にも導入が始まっているだけでなく、世界に広がりつつあるようです。

バブル崩壊後、自信を喪失した日本企業は20年以上にわたって先進的なアメリカの経営手法の導入にチャレンジしてきましたが、そろそろ「日本発の経営管理システム」に注目すべきときがきているのかもしれません。

かつて戦前の日本には、GE(=ゼネラル・エレクトリック)と同時代に独自の考えから「事業部制」を導入した松下幸之助がいましたし、戦後の日本にも、アメリカから学んだ統計的生産管理手法を独自の思考によって、ジャストインタイムという哲学にまで鍛え上げ、世界的な経営手法に育て上げたトヨタの大野耐一による「カンバン」システムなどもあります。

稲盛和夫氏が考案し実践してきた「アメーバ経営」もまた、そうなっていくのかもしれません。もちろんシステムである以上、実際に導入して機能させるには、そうとうな覚悟が必要であることは言うまでもありませんが。

稲盛氏のもとでアメーバ経営の仕組みと情報システムの確立・推進を担当し、現在は伝道師としてその普及活動を推進している著者による本書は、構成がしっかりした、じつに読みやすい「教科書」です。

経営者だけでなく、ぜひ多くのビジネスパーソンの皆さまに一読をお勧めししたいと思います。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。





目 次 

はじめに
第1章 アメーバ経営とはどんな経営手法なのか?
 社員全員が経営に携わるために
 あなたの会社では、誰が利益を生み出しているのか
 社内売買によりアメーバの独立採算管理を実現
 管理会計と財務会計の関係
 論語とそろばんは一致しなければならない
 一対一の対応でダブルチェック
 創業3年目に突き当たった壁
 全員経営を生み出す時間当り採算
 世界中から注目を集めwるアメーバ経営
 アメーバ経営導入のメリット
 アメーバ経営導入の基本的な考え方
 アメーバに「収入」と「支出」の責任を持たせる
 社内売買価格はマーケットプライスをもとに決まる
 サービス業にも社内売買の考えを適用
 マスタープランは必達目標
 会議では数字の確認にとどまらず本人の決意を聞く
 アメーバ組織運営の心得とは
 アメーバ経営を支える「フィロソフィ教育」
 リーダーとしてのあるべき姿
第2章 JAL再生
 JAL再建を打診される
 仕組みだけではなく魂を入れる
 私がJALに着任して感じたこと
 まずは社員の意識改革から着手
 京セラ流コンパで社内を一つに
 経営理念の刷新とJALフィロソフィの誕生
 更生計画を着実に実行する
 稲盛さんを激怒させた会議での発言
 意識が変わると、現場が変わる
 年間で800億円のコスト削減に成功
 部門別採算制度導入のための組織改革に着手
 利益責任を一手に負う新部署を創設
 1便ごとのコストと各サービスの単価を設定
 予約状況を見ながら最適な機材に変更
 パイロットも航路の工夫で燃費を追求
 アメーバ経営が本領を発揮した東日本大震災
 関連会社は本体依存から脱却
 アメーバ経営で生きている会社になった
第3章 導入事例に学ぶアメーバ経営
  ●ケーススタディ01 荻野工業-筋肉質の経営体質でリーマン・ショックを乗り切る
第4章 アメーバ経営は業界の枠を超える
 患者増でも経営環境は厳しくなる医療業界
 赤字病院に導入、1年目から黒字化に成功
  ●ケーススタディ02 社会医療法人天神会-職種の壁を越え、医療の質と採算を両立
 介護業界でも導入企業が増加中
  ●ケーススタディ03 ケアサービス-デイサービスで驚異的な稼働率98.4%を実現
第5章 世界に広がるアメーバ経営
 7社の中国企業がアメーバ経営を導入
 成果主義は企業を壊していく
 中国のスーパーマーケットにJAL方式導入
 リーダーシップを発揮しやすくする「人柄のよさ」
 アジアを中心に世界へ
おわりに
謝辞
付録① 早わかりアメーバ経営
付録② アメーバ用語集



著者プロフィール
  
森田直行(もりた・なおゆき)
KCCSマネジメントコンサルティング(KCMC)会長。1942年、福岡県生まれ。鹿児島大学卒業後、1967年、京都セラミック(現・京セラ)に入社。アメーバ経営の仕組みと情報システムの確立・推進を担当。1995年、社内ベンチャーとして始めた事業をベースに京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)を設立、社長に就任(現相談役)。2006年、京セラ代表取締役副会長。2010年、経営破綻したJALグループの再建に参画、副社長として稲盛和夫京セラ名誉会長とともに部門別採算制度の導入による経営改革を実行し、再建に貢献した。2012年、中国に京瓷阿美巴管理顧問(上海)有限公司を設立し、董事長に就任。アメーバ経営の伝道に日々心血を注いでいる。






