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2014年3月18日火曜日

書評 『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』(江上隆夫、SBクリエイティブ、2014)-徹底的に「コンセプト」にこだわることがビジネス成功のカギ



『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』というタイトルに思わす手にとってしまうのは、「無印良品」というブランドがなぜ成功しているのか、多くの人が関心をもっているからでしょう。

じつにうまいタイトルですね。

「無印良品」は、無印=ノーブランドゆえの「安さ」から出発したのにかかわらず、現在では「無印」そのものが強力な訴求力をもったブランドになっています。MUJI というブランドで国際展開されています。

ブランドとしてきわめてパワーがあるのは、常識に反してほぼ無限に「ブランド拡張」が可能だという説明が可能です。単なるブランドであることを超えて、ライフスタイルそのものを体現した存在になっているわけです。

なによりも重要なことは、ブランドの中核に確固としたコンセプトが存在すること。「無印良品」は、徹底的に「コンセプト」にこだわることがビジネス成功のカギになっているという実例です。

「が」と「で」の違いという、たった一文字に込められたコンセプトが、きわめて大きな違いを生み出しているわけです。この点については本文を読んで確認していただきたいと思います。

帯には「コンセプトが9割!」とありますが、あながち誇張とは言い切れないものがあるのです。


コンセプトは事業やブランドのエッセンスをコトバで表現したものである

副題にもあるように、本書のテーマは「コンセプトのつくり方」にあります。いかにインパクトのあるコンセプトをつくりあげるか。

コンセプトとはなにかについての徹底的な考察を踏まえて、コンセプトのつくりかたの実践まで、一貫してコンセプトをつくる側の立場で書かれた本になっています。きわめて実践的な内容でありながら、確固とした思想をもった実用書といっていいかもしれません。

著者は、コンセプトは概念であるが、プリンシプル(原理原則)としての側面をもっているといってます。こう捉えると、コンセプトが事業やブランドの中核にあるものだということが理解できるでしょう。

著者もいっているように、日本人は思考の枠組みとして「型」をもっています。「型」は「ルール」といっていいかもしれませんが、「型」は便利な反面、思考が固定しがちで発展性がなくなり、ときには思考停止を招いてしまうこともないとは言い切れません。

それは、「型」を習得してそれを守るだけにとどまらず、その「型」を破って離れるべきだという「守破離」の三段階のプロセスを意識していない人が多いからでしょう。

コンセプトはある意味で「型」に似ていますが、あくまでもその本質がコトバであるという点が重要です。ぎりぎりまで文章を煮詰め、ムダを削ってそぎ落としたときにあらわれてくるコトバと表現、これがコンセプトです。

著者は、コンセプトは20文字以内であるべきだといってます。長すぎず短すぎず、論理的でありながら感性的でもあるのがコンセプトとして表現されたコトバ。コトバを中心に置く思考が、ときに大きな市場をつくりだし、収益をもたらすのです。

「第5章 最高のコンセプトのつくり方」の「ステップ7 要素を抽出して組み合わせる」では、「ポルシェ」篇、「アスクル」篇、「スターバックス」篇という事例が紹介され、文章を煮詰め、ムダをそぎ落とす手順が具体的に示されています。

わたしは、この第5章はぜひ、練習問題のつもりで読みながら取り組んでみることをお薦めします。

自分で考えながら、できれば自分で作業をやってると、帯に書かれた「ヒットの秘密はコンセプトが9割!」というのも誇張とは言い切れないことを実感できるのではないかと思います。


コンセプトはつかう人次第でもある

著者は、コンセプトを7つ機能と性質に分解しています。「4つの働きと3つの性質」です。

「力を束ね」、「在り方を決め」、「行動を指示」し「価値を最大化する」という機能と、「本質がつながってい」るが「寿命があり」、「決断に左右される」という性質。

つまり、すぐれたコンセプトにはそれ自身の働きや性質をもちながら、それを活かすも殺すも、事業やブランドにかかわる人次第だということです。これが「Part.3 使う」に書かれています。

著者は、30年以上の経験をもつブランドコンサルタントです。したがって本書は、コンセプトをつくる立場の人によって書かれたものです。

読者の大半は、つくる側の人ではないでしょうが、コンセプトがどうつくられるのかわかれば、どう使ったらいいかも深く理解するこができると思います。もちろん、つくることが必要な人、つくってもらうことを依頼する立場にある人にとっては言うまでもありません。

