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2013年12月31日火曜日

「イオンモール幕張新都心」(2013年12月20日オープン)をフィールドワークしてきた



先週のことですが、2013年12月20日にオープンしたばかりの巨大モール 「イオンモール幕張新都心」をフィールドワークしてきました。訪れたのは平日(12月25日)のお昼どきでしたが、来店客の多さには驚かされました。

しかも、あまりも広大な敷地なので、端から端まで歩くだけで30分以上もかかるのでくたびれてしまいます。

今回はとりあえず全体像をつかむのを目的としたので、個々の店舗はすべて見たわけではありませんが、これだけのテナントを集めたのであれば買い物のために東京まで出かける必要はないな、というものでした。

見た目が国際空港のモールのようで全然イオンという感じではありませんが、あまりにも広くてどうせならバリアフリー対策で電動自動車で移動できるような仕組みとスペースを取ってほしかったような気もします。



グランドモール、ペットモール、ファミリーモール、アクティブモールの4つで構成され、それぞれのモールは歩道で連結されています。

写真は、グランドホール内の「Søstrene Grene」(ソストレーネ・グレーネ)北欧デンマーク発の低価格雑貨店ですね。



ご覧のとおり、平日昼であるのにかかわらず、入場するのに列ができて整理が行われてました。並ぶのがキライなわたしは後日に期して入りませんでしたが、報道によれば、2015年までに日本全国で100店舗を目指すとか。

イオンモール幕張新都心から5kmほどの南船橋には、西館がリニューアルされたばかりのららポートがありますが、駅をはさんで反対側には IKEA(イケア) があります。

IKEA はスウェーデンの低価格家具店。ライフスタイル提供型店舗ですね。 

低成長時代には、「北欧」スタイルが日本にもフィットしてきたのかな、という印象をもちます。もちろん「デザイン重視」の姿勢が根本にありますが、それに加えて「低価格」を支える「合理主義」があるのが「北欧」の特長でしょう。低成長時代の日本も、そういう志向性があるのでしょう。

もともと日本でもデザイン重視の北欧家具は根強い人気があります。外でおカネを使うより家の内部を充実させようというのが冬が長くて厳しい北欧です。

じっさいに「北欧」にいってみて驚くのは「物価」の高さです。スウェーデンもノルウェーもデンマークもフィンランドもみなそうです。しかも福祉社会なので税金が高いだからこそ「低価格」の訴求性がつよいのでしょう。

いま日本は「低福祉社会」の米国型でいくのか、「高福祉社会」の北欧型でいくのかの岐路にたたされてますが、おそらく完全な米国型は日本人には耐えられないことを考えると、米国型と北欧型社会の中間の方向に向かうのではないかと思われます。「中福祉社会」とでもいったらいいのでしょうか。

消費性向もそういう変化を前提に考えないといけませんね。ヒューマンサービスを重視した「おもてなし路線」か、それとも徹底的な合理化によるセルフサービスを前提にした「低価格路線」か。

あくまでも消費者に主導権があるわけですが、たとえ「おもてなし路線」であるとしても、徹底した経営合理化は避けて通れないでしょう。メリハリの付け方が勝負どころになるのです。



千葉県東京湾岸にける「外資系大規模小売業」の盛衰

幕張新都心にはのコストコが現在も好調です(写真下)。



コストコ・ホールセール(Costco Wholesale)はアメリカ生まれの大型会員制の倉庫店。コストコが日本に進出したのは1999年。幕張新都心に出店したのは第2店目で2000年、首都圏でははじめての出店ですが、それから13年たっています。早いものです。

おなじく2000年には、幕張にはフランスのカルフール(Carrefour)が出店したのですが、いまやその影すらありません。カルフールは 2005年にはイオンに売却して日本撤退、その後大規模小売業としてのカルフール・ブランドは日本からは完全に消滅してしましました。もはやだれの記憶にすも残ってないのかもしれませんね。カルフールは韓国からもタイからも撤退し、現在は中国に投資を集中しています。ハイパーマート(hypermart)という業態です。