<関連サイト>

勝算なき戦いの始まり-JALを再生させた「アメーバ経営」(その1) (森田直行、日経ビジネスオンライン、2014年5月29日)
・・「JAL再生の原動力になった「アメーバ経営」は、もともと京セラの経営手法なので製造業のイメージが強いのですが、実は、導入企業の業種はバラエティに富んでおり、数年では医療・介護といった業界でも導入が進んでいるなど、あらゆる業種で活用が可能です。このコラムでは、JALの経営改革がどのように行われたのかをあらためて振り返りつつ、「フィロソフィ」と「アメーバ経営」の要点を紹介します。」

売り上げ未達、されど経費は予算通りの矛盾 JALを再生させた「アメーバ経営」(その2) (森田直行、、日経ビジネスオンライン、2014年6月5日)

稲盛さんを激怒させた会議での発言 JALを再生させた「アメーバ経営」(その3) (森田直行、日経ビジネスオンライン、2014年6月12日)

勝ち負けがすぐわかる、だから工夫が始まる JALを再生させた「アメーバ経営」(その4) (森田直行、日経ビジネスオンライン、2014年6月19日)

書籍『全員で稼ぐ組織』が紀伊國屋書店新宿本店、丸善丸の内本店、丸善日本橋店で売り上げランキング1位を獲得(京セラ公式サイト、2014年6月10日)

京セラ、不思議な会社の深層競争力は「アメーバ経営」を支える倫理と論理の両輪文 (Business Journal、2014年8月6日)

"新・経営の神様" 稲盛和夫が明かす「日本企業、大復活のカギ」 日本を「幸せに導く」方法とは(現代ビジネス、2016年8月24日)

(2016年8月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

稲盛和夫氏と「稲盛哲学」関連

「稲盛哲学」 は 「拝金社会主義中国」を変えることができるか?
・・中国では民間企業の経営者のあいだだけではなく、一般読者にも浸透しつつある稲盛和夫氏の教え

書評 『「利他」-人は人のために生きる-』(瀬戸内寂聴・稲盛和夫、小学館文庫、2014 単行本 2012)-智慧に充ち満ちた二人のエルダーによる対談型法話
・・「「第5章 人はなぜ「働く」のか-誰かのために尽くすことが心を高める-(利他の実践)」では、JALの再建が「意識改革」によって実現し、持続可能なものとなっていること、稲盛氏の考えが提携先のアメリカン航空(AA)にも伝播していることが、稲盛氏自身の肉声によって語られている」

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる ・・経済記者が書いたJAL再建についてのドキュメント

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集


稲盛和夫氏の「経営哲学」を実践する経営者たち

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ
・・稲盛フィロソフィー信奉者によるアメリカでの経営実践の最新報告

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・稲盛和夫氏の弟子である経営者の最新の挑戦の中間報告書


フツーの人の自発性と自律性を引き出す仕組み

日体大の『集団行動』は、「自律型個人」と「自律型組織」のインタラクティブな関係を教えてくれる好例

PDCA (きょうのコトバ)






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2014年6月9日月曜日

書評 『スーパー速書きメソッド』(石田章洋、 マイナビ新書、2014)-ビジネスパーソンに不可欠な文書コミュニケーション術


文書を作成するのに時間がかかる、書くのが得意ではないのでついつい億劫になりがちだ・・・。

ビジネスパーソンである以上、そんなことは言ってられません。著者の言うとおり、かつてよりはるかに文章を書く機会が増えているからです。わたし自身は文章を書くことを職業にしてきたわけではありませんが、著者の言うことには全面的に同感です。

しかも、口頭のコミュニケーションとは違って、文書のコミュニケーションは、いったん送付や提出してしまったものは修正が難しいという問題があります。メールの文章がまさにその典型ですね。文言だけでなく、数字もまたエビデンス(=証拠)として残ってしまうからです。

だからこそ、ビジネス文書作成にあたっては、構成がしっかりとしていて簡潔明瞭、理路整然であることが求められるのです。

本書は、いまを生きるビジネスパーソン向けの文章作成術です。ビジネスパーソンは 文章の専門家ではないので、100点とる必要はないのです。言うべきことが誤解なく伝わること、これができていれば十分に合格です。

もちろん、ビジネスパーソンだけではありません。なんらかの形で仕事についている人に必要な文章を書くためのメソッドが、きわめて簡潔に過不足なくまとめられています。

短文の作成方法から始まって、定型的なビジネス文章作成の方法論を説明し、最終的にはレポートなどの長文の作成術までカバーしているという用意周到な構成。文章作成レベルが高いと思っている人も、最初から「自分チェック」の意味で読むと得るものがかならずあるはずです。

