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2013年8月26日月曜日

書評 『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』(石井琢磨、すばる舎、2013)-「論理」だけに頼らず「心理」を大いに利用すべし!



タイトルに「プロ弁護士」とあるのを見て、資格商売である弁護士にプロもアマもあるまいと思うのですが(笑)、そういうつまらない冗談はさておいて、現役の弁護士画披露する「説得の技術」には、ビジネスパーソンはもとより、それ以外の一般人も耳を傾けることがあるといっていいでしょう。

というのもTVドラマの法廷ものだけをみて、あれが弁護士の説得術だと思いこんでいると危険きわまりないからです。

欧米社会とは異なり、日本では裁判でシロクロをはっきりさせるよりも、和解や示談というかたちの交渉にもちこむことが、やはり依然として多いからです。むしろ裁判よりも和解のほうがじっさいにははるかに多いでしょう。

これは日本文化の特徴という説明がされることもありますが、和解や示談のほうが被告と原告の双方にとって合理的な解決であることは多いものです。著者が、「ムダな争いを避ける」ことを強調しているのはそのためでもありますね。

基本的に民事では、金銭で解決できるものはそうするべしというのが法の趣旨ですから、「落とし所」が被告と原告の双方にとって「ウィン・ウィン」(win-win)となるのが望ましいことは言うまでもありません。だからこそ、そこでは法律という「論理」もさることながら、著者がいうように「心理」が重要になってくるのです。納得のいく結果に導くのは、同じ「理」ではあっても、まずは「心理」からというわけですね。

一対一の交渉である和解や示談のケースとは違って、裁判でシロクロ派はっきりさせるケースは、裁判官という第三者のいる交渉になります。「心理戦」で人を動かすうえで、これはきわめて重要な区分となります。

法廷では弁護する側である被告にとって有利な判決(=評価)を勝ち取るのがカギとなるわけですから、そのための法廷テクニックに「心理戦」を応用するわけです。これはディベートも同じですね。

現実のビジネスの場にあてはめてみれば和解や示談という一対一の交渉は上司や顧客を説得して自分に有利な結果を導き出すケースであり、第三者がかかわってくる裁判は組織内での多数派工作に近いかもしれません。賛成派と反対派がいて、その他の多数を第三者とすれば、いかに多数派を取り込むことができるかが勝負を決するカギとなります。

著者が本書で自らの経験を踏まえて説いている「心理戦」は、意外と応用範囲が広いことが理解できるのではないでしょうか。

読み始めるといきなりですが、チャルディーニの名著 『影響力の武器』カーネギーの『人を動かす』が紹介されています。

とくに著者もつよく推奨している 『影響力の武器』 は、はかなり分厚い専門書ですが、わたしもいまから約20年前につよくすすめられて、おおいに感心しながら読み進めたたことを覚えています。この本は営業パーソンだけでなく、日常的に交渉(取引)を行っているビジネスパーソンならだれもが読むべきだといっていいでしょう。

「論理」だけでは人は動きません。「心理」で人を動かすことも必要なのです。説得の技術とは、「心理」と「論理」を駆使したものなのです

軽いタッチで書かれているビジネス書ですが、意外と重要なことが書かれている本です。日々の弁護士活動のなかでつかってうまくいってきた知見に基づいて書かれているので、楽しみながら納得することができるでしょう。

ビジネスパーソンであれば、具体的なシチュエーションにあてはめながら読んでみると応用がきくはずです。「論理」ばかりが強調される現代社会ですが、意外と「心理」の応用範囲は広いのです。

本書を読んだら、ぜひチャルディーニの名著 『影響力の武器』を読んで理論武装していただきたいものと思います。「心理戦」もまた、生きていくうえで大きな武器となるのです。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。





目 次

序章 「相手のペース」にハマってないか? 「心理戦」は避けられない!
1章 まずは警戒心を解こう-この「友好ムード」で手強い相手は<従順>になる
2章 敵対関係から連帯関係へ-ムダな争いを避ける「落とし所」の見つけ方
3章 コレで納得感がさらに増す-ムリせず誘導できる「五つの心理技法」
4章 狙いどおりの「合意」を得られる!-論破されない「交渉術」
5章 負の感情に支配されない方法-経験を肥やしにする!折れないメンタルのつくり方

著者プロフィール

石井琢磨(いしい・たくま)
相模川法律事務所代表。弁護士。幼少時から家族が次々と壺を買わされ、自身も絵画・会員権を買うよう個室で長時間取り囲まれるという、ダマされ環境で育つ。 平穏な生活を脅かす悪質業者と闘うために弁護士資格の取得を決意し、偏差値35から中央大学法学部に合格。 1日平均12時間以上の勉強を続け、在学中、司法試験に一発合格する。 2001年に弁護士登録。その後独立し、相模川法律事務所を開設する。 日本全国で被害が発生した消費者事件の弁護団に複数加入。 悪質 商法・詐欺などの被害者を中心に、助けを求める弱者の事件を断らずに受任し、独立1年目から平均的弁護士の4倍である180以上の事件に関わる。(出版社サイトより)