コストコとハイパーマートはいずれもクルマ社会を前提にした低価格志向この2つの外資系大型小売業の業態(フォーマット)ですが、この二つの小売フォーマットがなぜ明暗をわけたのだろうかと考えてみたくなります。

浦安から船橋をへて幕張にかけの千葉県の東京湾岸は、もともとクルマ社会なので、基本的にアメリカのようなものです。千葉都民とも揶揄されるように東京に近いことから東京に出勤・通学する人も多く、商圏内人口も多いので大規模小売業やレジャー施設出店の実験場として使用されるようです。



IKEA(イケア)もじつは1970年代にいちど進出したが撤退し、再度チャレンジで定着したという経緯があります。2回目のチャレンジも第1回目と同じく第一号店は船橋から始めていますが、再度のチャレンジは成功したといってよいでしょう。

2013年12月20日にオープンした「イオンモール幕張新都心」ですが、イオンの本社が幕張にあるので、旗艦店としての位置づけのようです。しかし、最後に幕張で笑うのはイオンなのでしょうか? イオンモールははたして最終形といっていいのでしょうか?

まだ結論をくだすのは早いかもしれません。

そもそも栄枯盛衰が激しいのが小売業界30周年を迎えた「ららポート」だって、できたときはすごく新鮮だったのです。ことし11月にリニューアルされたばかりの南館も、テナントは新しくなりましたが建物じたいはイオンモールと比べるとイマイチにみえてしまいます・・・

そしてその「ららポート」ですら、わたしが高校時代の頃までは「船橋ヘルスセンター」(・・知ってますか?)だったのです。

イオンモールは体験型をコンセプトとして打ち出してますが、「船橋ヘルスセンター」もまた体験型施設でありました。

長期的なトレンドをどう読むか、これはじつにむずかしいことですね。



<関連サイト>

国内3位の巨大SC イオンモール幕張新都心を大解剖 (日本経済新聞 2013年12月28日)

 「Søstrene Grene」(ソストレーネ・グレーネ)ですが、FBページもあります
・・日本初出店についても記事が投稿されてます。  Today we had the Grand Opening of the first Søstrene Grene shop in Japan. It was...

世界一の幸福大国で暮らすデンマーク人の、幸せな人生を送るための秘密 (大本 綾、ダイヤモンドオンライン、2014年2月28日)  「幸福大国デンマークのデザイン思考」 目次

千葉県船橋市に北欧雑貨「フライング タイガー コペンハーゲン」がオープン
・・イオンモールの競合先である三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAYに、デンマークの低価格雑貨店 Flying Tiger Copenhagen ららぽーとTOKYO-BAYストア が2014年3月14日にオープン。ますます北欧化が進行中

ららぽーとTOKYO-BAYは、なぜここまでのリニューアルに取り組むのか? (ダイヤモンドオンライン、2014年4月9日)
・・「ららぽーとTOKYO-BAY」と「イオンモール幕張」の比較表が参考になる

地方都市は「ほどほどパラダイス」になった! 地方の若者におけるイオンモールの存在感 (東洋経済オンライン、2014年07月27日)

大都市郊外の働く母は「モールと生きる」 百貨店はもういらない!? モールですべてが事足りる (東洋経済オンライン、2014年07月28日)



<ブログ内関連記事>

IKEA (イケア) で北欧ライフスタイル気分を楽しむ-デフレ時代の日本に定着したビジネスモデルか?

書評 『クオリティ国家という戦略-これが日本の生きる道-』(大前研一、小学館、2013)-スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」に次の国家モデルを設定せよ!