ビジネス文書作成は、たんなる文書作成とは違います。ビジネス文書がコミュニケーションである以上、さまざまなビジネスシーンにおいて、つぎのアクションにつながるものなくては効果的だとはいえません。意味が明瞭でも、読んでもらう相手のことを考慮に入れておかねばなりません。

その点、本書は説得力のある内容といってよいでしょう。著者は文章作成のプロフィールというだけでなく、仕事人として組織の内外で企画を通してきたプロだからです。

わたし自身、ふだんは無意識に実践していることを、かゆいとこまで明確に文字にして整理していただいたという感想です。当たり前のことを論理的に説明するというのは、意外と難しいものだからです。

その意味では、部下の文章作成を指導する立場にある上司の方々にもお勧めしたい一冊です。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。





目 次

はじめに
第1章 一文を速く書き、伝わる文にする秘訣
第2章 伝わる文章を速く作る秘訣
第3章 穴埋めで速い! 伝わる「定番」フレーム
第4章 あなただけのオリジナルフレームを作るテクニック
第5章 3分で文書を仕上げるための小ネタ・テクニック
第6章 速く書くための環境を整える!
第7章 レポートなどの「長文」を速く書く方法
付録 巻末資料
  思わず使ってしまいがちな「重ね言葉」の代表的な例
 ビジネスシーンで使われがちなカタカナ語と日本語変換例
 ビジネスシーンで使えることわざ・慣用句・四字熟語
 敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の言い換え

著者プロフィール

石田章洋(いしだ・あきひろ)
 1963年岡山県生まれ。構成作家&プランナー。日本脚本家連盟員・日本放送協会会員。ライター&プランナーズオフィス、株式会社フォーチュンソワーズ代表取締役社長。25年にわたり各キー局の情報番組・報道番組などを中心に構成を担当。最近の主な担当番組は「世界ふしぎ発見!(TBS)」「情報プレゼンター・とくダネ! (フジテレビ)」「BSフジLIVEプライムニュース」など。構成を手がけた「世界ふしぎ発見! エディ・タウンゼント 青コーナーの履歴書」は-第45回コロンバス国際フィルム&ビデオ・フェスティバルで優秀作品賞を受賞するなど、番組の企画・構成・制作に関して高い評価を受けている。大手電機メーカーや大手化粧品会社の広報・マーケティングのコンサルティングを行うなどビジネスシーンでも活躍している。


<ブログ内関連記事>

『伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社、2013)-コトバのチカラだけで人を動かすには

書評 『言葉にして伝える技術-ソムリエの表現力-』(田崎真也、祥伝社新書、2010)

「人生に成功したければ、言葉を勉強したまえ」 (片岡義男)






(2012年7月3日発売の拙著です)





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2014年6月3日火曜日

書評 『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか-爆発的な成長を遂げた驚異の逆張り戦略-』(ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー、長谷川圭訳、日経BP社、2013)-タイの 「ローカル製品」 を 「グローバルブランド」に育て上げたストーリー


「レッドブル」は日本でもすっかり有名になったエナジードリンクですね。本書はそのレッドブルが世界商品に成長した過程を描いたビジネスノンフィクションです。

どれだけの人が気がついているか知りませんが、じつはレッドブルを販売しているのはオーストリア企業です。オーストラリアではなくオーストリア。豪州ではなく欧州。

しかもモーツァルトの生まれ故郷ザルツブルクの近くに本社を置いています。

エナジードリンクとモーツァルトはフツーはぜんぜん結びつきませんが、なぜオーストリアでしかもザルツブルクなのか? それはレッドブルを「世界商品」に成長させ、「世界ブランド」にしたのがこの近くで生まれ育ったオーストリア人だからです。

しかもその創業経営者はクロアチア系オーストリア人のマーケッター。クロアチア系というのは、クロアチアがハプスブルク帝国の一部であった時代の名残ですね。

マスコミ嫌いで、プライベートライフを大事にする姿勢を貫いているためほとんど露出がありません。本書もまたインタビュー取材ができなかったので、すでに雑誌などのマスコミに発表されている記事をもとに、関係者を取材して本にしたものです。ですからちょっと物足りない感じがなくもありませんが・・。


ビジネスのヒントは日本から、製品はタイのローカル商品から

創業経営者のマテシッツ氏は、もともとは英蘭系の食品コングリマリットのユニリバーでマーケッターとして成功したビジネスマン。英語には堪能だということです。戦後タイプの欧州人なのでしょう。

