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2013年4月24日水曜日

書評 『10年後に食える仕事 食えない仕事』(東洋経済新報社、2012)-10年後の予測など完全には当たるものではないが、方向性としてはその通りだろう



10年後の予測など完全には当たるものではないが、方向性としてはその通りだろう。そんな感想を抱かせてくれる内容の好著。

一言で要約すれば、「人にかかわる仕事で技能集約、あるいは知識集約型の仕事が今後も生き残る」といってよいでしょう。コンピュータという「機械(マシン)との競争」を回避することができる分野で、かつ日本語を母語とする日本人が日本で生き残ることのできる領域は、結局はそこにしかないと思われます。

先日のことですが、海外留学経験もある有識者と会話をしていたとき、「これからはグローバル対応しないと日本人は生き残れないのに、最近の男の子ときたら外国に行こうとしない・・・」という、愚痴ともつかぬ問いかけがありました。

それに対してわたしが答えたのは、「2040年になっても日本の人口はまだ1億人を越えているのですよ。そのときでも、おそらく日本人の7割は英語を日常言語にすることなどないでしょう。植民地にでもならないかぎり、その状況は100年たっても変わらないと思いますよ(笑)」。

つまりグローバル経済がいかに進展しようと、日本市場はあくまでもローカル市場としての性格は変化しないということです。日本に暮らす日本人の大半は今後も英語ではなく日本語で日々の生活を送るであろうということ。

これは日系企業の海外進出を考えてみればわかることです。

日系企業は現地では「外資系」(!)ですが、ローカル従業員はローカル言語をしゃべる人たち。日本語を使用言語にするというのはコスト的にみて現実的ではありません。

これを逆に日本にあてはめてみれば、たとえ資本が外資系になろうとも、ローカル日本人(!)の言語は日本語です。日本市場でビジネスをやろうと思えば日本語の運用能力のレベルが高くないと相手にしてもらえない、というわけですね。

そんな会話をしたあと、近所の本屋で目に飛び込んできたのが平積みにされていたこの本。 『10年後に食える仕事 食えない仕事』(渡邉正裕、東洋経済新報社、2012)。わたしが回答したことを、より詳細なレベルで語った本でした。

もちろん、10年後の予測など完全には当たるものではありませんが、人にかかわる仕事で技能集約、あるいは知識集約型の仕事が今後も生き残るわけです。

(『10年後に食える仕事 食えない仕事』に所収のマトリックス)


たとえば営業でも、いわゆるソルジャー型営業は日本人である必要はないが、コンサルティングセールスなど高度な日本語能力が必要とされる仕事は生き残る。お客さんは日本語でコミュニケーションをとるローカルの日本人ですから。

ですから、「恐れるに足らず、しかし準備を怠ることなく」というマインドが必要ですね。

いわゆるアベノミクスによって円安基調となっていますが、今後も円安が定着するようであれば、外資に買収される日本企業もも増えてくると思います。

その場合でも、買収する側はあくまでも「資本の論理」に基づいていますから、想定している収益があがればそれ以外のことにまで介入してくることはないでしょう。外資といえども社員全員に英語をしゃべろなどとアホな要求をすることはあり得ません。

ただし、その場合でも、マネージャーは英語でレポーティングする必要がでてくるので、英語能力がないと社内では生き残れない可能性はでてくるでしょうね。

ですから、著者のいう「グローカル」というカテゴリーが今後は目指すべきフィールドとなるわけです。日本人としての強みを正確に把握したうえで、それなりの英語能力があれば生き抜いていくことはできるということになります。

出版されて1年以上たってますが、6章の政策提言の内容ははさておき、方向性はそのとおりだと思います。まだ読んでない人は、突っ込み入れながら読んでみるといいでしょう。





目 次

はじめに-正しい航海図を持とう

1章:いま、何が起きつつあるのか
 新卒採用のグローバル化
 サービス業の海外移転
 事業再編にともなう中高年クビ切り

2章:「日本人メリット」で食える仕事の条件
 独自カルチャー依存
 チームワーク&サービス
 チームワーク力
 サービス力
 信用&コミュニケーション
 ハイレベルな日本語
 国による参入規制
 ヒトの流入規制

3章:各エリアの職業とその特徴
 「重力の世界」-重力のように収斂されるエリア
 「無国籍ジャングル」-世界中の人がライバル
 「ジャパンプレミアム」-日本人らしさで生き抜く
 「グローカル」-日本市場のプロとして