ビジネス書というよりも、読んでいて新書本のような印象を受ける本です。内容的には初級者むけではなく、ビジネス中級以上向けといっていいでしょう。

単なるハウツーのビジネス書には飽き足らない人に薦めたい、中身の濃い一冊です。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。






目 次

プロローグ 無印良品はコンセプトがすごい
  消しゴムとバターチキンと家
  安さでは売らない無印良品
  成功の最大の要因とは
Part1. 知る
 第1章 なぜ私たち日本人はコンセプトを使いこなせないのか
  世界を変えるのは言葉だ
  コンセプトとは意図を集約した原理・原則
  「コンセプト」ではなく「型」で物事を進める日本人
  とらわれてしまうという「型」の欠点
  コンセプトはある日、突然変わる
  日本人がつい繰り返してしまうパターン
 第2章 コンセプトと失ったものを取り戻す方法
  資産の棚卸と決断について
  よそ者、若者、バカ者のコンセプト
  無印良品のたった一文字に込められたコンセプト
  突き詰めたコンセプトが持つ力
  プロデューサーの視点でコンセプトをつくる
  取り戻したい「とりあえずやってみよう精神」
第3章 コンセプトをつくる前に知っておくべき7つのこと
  コンセプトの4つの働きと3つの性質
  第1の働き 「力を束ねる」
  第2の働き 「在り方を決める」
  第3の働き 「行動を指示する」
  第4の働き 「価値を最大化する」
  第1の性質 「本質のつながっている」
  第2の性質 「寿命がある」
  第3の性質 「決断に左右される」
Part2. つくる
 第4章 現在地を把握して、資産の棚卸をする
  コンセプトの「串ダンゴ型」設計図
  【現在地】 大きな時代の流れを見る
  【現在地】 必要な資料や情報の入手方法
  【資産】 ライバルを鏡にして自社を見る
  【資産】 強みと弱みは裏表の関係だ
  【資産】 お客様は決めると姿を現す
  【資産】 ペルソナをつくる
  【資産】 顧客の調査は「私」から始める
  コンセプトの土台になる資料をつくる
 第5章 最高のコンセプトのつくり方
  コンセプトは「発見するもの」
  コンセプトはわかりやすく明解であること
  コンセプトはできるだけ短く
  コンセプトのためのヒント採集会議
  ステップ1 自分に良い質問を投げかける
  ステップ2 ポジショニング・マップをつくる
  ステップ3 価値観マップをつくる
  ステップ4 自己規定する
  ステップ5 コンセプトの種類を決める
  ステップ6 コンセプトのストーリーを描く
  ステップ7 要素を抽出して組み合わせる
    「ポルシェ」篇
    「アスクル」篇
    「スターバックス」篇
  ステップ8 概念を操作することで新しい価値を導く
  ステップ9 クリエイティブ・ジャンプを起こす
  論理を積み重ねてジャンプする
Part3. 使う
 第6章 コンセプトの使い方
  コンセプトのプレゼンは1分で行え
  コンセプトに基づく目標を設定する
  コンセプトが伝わる仕組みをつくる
  コンセプトを自分事化する
  優先順位を決め、責任を明確にする
  実行して結果を確認する
  知られていないコンセプトのすごい効果
  これからのコンセプトの話
あとがき


著者プロフィール

江上隆夫(えがみ・たかお)
ブランド・コンサルタント/クリエイティブ・ディレクター 有限会社ココカラ 代表取締役 デキル。株式会社 取締役 長崎県五島列島の大自然の中で伸び伸びと育つも、父親の事業失敗により愛知県へ転居する。大学卒業後、プロミュージシャンを目指したが挫折。しかし、それが幸いしてコピーライターに。その後20年近く大手広告代理店でコピーライター及びクリエイティブ・ディレクターとして、さまざまな業種の広告とブランド構築にかかわり、コンセプト力を磨く。2005年独立後はブランド・コンサルタント、クリエイティブ・ディレクターとして、数億から50億、100億単位の広告制作やブランド運営にかかわっている。最近では、誰もがイノベーションを起こせるようにするスキルの開発や、地方自治体イベント・自治体首長のマニュフェストづくりに参加するなど活動の幅を広げている。主な受賞歴に朝日広告賞、日経広告賞グランプリ・優秀賞、日経金融広告賞最高賞、日本雑誌広告賞、東京コピーライターズクラブ新人賞などがある。(出版社サイトより)。

<関連サイト>

「獺祭」の開発コンセプトで参考にした 無印良品というブランド構築の舞台裏 松井忠三 良品計画会長 × 桜井博志 旭酒造社長 対談【前編】 (ダイヤモンドオンライン 2014年3月24日)





<ブログ内関連記事>

ZERO か ONE か、それが問題だ!? -新年度に出発進行!