自分でビジネスをやりたいと考えていたときに出会った雑誌記事の長者番付で、日本の大正製薬のことを知ります。日本では圧倒的に有名なリポビタンDというスタミナドリンクで財産を築いたということが強く印象に残ったようです。

そんなときユニリバーのフランチャイザーであった華人系タイ企業で出会ったのがレッドブル。そうです、レッドブルはもともとタイのスタミナドリンクなのです。

このブログでもすでに書いてますが、タイの「ローカル製品から、「グローバル製品」として脱皮させたのはタイ人ではなく、なんとオーストリア人の企業家だったのです。

(これがタイの「レッドブル」=「クラティンデーン」 筆者撮影)

日本で缶入りの「レッドブル」を飲んだことのある人なら、タイで「レッドブル」(=クラティンデーン:赤い牛)を飲むと、日本で売っている缶入りのレッドブルは、すでに別物になっていることに気がつくはずです。成分を改良し、味も洗練された普遍的(=ユニバーサル)なものに改造されているからです。

(Made in Austria の文字に注目! 筆者撮影)

これは「ローカル製品のグローバル化」と言えるでしょう。分野は違いますが、武道としての柔道が日本人によってではなく、主に欧州人によって Judo として全世界に普及していったプロセスと似ているかもしれません。

タイのレッドブルに惚れ込んだ創業経営者のマテシッツ氏は、タイのユーウィッタヤー家からレッドブルのアジア地域外での販売ライセンスを取得し、合弁でレッドブル・マーケティング社を設立。これはちょうどいまから30年前の1984年のことだったようです。

タイとの合弁は、創業経営者が49%でタイ側が51%(・・会社が49%で個人が2%)のようですが、本社はオーストリアで登記しているようなので、タイの法律に従ったわけではなさそうです。

タイ側としてはレッドブルの世界的成功は評価しており、とくにクチを出さないのだとか。タイ側のパートナーはすでに死去して息子が事業承継してますが、とくに問題は起こってないようです。創業経営者のマテシッツ氏のたぐいまれなる手腕に満足しているということでしょう。

ただし、タイ側パートナーの孫が引き起こした事件は、タイでは大きなスキャンダルになってましたが・・・


地元オーストリアにこだわる姿勢

オーストリア企業で世界ブランドといえば、本書でも触れられていますが、日本でも有名なクリスタル製品のスワロフスキーくらいしか思いつきません。

そのオーストリアで、この四半世紀で急成長したのがレッドブル。じつはわたしもレッドブルがオーストリア企業だということには長く気がついてませんでした。オーヅトリアはドイツ語圏ですが、ドイツやスイスと比べると、あまりビジネスという点では話題になることがないからでもあります。

オーストリア企業であるという以外のきわだった特徴はそれだけではありません。

創業経営者がマスコミへの露出を嫌っているだけでなく、非上場に徹し、しかも無借金経営。本体はマーケティングとブランド・マネジメントに特化して、製造部門はもたずに完全に地元メーカーにアウトーソシング。ファブレスというビジネスモデルといってもいいでしょう。

税金の高いオーストリアで納税し、地元で雇用をつくりだし、地域経済を重視する姿勢は、グローバル企業に大成長した現在でもかたくなに変えることはないようです。郷土愛、地域愛が根底にあるのでしょう。

(ドイツ語版のカバーは創業経営者と本社ビル)

マーケティングとブランド・マネジメントに特化していても、広告宣伝は代理店まかせにせず、事業としてのスポーツビジネスとスポーツマーケティングをつうじてシナジー効果を狙うという姿勢。

そもそも創業経営者自身が大のモータースポーツ好きであるだけでなく、スポーツのもつ特性がエナジードリンクの商品特性にフィットし、ブランド育成に多大な効果をもっていることをマーケッターとして熟知しているからなのでしょう。

マーケティングとブランド・マネジメントに特化するという姿勢は、スイスのグローバル企業ネスレにも共通するものがありますね。

そもそもマーケティング(marketing)もブランドマネジメントも英語圏のアメリカで発展したものですが、欧州では伝統的に重視されてきたブランドを中核に置くという姿勢とあいまって、レッドブルというブランドとして花開いたのでありましょう。

あらたにブランドを立ち上げて成長させるのは、そう簡単なことではありません。しかし、レッドブルのケースにおいては、元ネタも発想も自分で考え出したものではありませんし、先進国や地元から生まれたものでもありません

本書では強調されてませんが、わたしとしては、レッドブルはタイで生まれたスタミナドリンクであり、それを世界ブランドに育て上げたのがオーストリア企業であることに、日本企業はもっと注目してほしいと思います。

それはローカル商品をグローバル化し、しかも新規進出先ではローカルマーケットにあわせてローカライズするという循環。そのエッセンスには学ぶべきものが多いといっていいと思います。