4章:判定チャート-10年後、あなたの仕事はどうなるのか?
 【Q1】公務員・議員だ(国による決定的な参入規制がある)
 【Q2】日本語ネイティブでないと成果が出ない職業だ
 【Q3】日本の伝統的なカルチャーを扱う職業だ
 【Q4】日本独自の商慣習、雇用慣行がカギを握る職業だ
 【Q5】日本的なチームワーク、サービス精神が強みとなる職業だ
 【Q6】高度な技術の組織的蓄積がある
 【Q7】同じ日本人としての信用と相互理解が決定的に不可欠な職業だ
 【Q8】職務遂行に高度な知識や資格が必要だ
 【Q9】知識集約的で生来の才能と無限に挑戦する努力が不可欠な職業
 【Q10】IT技術により世界中どこでも場所を選ばずできる職業になった
 【Q11】一次・二次産業で高い技術力は必要なく時間の制約もない職業だ

5章:10年後の生き残りかた
 エンジニア系
 セールス系
 バックオフィス系

6章:10年後の「日本人の雇用」
 (1) 「無国籍ジャングル人材」の優遇
 (2) 経済的規制の撤廃
 (3) “負の雇用貢献税”で雇用を国内化する
 (4) 単純労働者はギリギリまで受け入れない
 (5) 「負の所得税」による再配分
 (6)  政治のリーダーシップで雇用を守る

おわりに-「頼れるのは自分だけ」の社会で

著者プロフィール

渡邉正裕(わたなべ・まさひろ)
1972年東京生まれ。独立系ニュースサイト MyNewsJapan のオーナー兼編集長、自らもジャーナリストとして雇用・労働問題を中心に『企業ミシュラン』シリーズの執筆を続ける。慶應義塾大学(SFC)卒、日本経済新聞記者、日本IBMのコンサルタントを経て、ジャーナリズムに特化したインターネット新聞社を創業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

株式会社MyNewsJapan 代表取締役 渡邉正裕さん(インタビュー記事)

日本でも、中間層の仕事がなくなる? 『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン氏に聞く 渡邉 正裕 :My News Japan編集長

エリート以外の99%はコミュニティが仕事場藤原和博(その1)


<ブログ内関連記事>

書評 『コンピュータが仕事を奪う』(新井紀子、日本経済新聞出版社、2010)-現代社会になぜ数学が不可欠かを説明してくれる本

書評 『日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル』(内永ゆか子、朝日新聞出版社、2011)-あくまでも「個」をベースに考えるとことが英語よりも大事

書評 『採用基準-地頭より論理的思考力より大切なもの-』(伊賀泰代、ダイヤモンド社、2012)-日本人に必要なものはリーダーシップの実践能力だ




(2012年7月3日発売の拙著です)





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2013年4月1日月曜日

書評 『社長は少しバカがいい。-乱世を生き抜くリーダー鉄則-』(鈴木喬、WAVE出版、2013)-「名物社長」が語る経営論


『社長は少しバカがいい。』。なんとなくふざけた印象だが、すごく気になるタイトルだなあと感じてスルーしていたのですが、先週 「ダイヤモンド・オンライン」のインタビュー記事で、わが母校の大先輩(!)であることを知って、きゅうきょ注文して読んでみることにしたという次第。

著者は、消臭剤のエステーの会長。500人企業で500億円の売り上げをあげる一部上場企業。自らはチーフ・イノベーターと名乗っておられます。

昭和10年(1935年)生まれで戦中派の著者は、根っからの商売人の家系に生まれ育った人ですが、「いつも危機」だったといってます。敗戦後の大混乱などにくらべたら、比較するにもあたらない、と。長く生きてきた人のいうことには耳を傾けるべきですね。

危機的な状況に陥った際に、いかなる方法でそれを切り抜けてきたかが、著者自らが指揮した数々の事例で語られているので説得力があります。

大胆な発言と行動力で会社を引っ張ってきた著者も、ほんとうのところ小心者でセッカチだと正直に述べられております。

英語に play the fool という表現がありますが、日本語に直訳すれば、「バカを演じる」。この fool というのは道化のことでもありますが、「バカを演じるには」にはかなりの知性が必要でありますね。

バカを演じることのできるスゴさこそ、この本から読みとるべきしょう。ほんとうは数学が得意で、統計学のプロだそうです。保険会社でアクチュアリー(保険数理士)の資格を取得したというのだからスゴい。