書評 『増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか-ルールメーキング論入門-』(青木高夫、ディスカヴァー携書、2013)-ルールは「つくる側」に回るべし!

「プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか」-白洲次郎の「プリンシプル」について

聖徳太子の「十七条憲法」-憲法記念日に日本最古の憲法についてふれてみよう!

『伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社、2013)-コトバのチカラだけで人を動かすには

カラダで覚えるということ-「型」の習得は創造プロセスの第一フェーズである




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2014年3月14日金曜日

書評 『世界最高のプレゼン術』(ウィリアム・リード、角川書店、2014)-滞日33年の日本通のアメリカ人のスピーキング・コーチが日本人向けのプレゼン術を伝授



人前で話すことがますます重要になってきているこの時代。ビジンスパーソンにとってはもちろん、そうではなくてもプレゼンの重要性は増すことこそあれ、減ずることはないでしょう。

商売であれなんであれ、人をその気にさせてアクションに向かわせることが求められる世の中だからです。

コトバをつかわずに「あうんの呼吸」で感じあうといったことは、もはや期待しないほうがいいのです。それはあくまでもごく親しい人との関係の話しであって、見知らぬ人、たとえ知り合いであってもかならずしも友人ではない利害関係者を相手にする場合は、説得のコミュニケーションがカギになります。

世の中は変わったのです。だからコミュニケーション関連本がベストセラーになるのです。


類書とは違う本書の特徴

本書は、滞日33年、合気道7段の日本通のアメリカ人が日本人向けに日本語で書いた本です。

内容紹介にはこうあります。「世界中の25000人の中で優勝したプレゼンメソッド「ワールド・クラス・スピーキング」が日本初上陸。自身も TED-X に2度登壇した著者が解説する、誰でもうまいプレゼンができる驚異のメソッド」。

「驚異のメソッド」というのは、さすがに割り引いて受け取るべきでしょうが、本を読んだ限り、ひじょうにつかえるメソッドであることは間違いないと思います。

わたしは著者とは面識はありません。また、「滞日33年、合気道7段の日本通」というプロフィールが前面に打ち出されているわけではありませんが、読んでいて「この人はさすがによくわかっているな」と感じさせるものが、本書のすみずみからにじみ出ているのを感じました。

テクニックを書いた本ならいくらでもありますが、この本が類書と違う点がくつかあります。

まず、「プレゼンが上手な人の条件」がふつうのビジネスパーソンの発言とは異なることです。

「プレゼンが上手な人の条件」
1 プロフェッショナルであること
2. 女性を退屈させないこと
3. 子どもに面白いと思ってもらえること
4. 動物ともコミュニケーションがとれること

これwだけ読むと「おんな子ども」という日本語表現を想起してしまいますが、著者の意図は「上から目線」や性差別とは関係ないと、好意的に受け取っておきましょう。

そもそもプレゼンは、論理もさることながら感情に訴えることが大事。そうでないと伝えたいことが伝わらないからですし、著者自身、子どもに絵本を読み聞かせることがプレゼンの練習になると書いています。一般的に共感話法を得意とする女性がプレゼンターとなる場合は、あえて強調するまでもないことでしょう。

つぎに、スティーブ・ジョブズなどの有名人のプレゼンではなく、自分自身の Ted-Xのプレゼンを教材に使っている点が類書とは違う点です。本書を読む前に、19分弱のプレゼンビデオをみるべきでしょう。著者自身が日本語でプレゼンしているので安心して視聴してみてください。
⇒ 世界最高のプレゼン術 (公式サイト)

著者は「コンテツが9割」と強調していますが、『伝え方が9割』という本がベストセラーになって以来、「●●が9割」というフレーズが流行してますね。プレゼン用のコンテンツのつくりかたについては、これは直接本文を読んでいただきたいと思います。

この本の特色は、プレゼンにおけるボディ・ランゲージの重要性にもあると思います。さすがに合気道七段だなと思わせるものがあります。(ちなみに、わたしは合気道二段です)。


究極のプレゼンは「スライドゼロ」!