<ブログ内関連記事>

書評 『誰でもデキる人に見える 図解de仕事術』(多部田憲彦、明日香出版、2013)-図解は思考のツールでありコミュニケーションのツールでもある

『伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社、2013)-コトバのチカラだけで人を動かすには

書評 『「独裁者」との交渉術』(明石 康、木村元彦=インタビュー・解説、集英社新書、2010)

本の紹介 『交渉術』(佐藤 優、文藝春秋、2009)

書評 『挫折力-一流になれる50の思考・行動術-』(冨山和彦、PHPビジネス新書、2011)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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2013年8月23日金曜日

書評 『日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方』(北川公一、日本実業出版社、2013)-「グローバル企業」の組織内コミュニケーションのありかたとはこういうものだ


「グローバル企業」におけるコミュニケーションの重要性、とくに組織内コミュニケーションがいかに死活的に重要かについて、自らの日本企業での経験との比較をふまえて書かれたビジネス書です。

「グローバル企業」の定義が本書のどこを探してもまったく書かれていないのが気になりますが、ここでは著者にかわって、「欧米系の多国籍企業で、人材は多国籍で多文化という多様性があり、その結果として社内の共通言語が英語となっている企業」、と仮に定義しておきましょう。

「グローバル企業」における組織内コミュニケーションの重要性とは、著者が書いているように、端的にいって直属の上司、すなわちボス(boss)との関係に集約されるといっていいでしょう。これは日本企業とはきわめて大きな違いです。

「グローバル企業」では、直属の上司との上下関係は契約関係に基づいた絶対的なものなのです。したがって、それ以外の職場の人間関係はまったくのフラットなものとなるわけです。日本語のニュアンスがつきまとう「上司」よりも、「ボス」といったほうがより適切でしょう。

上司からの提案に対して意見をいうことは大いに奨励されますが、いったん決まったことはボスに全面的に従うことになるわけです。最終的な権限はすべてボスにあるわけですから、いわば上意下達の命令体系といってもいいわけです。決まったあとからブツブツと言いわけをすることの多い日本企業の上下関係とは根本的に異なる点でしょう。

この関係をマスターできれば、逆に自分がボスとして自分の部下とどういうコミュニケーションをすればいいかもわかるわけです。これはロジカルな展開といえますね。基本は上司と部下との対話。この場でマネジメントが行われるわけです。

とくに金融系の場合、中途入社が多く人材の流動性の高い職場環境でありますが、そもそも金融系にかかわらず「グローバル企業」においては、「ジョブ・ディスクリプション」(job description)に基づいた職務が明確に定義された採用である点は日本企業との大きな違いです。

専門職務(=ジョブ)については知っているのが当然という前提ですので、誰も懇切丁寧に教えてくれなどしてくれません。とにかく自分が動きまわって聞きまくり、自分の仕事は自分で覚えなくてはならない。自分が動かなければ誰も動かないのです。

つまるところ頼れるものは自分だけ日本でも職人の世界では、「技は盗むもの」とされてきましたが、「グローバル企業」でもそれは同じだといえるわけです。

著者は「グローバル企業」では「NFL」が重要と書いています。これはぜひアタマになかに入れておきましょう。

数字(number)、事実(fact)、ロジック(logic)の英語の頭文字を並べて「NFL」。「国際ビジネスの共通言語」をセットとして捉えたものですが、共通言語は英語だけではないのです。また、ロジックはロジカルシンキングとはイコールではないという著者の指摘は重要です。

結論から先に述べて理由はそのあとに続けて述べるという英語のロジックは「グローバル企業」とはきわめて親和性が高いのですが、日本語のロジックとはかならずしも相性がよくないことは、読者はおおいに意識しておく必要があるでしょう。

著者が実践してきた英語のコミュニケーションスキルを、日本企業のなかで日本語で行うには、「グローバル企業」から見れば逆に「異文化」である日本企業という「ローカル文化」の認識が不可欠です。

とはいえ、職場の人間関係を職場外に持ち出さないという姿勢はぜひ日本企業でも徹底してほしいと思う人は少なくないと思います。その点は、わたしも大いに賛成です。

盗めるものは大いに盗み実践していくこと、これは日本企業に勤務して日本語でコミュニケーションしていても絶対に必要なマインドセットです。いま日本企業でもかつてのように余裕はなくなっていますので、自分がしっかりしなければ生きていけないという点は同じかもしれません。

著者は「欧州系の金融機関」で15年間働いてきたそうですが、著者がかつて勤務したことのあるという日本の金融機関とはまさに真逆の世界なのです。そのほかの業界でも似たようなものでしょう。