目 次

序章 レッドブルとは何者か?
PARTⅠ  52億本への道

第1章 市場を創造する
 きっかけは日本のリポビタンD
 タイのエナジードリンクにほれ込む
 オーストリアに本拠を置く
 同級生と斬新なCMをつくる
 ハンガリーから世界への第一歩
 ライバルたちはまだ甘く見ていた
第2章 世界市場を制圧せよ
 レッドブル、アメリカへ
 世界の頂上に行く道
 レッドブル・コーラの失敗
 ミスが許されるのは一度だけ 
 まるで宗教?
第3章 「販売禁止」を逆手に取る
 飲みすぎると死亡する?
 砂糖たっぷりのエスプレッソ
 医者は警告する
第4章 男と男の握手に価値がある 
 契約書はいらない
 欧州生産にこだわる
 頭の痛いデポジット制に秘策で対応
 商標が命
第5章 銀行にだけは借金するな
 姿を現さない株主
 飲料ではなくエキサイティングな体験を売る
 儲けた金だけを投資する
第6章 すべてがマーケティングだ
 オリジナルだからこそ価値がある
 ポストモダンの"聖水"
 代理店に丸投げせずイベントを自社開催
第7章スポーツの一部になる
 アスリートは「家族」
 「新しいスポーツ」を育成する
 黄金の三分率
 スポーツを一方的に利用しない/ドーピング医師を雇う
PART II スポーツ・マーケティング

第8章 ファンに抵抗されてもサッカークラブを買収
 「伝統を破壊した」と抗議される
 監督のクビ切り問題
 トレーニング施設には金をかける
 ニューヨーク・レッドブルズ
 ドイツ・ブンデスリーガ参戦
 ブラジルとガーナに育成施設をつくる
第9章  F1王者になる
 ジャガーを飲み込んだブル
 スクーデリア・トロ・ロッソ
 ベッテルの快進撃
 ミスコンテスト?
 オーストリアのサーキットの復活
 ナスカー参入の失敗
 ラリーとオートバイにも進出
 若手ドライバーの育成
第10章 氷の上のブル
 レッドブル・ザルツブルグ
 ヨーロッパ制覇へ
 NHLチーム買収の失敗
第11章 メディア嫌いによるメディアへの進出
 取材対応の"アメとムチ"
 レッドブルの先進的なデジタルTV
 ローカル放送局の買収
 遅れに遅れたTV放送のリニューアル
 レッドブルの出版社
 オーストリアの生活雑誌
第12章 グルメ・ブランドの創設
 由緒正しい飲み物
 最高級フィンガーフード
 アフリカンテイストなカフェ
PART III  レッドブル帝国の正体

第13章 叩き上げの億万長者
 計算しづらい資産
 レッドブルグループの構成
第14章 オーストリアに喜んで税金を払う
 豊かな自然の中にある本社
 イベント開催スペースも自前
 飛行機のコレクション
 レッドブル・エアレース
 絶好調のF1
 世界各地でサッカーに参入
 メディア企業の買収
 自社内に広告代理店をつくる
 アフロカフェ
第15章 レッドブルのもう一つの顔
 マテシッツ個人のビジネス
 レストランの運営
 不動産ビジネス
 フェルテンドルフの飛行場
 建設会社のブル・バウ
 地域暖房ネットワーク
 すべてが成功プロジェクトではない
PART IV 創業者の横顔

第16章 創業者マテシッツの華麗なる人脈
 F1貴族の仲間たち
 サッカー界の「皇帝」
 政治家のつながり
 レッドブルを彩るアーティスト
 グルメ仲間たち
 マテシッツの右腕は誰?
第17章 ブルと呼ばれる男
 華やかなウィーンの街で学ぶ
 ブルの息子
 型破りだけど保守的な性格
 空飛ぶスポーツマン
 女性関係は派手だが…
 慈善家としての一面
終章 ブルのこれから


<関連サイト>

レッドブル・ジャパン 公式サイト

wikipedia の項目「レッドブル」には、「世界商品」としての開発事情についての解説がある

オーストリアに学ぶ「地方・中小企業主義」-「都会で大企業勤務」以外に広がる選択肢!(東洋経済新報オンライン、2014年12月8日)


<ブログ内関連記事>

「レッドブル」-タイが本家本元の 「ローカル製品」 が 「グローバル製品」 として生まれ変わった!
・・現在でもタイ側は51%を所有するパートナー

タイのあれこれ (26) タイ好きなら絶対に必携のサブカル写真集 Very Thai
・・タイ人が好きなスタミナドリンクという飲料カテゴリーについても一章とりあげられている。ちなみに、朝鮮人参のふるさとである韓国でもスタミナドリンク人気は高いのだが、本書には韓国の事情がまったく出てこないのが不思議


ローカリゼーション

書評 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか-世界で売れる商品の異文化対応力-』(安西洋之、中林鉄太郎、日経BP社、2011)-日本製品とサービスを海外市場で売るために必要な考え方とは?
・・「ローカリゼーション」にかんする必読書

由紀さおり世界デビューをどう捉えるか?-「偶然」を活かしきった「意図せざる海外進出」の事例として・・日本語と音楽の関係について

プラクティカルな観点から日本語に敏感になる-藤田田(ふじた・でん)の「マクド」・「ナルド」を見よ!