その一方で、そろばん玉だけでは人はついてこない、と言い切る著者の、社員や顧客の巻き込み方、大いに学ぶべきものがあります。

経営書を読むヒマがあったら歴史書を読めというのも納得です。そしてマキャヴェッリの『君主論』が愛読書の一つというのも並みの社長ではない。リアリズムに徹すべし、と。

騙されたと思って読んでみてください。笑えます。勉強になります。

文句なしに面白い本です。元気の出る本です。あまりにも面白いので、ついつい何度も爆笑してしまいます。電車のなかで読むのは避けたほうがいいかもしれません。






目 次

はじめに
第1章 社長は社長をやれ。
 ① 社長は、高く「旗」を掲げろ。
 ② 社長はバカになって、「本気」を伝えろ。
 ③ あえて角番に立って、クソ度胸を出せ。
 ④ 経営は歴史に学べ。
 ⑤ 社長は大ボラを吹け。
 ⑥ 「運」と「勘」と「度胸」を磨け。
第2章 社長はカッコつけるな。
 ⑦ 社長は、奇麗事を言うな。
 ⑧ 暴走できるくらいの権力をもて。
 ⑨ まず、怖れられろ。慕われるのは、その後だ。
 ⑩ 社長は、常に「最悪」を考えろ
第3章 社長は「人間」を知り尽くせ。
 ⑪ 社長は「常識」をひっくり返せ。
 ⑫ 社長は「営業のプロ」であれ。
 ⑬ 数字から「現実」をつかみ出せ。
 ⑭ 働き一両、考え五両、見切り千両。
 ⑮ 反省はするな、よく寝ろ。
 ⑯ 会社には「シンボル」が必要だ。
第4章 社長は心意気をもて。
 ⑰ バカでなくて大将が務まるか。
 ⑱ 社長は群れるな、逆を行け。
 ⑲ いつでも、顔を高い所に向ける。
 ⑳ 変わり続けなければ、生き残れない。
あとがき


著者プロフィール

鈴木喬(すずき・たかし)
1935年(昭和10年)、東京で日用品の卸をしていた鈴木千蔵の四男として生まれる。戦争にかり出された兄たちにかわり、小学生のころから家業を手伝う。東京大空襲で店を焼かれ、焼け野原のなか父のゼロからの再出発も支えた。
東京都立新宿高等学校を経て、1959年一橋大学商学部を卒業。すでに、父と長兄がエステー化学(現エステー)を設立していたが、「兄貴にこき使われてはかなわない」と日本生命に入社。40代で法人営業部門を立ち上げ、年間契約高2兆円を超える「トップ営業マン」として活躍した。
1985年にエステーに出向。企画部長や営業本部首都圏営業統括部長などを経て、1998年に社長に就任。バブル期に膨らんだ「負の遺産」を大リストラするとともに、新商品開発を年間1点に限定。失敗の許されない状況で、全社の反対を押し切って発売した「消臭ポット」を大ヒットさせる。その後、「消臭力」「脱臭炭」などヒットを連発。生活雑貨業界にイノベーションを起こすとともに、社員数500人の「世界のニッチトップ企業」として、P&Gをはじめとするグローバル企業と戦う企業へと成長させた。
2005年には創業以来最高の純利益18億円を達成、売上高も社長就任時から20%増やした。07年に社長を退任し会長に就任するも、リーマン・ショック後の危機を打開するため09年に社長に復帰、現在に至る。徹底したお客様志向の商品開発、CM等の企業コミュニケーションなど、イノベーティブな企業経営が注目を集めている。
週末に軽井沢にある別荘の近くでスポーツバイクに乗って汗を流すのが息抜き。座右の銘は「運と勘と度胸」。座右の書はマキャベリの『君主論』。(出版社サイトより)



<関連サイト>

エステー・鈴木喬会長【上】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年3月29日)
エステー・鈴木喬会長【中】我がヒット商品の発想法を語ろう好奇心、妄想、ノーメモがアイデアの沈殿物を生む (ダイヤモンドオンライン 2013年4月5日)


エステー株式会社 鈴木喬-私は「壊し屋」かも知れません。 (賢者.TV 2012年4月)
・・以下のプロフィールが掲載されているので引用しておきます。


氏名 鈴木 喬
会社名 エステー株式会社
出身地 東京都
出身校 一橋大学商学部
出生年 1935年
こだわり 負けることは大嫌い
趣味 自転車、スキー、水泳
特技 数学、統計学
休日の過ごし方 お店まわり
座右の銘 「運と勘と度胸」
心に残る本 『君主論』マキアヴェッリ、『戦略の本質』野中郁次郎・戸部良一他
尊敬できる人 勝海舟
現在の仕事の魅力と苦労 世界の名だたる会社と競争している緊張感が魅力です。
日本を背負う若者へのメッセージ 仕事をしている上では「命までは取られない」ので、 思い切ってチャレンジして欲しいと思います。


<ブログ内関連記事>

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するといういうことはどういうことか?

書評 『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』(堀場 厚、講談社、2011)-堀場製作所の社長が語る「京都企業」の秘密

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか




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