「ふなばしアンデルセン公園」にはじめて行ってみた(2014年4月6日)-デンマーク王国オーデンセ市と千葉県船橋市が姉妹都市となって25年
・・船橋市とデンマークのかかわり

新装刊の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年7月号を読む-今月号の特集は「アップルが、世界を変える」 
・・デンマークについて書いてある

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか
・・「おもてなし路線」をささえる経営と組織の仕組みとは

(2014年4月9日 情報追加)





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2013年12月29日日曜日

書評 『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(鈴木博毅、マガジンハウス、2013)-ただし、スキルやテクニックは適切な使用法をまもって使用すべし


『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』というタイトルに惹かれて読んで見ることにしました。

「レビュー+」からレビューを依頼されてのことですが、「個と組織」の問題を考えるうえでなにかヒントになるものがあるかもしれないと思ったからです。

読んでみてわかったのは、重点が置かれているのは後半の「思いどおりに人を動かす方法」のほうのようでした。


人間は概して思い込みや固定観念に支配されやすい

「空気」を読め、「空気」に流されるなとはよくクチにされますが、「空気」そのものは目に見えるもlのではありません。「空気」は感じるものだからです。

二人以上の人間集団のあいだで形成されるのが「空気」です。しかし「空気」を生み出す源泉は、個々の人間のアタマとココロの内部ということに注意しなくてはなりません。

「空気」そのものは無色透明ですが、それを淀んでいると感じるか、澄んでいると感じるかはあくまでも当の本人の感じ方次第です。つまり「空気」は事実として存在していても、人間の感じ方はパーセプション(認識、知覚)であるわけです。 

二者間で意見の不一致が生まれるのは、それぞれのパーセションが重なり合わないからです。

目的をもった3人以上の人間集団であれば「組織」といっていいでしょう。3人の場合、多数派の2人にとって当たり前の「空気」であったとしても、少数派の1人にとってそうではないと捉えられることがあります。多数派にとっては無意識に当たり前だとしても、少数派は意識せざるをえないからです。

人間は概して思い込みや固定観念に支配されやすい存在です。「そうだ、そうだ」という「共感」が得られると、そこに「空気」が形成されます。「流れ」といっていいかもしれません。

著者は、「空気」について4つのタイプがあると分類しています。

タイプ1 問題への「問い」を設定することで生まれる「空気」
タイプ2 思い込みに誘発されて生まれる「空気」
タイプ3 検証、測定による偏った理解から生まれる「空気」
タイプ4 選択肢を限定したことで生まれる「空気」

これだけでは抽象的すぎますが、要は意識的に「空気」を形成することができるということを意味しています。しかも知っていて意識的に操作する人間が、組織もふくめた人間集団内に存在するということを意味しています。

著者は、それぞれのタイプごとに、「思いどおりに人を動かす方法」について、スキルとテクニックが解説しています。思い込みや固定観念からみずからを解き放ち、それによって他人の間違いも気付かせてあげることは可能だと著者は言うわけです。


しかし「空気」を変えるのは難しい

「空気」が生まれる理由、「空気」を操るスキルやテクニックは、アタマでは理解できなくはありません。しかしながら、この本を読んでいても、最後の最後まで疑問が残ります。

二者間のコミュニケーションギャップを解消するのは、本書で紹介されているスキルやテクニックをつかえば可能でしょう。

しかし3人以上の人間集団である組織内ではどうなのでしょうか? 

自分が主導権を握って「空気」つくりを仕掛けていくのであれば、組織内であっても「空気」をつくるのは不可能ではないと思います。変えるよりも、あらたにつくるほうが容易だからです。

しかし、多くのビジンスパーソンにとっての悩みとは、組織内で少数派になったとき、言いたいことも言えずに、意に反して「空気」に流されてしまうということではないでしょうか? たとえ理路整然と意見を述べても。その場の「空気」にを変えることはできない、それどころか「空気」を読めないヤツだと評価を大幅に下げてしまう危険。

「空気」についてはじめて指摘したのは評論家の山本七平ですが、本書にも「空気」の変え方についての前近代社会の日本人の知恵が紹介されています。「水をさす」という手法です。多数派が失念していた意表外な発言をして、その場の「空気」を消滅させてしまうテクニック。これは劇的な効果があります。