ディズニーの新作アニメ映画 『アナと雪の女王』(2013)の「日本語吹き替え版」は「製品ローカリゼーション」の鑑(かがみ)!

書評 『ゲームのルールを変えろ-ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営-』(高岡浩三、ダイヤモンド社、2013)-スイスを代表するグローバル企業ネスレを日本法人という「窓」から見た骨太の経営書


スポーツ

「近代スポーツ」からみた英国と英連邦-スポーツを広い文脈のなかで捉えてみよう!


オーストリア

書評 『知の巨人ドラッカー自伝』(ピーター・F.ドラッカー、牧野 洋訳・解説、日経ビジネス人文庫、2009 単行本初版 2005)-ドラッカー自身による「メイキング・オブ・知の巨人ドラッカー」
・・オーストリア出身でアメリカに移民して成功した有名人はドラッカーとアーノルド・シュワルツネガーの二人

書評 『向う岸からの世界史-一つの四八年革命史論-』(良知力、ちくま学芸文庫、1993 単行本初版 1978)-「社会史」研究における記念碑的名著
・・「ウィーンはゲルマン民族とスラヴ民族の接点という、地政学的な特徴をもった都市なのである。ゲルマン民族を頂点にいただきながら、ゲルマン民族とスラヴ民族が中層から下層をなす重層構造をもった都市である。これは現在のオーストリアでも変わらない」

(2014年8月21日 情報追加)




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2014年6月2日月曜日

書評 『ゲームのルールを変えろ-ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営-』(高岡浩三、ダイヤモンド社、2013)-スイスを代表するグローバル企業ネスレを日本法人という「窓」から見た骨太の経営書


グローバル企業ネスレ日本法人で、初の生え抜きCEOとなった著者の第二弾。

前著 『逆算力-成功したけりゃ人生の〆切を決めろ-』(高岡浩三、おち まさと=プロデュース、日経BP社、2013) がみずからの死生観=人生観を語った、かなりパーソナルな内容であったのに対し、本書は実際のネスレ日本のビジネスと経営に即して持論を展開した本格的なビジネス書です。かなり内容豊富で、しかも濃いといっていいでしょう。

帯には、「思いついたことの98パーセントは実行せよ!」などのキャッチコピーが書かれていますが、それだけなら並のビジネス書と同じで、あえて読むまでのこともないという気にさせられます。

本書が類書と異なるのは、きわめて日本的な教育を受けてきた著者であるにもかかわらず、グローバル企業のなかでもまれることによって培われた、実践をつうじた本質的な思考が展開されていることにあります。

現役の経営者が書いた経営書だけに、テーマは経営全般にわたりますが、ネスレというグローバル企業が、マーケティングとブランド・マネジメントをビジネスの根幹に据えた会社であり、すべてはそこに集約されることを説得力ある筆致で描いていることにあるでしょう。

著者は、ネスレはブランドを以下の三段階でマネジメントしていると書いています。

① コーポレート・ブランド(=企業ブランド)
② カテゴリー・ブランド
③ プロダクト・ブランド(=製品ブランド)

カテゴリーブランドとは、ネスカフェやキットカットといった製品群ごとに束ねたものであり、その傘下に製品ブランドが含まれるわけですが、BEM( Business Executive Manager)として、ブランド全般について損益責任をもって経営する体制になっているとのこと。

このため、ネスカフェやキットカットは消費者に知られていても、ネスレという企業ブランドと結びついていないといった問題もあるようです。しかし、著者が言うように、直接カネを生み出すのはカテゴリーブランドと製品ブランドであって、企業ブランド強化にチカラを入れすぎても意味はないのです。日本企業のブランドマネジメントに対する痛烈な批判rと受け取るべきでしょう。

このように著者の思考は合理的でロジカルですが、次のローカリゼーションにかんする発言もまた、かなり本質をついたものです。

日本人は、これまで受けてきた教育のせいで、グローバルな視点を日本風にローカライズ(地域化)する能力に欠けている。本質的な部分を論理的に把握できないため、日本独自の戦略やアイデアが生まれてこないのだ。(P.58)