わたしがもっとも共感するのはテクニックもさることながら、著者の姿勢というか哲学です。究極的にはプレゼン資料は「スライドゼロ」を目指すべきという姿勢(P.67、166)には激しく同意します。

スライドや画像、そして凝りに凝った動画は手間とカネを使えば作成可能です。しかし、これらのツールに頼るのは、自分のプレゼン能力が低いからだと思うべきなのです。

自分が語るコトバとジェスチャーだけで聴衆をその気にさせ、巻き込むことが究極的には可能なはずなのです。英語でいえば Doinjg よりも Being ということでしょう。その人の存在そのものが何かを語るというところまで目指したいものです。

たいへん困ったことにプレゼン=パワーポイントと思い込んでいる残念な人たちがビジネスパーソンに増えていますが、目指すのは「スライドゼロ」といいうことはつねにアタマのなかに入れておきたいものです。

もちろん、すぐには実行できいないので、スライドは最低限必要な枚数に絞り込み、最小限必要な情報まで圧縮することから始めるべきでしょう。目指すべきところが明確になれば、そのための訓練も意味あものになるはずですね。

著者がいうように、演台も水もすべて片づけ、つねに両手をフリーにしておくことも大事です。これならすぐにでも実行できますね。まずはカタチから入る、これはきわめて重要です。


日本人の「強み」をもっと意識して前面に出すべき

著者のいうテクニックや姿勢は、「シンプル・イズ・ベスト」という簡潔明瞭さを追求したミニマリズムであり、本来は日本人の美意識にかなうはずのものです。俳句がまさにその代表例ですね。

でもなぜか不思議なことに、いまの日本人はできていません。プレゼンというコトバがまだ完全に日本語として熟していないからかもしれません。

「シンプル・イズ・ベスト」を説く著者は、ある意味では、日本人に本来の日本人の特性を思い出させ、日本人が自分の「強み」を生かすことが、ワールドクラスのプレゼンのための近道だと説いていると捉えて間違いないでしょう。

「5C」でストーリーをつくる、10分で1つのポイントを伝える、クロージングは質疑応答のあとに、「タイムライン」というテクニックを活用するなど、さまざまなテクニックが紹介されています。

オープニングとクロージングの重要性を説く著者ですが、なぜかこの本にはクロージングがないのが不思議です。なんだか尻切れトンボのような感じで終わってしまいます。

オープニングは日本語でいえば「つかみ」であり、本でいえば「はじめに」や「まえがき」に該当します。本書の「はじめに」も、セオリーどおりの「つかみ」になっていると言っていいでしょう。

ですが、日本語の本は「あとがき」でクロージングをするということを著者は体感していないのかもしれません。質疑応答のあとにクロージングするという手法が本書にかんしては実践されていません。

英語の本には「「結論」があっても「あとがき」はありません。しかし、日本語の本では「あとがき」で「本文」に書いたことをあらためて要約したり、本文には書かなかったことを書いて情に訴えたりしながらクロージンにもっていくのが「常識」です。日本語世界では余韻が大事なのです。

その意味では、画竜点睛ではないかな? 著者は無意識のうちにふだん読んでいる英語の本の「常識」が出てしまったのかもしれません。ある意味、最後の最後で貴重なアドバイスを反面教師として逆説的に(!)与えてくれる本でもありました。

本書で紹介されているテクニックやマインドセットは実地に試してみてこそ意味をもつもの。ぜひ自分のアタマだけでなく、自分のカラダもつかって本書に書かれた内容を体感してみることを薦めます。

さまざまな「学び」を得ることのできる本としてお薦めします。


PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。





目 次

はじめに 日本人の99%のプレゼンは間違っている
ワールド・クラス・スピーキング創始者 監修者クレッグ・バレンタインより
序章 これが「ワールド・クラス・スピーキング」だ
第1部 コンテンツをつくる
 第1章 柱となるコンテンツを整理する
  01 伝えたいポイントを盛り込みすぎない
  02 コンテンツは簡潔にまとめる
  03 スライドはいきなりつくらない
 第2章 オープニングからクロージングまでの流れをつくる
  04 オープニングはもっとも重要なコンテンツ
  05 コンテンツをつくる重要なポイント
  06 大切にしたいクロージング
 第3章 魅力的なコンテンツをつくる
  07 ストーリーでプレゼン力を高める
  08 具体的にどうやってストーリーをつくるか
  09 聞き手をワクワクさせるコンテンツのつくりかた
  10 聞き流されないコンテンツのつくりかた
  11 コンテンツがみるみる生まれる魔法の方法
 第4章 スライドをデザインする
  12 スライドは「シンプル」で勝負せよ
  13 【実践編】コンテンツを磨く
第2部 伝え方を磨く
 第5章 もっとよく伝わる体の使い方
  14 プレゼンは感情・感覚に訴える
  15 正しい姿勢がプレゼンを成功させる
  16 プレゼンで大切な舞台の使い方
 第6章 もっとよく伝わる環境のつくりかた
  17 プレゼンはリハーサルが9割
  18 プレゼンで大切な木っ気手への言葉かけ
  19 聞き手との一体感を獲得する
  20 【実践編】4つの伝え方の柱