しかし、著者が称賛する白洲次郎出光佐三などは、憧れる人は多いものの、ほんの一握りの例外的な存在です。彼らはナショナリストの日本人でありましたが、日本社会から突き抜けたところのあった、いわば「非日本的な日本人」だったというべきでしょう。ですから真似しようとしてもじつはきわめて難しい。彼らは「空気」など、はなから相手にしていないのです。

フツーの日本人は、先輩後輩や入社年次などの上下関係や、出身地や出身校などの組織図には表現されていない同調圧力のつよい「非公式組織」で動いている面が多々あるので、正論が正論としてそのまま通用するわけではないのです。だからこそ少数派は悩む苦しむわけです。

組織内で「空気」が固定すると「世間」になるのです。残念ながら本書には「世間」についての考察がありません。「空気」と「組織」の関係については、『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)を読んでいただきたいと思います。

「世間」についてまで突っ込んで考察しないと、日本人によって構成されている組織の問題を解決することはできません。


スキルやテクニックはただしい使用法を守るべし

著者が解説するスキルやテクニックは、それ自体としては正しいとしても、適切な使用を間違えると命取りになる危険があります。

多数派が形成する「空気」に異論を述べる者は、それが正論であればあるほど、よけいに命取りになる危険が高いからです。

だからこそ、「思いどおりに人を動かす方法」は、組織内でのコミュニケーションのあり方まで踏み込んで実行する必要があるのです。そのために必要なのは徹底的な「観察」です。観察は読みと言い換えてもいいかもしれません。

効果的な発言は適切な読みがあってこそパワーを発揮するもの。結局は「空気」を読まないと「空気」を変えることはできないわけなのですね。

でなければ、なかなかむずかしいものがありますが、白洲次郎のように、自分自身が突出した存在、打たれないほどの「出過ぎた杭」になってしまうことです。そういう存在になってしまえば、「空気」をつくるのは簡単です。

あるいはダイバーシティ(多様性)を組織に導入して異質な「空気」を導入することです。しかしそれもまたかならずしもうまくいくとは限りません。

したがって、本書で紹介されているスキルやテクニックは、適切な使用法をまもって実践の場で使用していただきたいと思うわけです。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。




目 次
プロローグ 「空気」とは何か?

第1章 「空気」を動かすことがなぜ重要なのか?
 「空気」を動かせることが名将の条件
 突然1000億円の借金を背負ったら・・・・
 「会社の悪口を言う会議」で業績が上がる?
 米国では、弁護士は「空気」を武器にする
 男女の仲が突然おかしくなるのも「空気」のなせる業

第2章 「空気」の違いを知る
 タイプ1 問題への「問い」を設定することで生まれる「空気」
 タイプ2 思い込みに誘発されて生まれる「空気」
 タイプ3 検証、測定による偏った理解から生まれる「空気」
 タイプ4 選択肢を限定したことで生まれる「空気」
 史上最高のサッカー監督のひとり、ジョゼ・モウリーニョ
 零戦の悲惨な敗北を生み出した「空気」
 婚活や合コン、結婚生活と「空気」の関係

第3章 「空気」を動かす方法
 スキル1 現実に対して新しい「問い」を設定する
 スキル2 体験的な思い込みを解消する
 スキル3 検証、測定による偏った理解を正す
 スキル4 選択肢を増やして可能性を高める
 「空気」を動かすことで、敗者も勝者に生まれ変わる
 過去の公害問題と戦争の「空気」から学ぶこと 
 会議やプレゼンの段取りよい進行と「空気」
 上手なクレーム対応と「空気」の関係

第4章 「空気」を読めるとは、どういうことなのか?
 一流の人、粋な人は美しく「空気」を読んでいる
 従順奈良座rう唯一の日本人と評された人物
 『海賊とよばれた男』のモデル、出光佐三の驚くべき突破力
 京セラ創業者、若き稲盛和夫氏を育てた人物の心意気
 Power of Dream ホンダと「空気」を動かす威力