著者は、この点を本書全体をつかって具体的に述べた本だと言ってもいいかもしれません。

日本人として、日本市場というローカルマーケットを熟知したうえで、グローバル企業のロジックをローカルで展開するとはどういうことかグローバル全体のなかでローカルマーケットを経営するとはどういうことかを考え抜いているからこそ生まれてきた考えでしょう。

著者の立ち位置は、グローバル展開を考えている日本企業の大半とは真逆のものですが、海外進出先という海外のローカルマーケットで、いかに日本本社のロジックを普遍的なレベルまで高めたうえで、ローカルに即して経営していくかについてヒントを得ることができるかもしれません。

もしかしたら、日本企業に比べて、ネスレは特殊な感覚を持っているかもしれない。クライシスが起こって当たり前というなかでマーケットヘッドに求められるのは、クライシス(危機)をいかにしてオポチュニティ(機会)に変えるかということになる。・・(中略)・・ つまり「Crisis is Opportunity.」なのだ。このことは、スイス本社から常に言われてきた。私が入社した30年前から聞かされていたので、ネスレとして筋金入りのカルチャーなのである。(P.254)

国内市場が小さくて、たとえ危険な地域であろうと海外市場を開拓していかなければ生き残れないというスイスの制約条件から生まれたネスレもまた、濃厚なスイス的を持ち合わせているということでしょう。

一方で、ネスレ日本法人は、日本の国内市場でしかビジネスを行うことは許されていないという絶対的な「制約条件」があるからこそ、縮小する市場のなかでもビジネスチャンスを発見し、徹底的にマーケットを深掘りし、成功を収めてきたわけです。

つねに変化しつづける市場環境、消費者意識、そして従業員意識。みずからの成功体験すら、環境変化のなかでは否定していかなくては、絶対的な「制約条件」のもとでは生き残っていけないのです。

経営トップの仕事とは、ゲームのルールを変えることにある、変革こそが経営者のやりがいであるといいう著者の姿勢はまさにそのとおりです。そうでなければ、本社にとってもローカルの経営トップ交代の意味はありません。

経営者あるいは経営者になりたい人、欧州系グローバル企業の日本法人とはどういうものか知りたい人だけでなく、ネスレという欧州系のグローバル会社について、日本法人という「窓」から覗いてみることのできる内容にもなっています。

「Think Globally, Act Locally」(グローバルに思考し、ローカルに行動する)を地でいった、実践と思考に基づいた本。読み応えのある本書は、ぜひ読んでいただきたいと思います。





目 次

序章 史上初、生え抜き日本人社長に就任
 ●グローバル人材の条件は「祖国を捨てること」
 ●史上初の生え抜き日本人社長に就任
 ●副社長就任も異例の人事だった
 ●変革こそが、経営者のやりがい
第1章 マーケティングは経営そのものである-戦後モデルの終焉で求められるプロの経営-
 ●日本以上に日本的経営の外資系企業
 ●過去の成功体験より未来を語る
 ●国家と企業が抱える問題の共通点
 ●旧来の成長モデルに縛られてはいけない
 ●脱却のカギは「プロの経営者」を育てること
 ●マーケティングは経営そのものである
 ●プロの経営者に必要なリーダーシップとは
 ●ゲームのルールを変えて、道を拓く
 ●ニッポン株式会社のルールを変えるのは人事から
 ●基本戦略をローカライズしているか
第2章 売れない商品を売ってこそ一人前-現場が教えてくれたイノベーションの真髄-
 ●42歳で他界した父と祖父
 ●嫌なことは、自分で変えなさい 試練を迎えた大学受験
 ●実力で評価される企業を選択
 ●外資系企業ネスレは日本的経営だった
 ●売れない商品を売ってこそ一人前
 ●思いついたことの98パーセントは実行する
 ●試験合格で得た本社への切符
第3章 撤退という決断を下すとき-ネスレに受け継がれる、他社を思いやる経営-
 ●過酷なアメリカ生活のスタート
 ●「Silent is Stupid」
 ●日本に粉ミルクを導入せよ
 ●撤退という決断は辛くても、正しかった
第4章 批評の前に自分のアイデアを実行せよ-「キットカット」で実践した「Think Globally, Act Locally.」-
 ●日本人にとってのキットカット・ブレイクとは何か
 ●九州支店の1本の電話から始まった
 ●全国の受験生の不安に寄り添うプロジェクト
 ●受験生のお守りとなった「キットカット」
 ●「キットカット」は主役にならなくていい
 ●ブランドは広告ではなくニュースで作られる
 ●「ありがとう」と言ってもらえるブランドを目指す
 ●批評する前にまずは実行せよ
第5章 ゲームのルールを変えろ-変革を起こすリーダーに必要なこと-
 ●人口減少のなかでも必ずチャンスはある
 ●システムで飲ませる新モデルを構築
 ●「価値共創」で揺るぎないモデルへ
 ●直属で招集した50人のプロジェクトメンバー
 ●強力なトップダウンでゲームのルールを変える
 ●変革には最悪のケースを想定した準備が必要
 ●あらゆる最終責任はリーダーが負う
 ●間接部門もゲームのルールを変えられる
第6章 採用・育成・評価で会社は決まる-ストーリーを共有、ただしコンセンサスは必要ない-
 ●イノベーションを起こす人材を集めるために
 ●究極のトレーニングによる人材育成
 ●社員の能力は人事次第で開花する
 ●労働組合もコンサルタントになる
 ●残業が減らないネックは管理職にあった
 ●変革にコンセンサスは必要ない
第7章 危機のあるところに機会がある-義務を糧に遂げる成長-
 ●変わりつつあるネスレのブランド戦略
 ●マーケティング発想のブランド戦略へ
 ●東日本大震災で発揮されたリスクマネジメント
 ●世界規模の危機に学んだBCP
 ●危機のあるところに機会がある
 ●これからの企業が負うべき責任と義務
 ●利益を上げることに堂々と胸を張れ
終章 本物のリーダーはリーダーをつくる
 ●仕組みで育てるリーダーシップ
 ●次世代リーダーへの期待
あとがき