著者プロフィール

ウィリアム・リード(William Reed)
アメリカ出身。アーラム大学(アメリカ)で日本語と日本文化を研究し、在学中に早稲田大学に留学。その後ミズーリ大学大学院修士課程修了(専攻は教育学など)。合氣道七段、書道の師範であり、日本通。トーストマスターズのワールドチャンピオンスピーカーになったクレッグ・バレンタイン(Craig Valentine)氏に師事し、2009年に世界で第一号のワールドクラス・スピーキングの認定コーチになる。現在は、ワールドクラス・スピーキングの日本の拠点として、EMC Quest,K.K.の会長を務め、企業や個人向けのセミナーやコーチングプログラムを日本語と英語で設けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連サイト>

世界最高のプレゼン術 (公式サイト)



<ブログ内関連記事>

書評 『思いが伝わる、心が動くスピーチの教科書-感動をつくる7つのプロセス-』(佐々木繁範、ダイヤモンド社、2012)-よいスピーチは事前の準備がカギ!

『伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社、2013)-コトバのチカラだけで人を動かすには

書評 『小泉進次郎の話す力』(佐藤綾子、幻冬舎、2010)-トップに立つ人、人前でしゃべる必要のある人は必読。聞く人をその気にさせる技術とは?

合気道・道歌-『合気神髄』より抜粋

カラダで覚えるということ-「型」の習得は創造プロセスの第一フェーズである






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2014年3月11日火曜日

書評『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎、講談社、2000)ー 失敗情報をきちんと管理して、「知識化」していれば大きな事故は防げる


「失敗学は創造学」といってよい。失敗は成功の母。自らの失敗だけでなく、知識化された他社の経験に学ぶことによって、成功への道は拓かれる。「失敗学は危機管理学」でもある。

1つの事故の背後には29のクレームがあり、その背後には300のまずいと思った体験がある、というハインリヒの法則が紹介されているが、失敗情報をきちんと管理して、「知識化」していれば大きな事故は防げるのである。これは技術の世界だけでなく、経営にも一般的にあてはまることだ。

「知識化」がきちんとなされている状況になってはじめて、知恵の伝承もなされる。

「体感」することの重要性。何も自分が「体験」しなくてもいいのである。知識化された失敗情報を自分の身に引きよせて「体感」すればいい。

『社長失格』(1998年)の著者である板倉雄一郎氏の失敗体験も、知識化されたことによって、日本語をよめるわれわれの共有財産となっているのである。


(初出情報 2001年3月28日 bk1に投稿掲載)
http://homepage2.nifty.com/kensatoken/sub2.dokudanhenken.html



目 次

プロローグ 失敗に学ぶ
第1章 失敗とは何か
第2章 失敗の種類と特徴
第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方
第4章 全体を理解する
第5章 失敗こそが創造を生む
第6章 失敗を立体的にとらえる
第7章 致命的な失敗をなくす
第8章 失敗を生かすシステムづくり
エピローグ 失敗を肯定しよう

著者プロフィール

畑中洋太郎(はたなか・ようたろう)
1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。現在東京大学大学院工学系研究科教授。専門はナノ・マイクロ加工学、知能化加工学、創造的設計論。編著書に『実際の設計』『続々・実際の設計-失敗に学ぶ-』(日刊工業新聞社)、著書に『設計の方法論』(岩波書店)など。(単行本出版当時のもの)。『続々・実際の設計-失敗に学ぶ-』には、『失敗学』の原型であり、機械工学の設計における失敗事例が多数収録されている。



<書評への付記>

2001年に執筆した書評を再録した。この本は「失敗学」の出発点であり原点である。あらためて「古典」となった本書を振り返るために、ここに掲載することにした。(2014年3月11日 「3-11」から3年後)


<ブログ内関連記事>




書評 『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹、新潮新書、2013)-この本をいかにマネジメントの現場に応用するか考えるべき




(2012年7月3日発売の拙著です)





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