日本企業のすべてが「グローバル化」するとは将来もありえませんが、そうはいっても、いつ自分が勤務する会社が「グローバル企業」に買収されるとも限りません。

いざそうなったときにもあわてないように、日頃から自己啓発として準備しておくことは大事なことです。本書はそのための好著だといっていいでしょう。


P.S. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。





目 次

第1章 世界標準のコミュニケーション 7つの「基本ルール」
 01 「お互い違うのが当たり前」がスタート地点
 02 相手の価値観を尊重することから始める
 03 会話で「間」があくのは放送事故だと思え
 04 「なぜ」好きか、「なぜ」嫌いかをはっきりさせる
 05 言いたいことは必ず口に出せ
 06 返事には「イエス」か「ノー」しかない
 07 世界標準のコミュニケーションが生まれる背景
第2章 グローバル企業の「組織と人間関係」を知ろう
 08 グローバル企業は個性的なプロ集団
 09 組織を貫く「縦のライン」と「横のライン」
 10 意外に強固でウェットな「縦のライン」
 11 上司であっても「名前」で呼ぶ理由
 12 上司の指示を疑い、積極的に意見せよ
 13 仕事は自分で聞いて身につける
 14 会社の人間とプライベートでは交わらない 
 15 「週末、何してた?」と聞いてはいけない理由
第3章 世界で勝ち抜くコミュニケーション「実践テクニック」
 16 人を動かす3種の神器「数字、ファクト、ロジック」
 17 「結論ファースト」を徹底する
 18 議論は「知的なスパーリング」
 19 やはり大事なエレベーターピッチ
 20 癖のある英語にどう対応する?
 21 「日本流」で叱るとパワハラ扱いされることも
 22 世界では「お客様は神様」は通じない
 23 外国人との会話に欠かせないユーモアの仕入れ方
第4章 必ず結論を出すグローバル企業の「会議」術
 24 会議は「結論を出す場」が大前提
 25 会議をスムーズに進行させる「アジェンダ」の効用
 26 資料の事前配布を徹底させる「48時間ルール」
 27 会議の資料は目的意識を持って読み込む
 28 効率的な議論を進めるための手順と注意点
 29 会議で発言するためにはトレーニングが必要
 30 会議の決定事項には逆らえない
 31 電話会議はルール厳守で行なう
第5章 グローバル企業流「メールと電話」の使い方
 32 メールは「2つの差」を埋める重要なツール
 33 メールの文章は効率を最優先する
 34 アクションにつながらないメールに意味はない
 35 英文メールは「定型」に頼りまくれ
 36 メールで不用意に議論しない
 37 メールでは安易に謝らない
 38 スマートフォンに依存し過ぎない
 39 一番気を使う上司との電話
特別付録1 グローバル企業で好まれるフレーズ
特別付録2 グローバル企業のことがよくわかるブックガイド


著者プロフィール

北山公一(きたやま・こういち)
東京大学を卒業後、国内の金融機関に就職。アメリカ支社勤務を経て、欧州系投資銀行に転職。仕事のスタイルの違いから、カルチャーショックに直面する。その後、欧州系のグローバル企業に入社し管理職として勤務。個性の強い外国人の上司、同僚、部下に揉まれながらマネジメントをしてきた結果、グローバル企業における実践的なコミュニケーション・ノウハウを身につけ、体系化した。グローバル企業勤務15年、アメリカ居住5年半の経験もあり、「日・米・欧」における仕事やライフスタイルの違いにも通じている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

『日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方』 著書紹介公式サイト


<ブログ内関連記事>

『グローバル仕事術-ニッポン式ビジネスを変える-』 (山本 昇、明治書院、2008) で知る、グローバル企業においての「ボス」とのつきあい方
・・『日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方』の著者は巻末で「ブックガイド」として10冊をあげていますが、それに加えてこの『グローバル仕事』をつよく推奨しておきたいと思います。英国系企業の本社で働いてきたビジネスマンは、上司との関係もふくめた組織ないコミュニケーションについて、より掘り下げた考察を行っています。

書評 『海外ビジネスを変える英文会計-経営の判断力が身につく!-』(木幡 幸弘、インテック・ジャパン監修、エヌ・エヌ・エー、2010)

なぜ「経営現地化」が必要か?-欧米の多国籍企業の歴史に学ぶ

書評 『採用基準-地頭より論理的思考力より大切なもの-』(伊賀泰代、ダイヤモンド社、2012)-日本人に必要なものはリーダーシップの実践能力だ

書評 『英語だけできる残念な人々-日本人だけが知らない「世界基準」の仕事術-』(宋文洲、中経出版、2013)-英語はできたほうがいいが、英語ができればいいというものではない

書評 『日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル』(内永ゆか子、朝日新聞出版社、2011)-あくまでも「個」をベースに考えるとことが英語よりも大事

書評 『スミダ式国際経営-グローバル・マネジメントの先進事例-』(桐山秀樹、 幻冬舎メディアコンサルティング、2010)

英語よりも日本語をキチンと教育してもらいたい!-「英語至上主義」と訣別し、人的資源の有効活用策を考えるべし

いかにして異なる業種業界や職種間、また組織内の異なる機能間で「共通言語」と「コンテクスト共有」によるコミュニケーションを可能とするか





(2012年7月3日発売の拙著です)





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