著者プロフィール  
高岡浩三(たかおか・こうぞう)ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEO。1983年、神戸大学経営学部卒。同年、ネスレ日本株式会社入社(営業本部東京支店)。各種ブランドマネジャー等を経て、ネスレコンフェクショナリー株式会社マーケティング本部長として「キットカット」受験生応援キャンペーンを成功させる。2005年、ネスレコンフェクショナリー株式会社代表取締役社長に就任。2010年、ネスレ日本株式会社代表取締役副社長飲料事業本部長として新しいネスカフェ・ビジネスモデルを提案・構築。利益率の低い日本の食品業界において、新しいビジネスモデルを追求しながら超高収益企業の土台をつくる。同年11月、ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。 現在、経済同友会幹事、医療・福祉ビジネス委員会副委員長。日本インスタントコーヒー協会会長。共著書に、『逆算力』(日経BP社)がある。






<関連サイト>

【ネスレ日本】 M&Aに頼らず貫く収益成長と利益率改善 強みへの集中戦略 (ダイヤモンドオンライン 、2014年4月4日)
・・グローバル企業の日本ローカル拠点は、日本国外でのビジネスは御法度。その制約条件下での成長は称賛に値する

ネスレを世界一にした「連邦経営」 100年間の計略 (日経産業新聞、2014年8月5日



<ブログ内関連記事>

書評 『逆算力-成功したけりゃ人生の〆切を決めろ-』(高岡浩三、おち まさと=プロデュース、日経BP社、2013)-人生は有限だと感じることは究極の逆算思考である


ロジカル経営のための基礎

書評 『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』(江上隆夫、SBクリエイティブ、2014)-徹底的に「コンセプト」にこだわることがビジネス成功のカギ
・・ロジカル経営のために必要かことはコンセプト抽出作業と共通点がある


スイスとグローバル企業

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために

書評  『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)
・・ビジネスパーソンにとっては「ブランド王国スイス」という捉え方が面白い

書評 『民間防衛-あらゆる危険から身をまもる-』(スイス政府編、原書房編集部訳、原書房、1970、新装版1995、新装版2003)
・・スイスといえば、いまでは「国民皆兵」は日本人の常識になったことと思う。スイス人の家庭には、一家に一冊備え付けなのが、この本と銃器一式!


コーポレートブランドと製品ブランド(プロダクトブランド)

「正露丸」は超ロングセラーの製品ブランドだ!
・・コーポレートブランドと製品ブランドが異なる例

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける
・・・・コーポレートブランドと製品ブランドが異なる例正露丸の場合は、ブランドの担い手としての所有者に変更はないが、ヴェポラッブは二転三転。製品ブランドの生命力は会社の生命よりも長い(!)ということがある

ゼスプリ(Zespri)というニュージーランドのキウイフルーツの統一ブランド-「ブランド連想」について

大学ブランドというプライベート・ブランド(PB)商品について-玉川学園の「抹茶アイス」は新製品!

「泉屋のクッキー」-老舗(ブランド)には歴史(ヒストリー)=物語(ストーリー)がある

「ポルシェのトラクター」 を見たことがありますか?

「ブルータス、お前もか!」-立派な「クレド」もきちんと実践されなければ「ブランド毀損」(きそん)につながる






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