第5章 「空気」を動かすテクニック
 テクニック1 現実に対して新しい「問い」を設定する
 テクニック2 体験的な思い込みを解消する
 テクニック3 検証、測定による偏った理解を正す
 テクニック4 選択肢を増やして可能性を高める
 「空気」を動かすためのキラーフレーズ

あとがき
 「空気」は使い手によって、勝利への武器、悲劇の芽となる



著者プロフィール

鈴木博毅(すずき・ひろき)
1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting代表。 貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。 その後、国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。 戦略論や企業史を分析し、新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。 わかりやすい解説の講演、研修は好評を博しており、顧問先には著名ランキングで顧客満足度1位の企業や、特定業界で国内シェアNo.1企業など成功事例多数。 日本的組織論の名著『失敗の本質』をわかりやすく現代人向けにエッセンス化した『「超」入門 失敗の本質』(ダイヤモンド社)の他、 著書に『ガンダムが教えてくれたこと』 (日本実業出版社)、『超心理マーケティング』(PHP研究所)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

タガメとカエルが築いた偽装の王国の罪(深尾葉子)

放送禁止用語になった「タガメ女」 (深尾葉子、日経ビジネスオンライン、2014年4月4日)
タガメの共食いが作り出す「ママ友社会の闇」 (深尾葉子、 日経ビジネスオンライン、2014年4月18日)
激化するカエル男争奪戦が少子化を加速する-ジャンボジェットと共に消えた? ロスジェネの夢  (深尾葉子、 日経ビジネスオンライン、2014年5月2日)
タガメとカエルが築いた偽装の王国の罪-90年前に問題視されていた「退化婦人(タガメ女)」  (深尾葉子、 日経ビジネスオンライン、2014年5月16日)
・・深尾氏は使用していないが「世間」がつくりだす「空気」について、「タガメ女とカエル男」について書かれた著書ほど的確にえぐりだしたものはない。大阪大学経済学部教授の深尾葉子氏は、『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』(講談社プラスアルファ新書、2013)『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』(講談社プラスアルファ新書、2013)の著者。この両書をよめば、日本の「企業社会」がいかなるものか、理解が深まることだろう。なぜ日本の組織では「事なかれ主義」という「空気」が充満しているのかについて。





<ブログ内関連記事>

書評 『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)-日本人を無意識のうちに支配する「見えざる2つのチカラ」。日本人は 「空気」 と 「世間」 にどう対応して生きるべきか?
・・「壊れた『世間』にかわって現在の日本人、とくに若い人たちを支配して猛威をふるっているのが『空気』だという指摘は、実に納得いくものである」「安定した状態ではその組織なり人間関係の中で『世間』が機能するが、不安定な状態では『空気』が支配しやすい。/『世間』が長期的、固定的なものであるのに対し、『空気』は瞬間的、その場限りの性格が強い」。

ネット空間における世論形成と「世間」について少し考えてみた

ネット空間における「世間」について(再び)

書評 『見える日本 見えない日本-養老孟司対談集-』(養老孟司、清流出版、2003)- 「世間」 という日本人を縛っている人間関係もまた「見えない日本」の一つである

書評 『醜い日本の私』(中島義道、新潮文庫、2009)-哲学者による「反・日本文化論」とは、「世間論」のことなのだ

集団的意志決定につきまとう「グループ・シンク」という弊害 (きょうのコトバ)
・・グループシンクという「空気」がつくりだす「集団浅慮」のワナ

映画 『es(エス)』(ドイツ、2001)をDVDで初めてみた-1971年の「スタンフォード監獄実験」の映画化
・・視線という権威、権力が支配する空間が「世間」。集団同調圧力は日本人以外にも働くのである

映画 『偽りなき者』(2012、デンマーク)を 渋谷の Bunkamura ル・シネマ)で見てきた-映画にみるデンマークの「空気」と「世間」
・・「世間」も「空気」も特殊日本的現象ではない

「プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか」-白洲次郎の「プリンシプル」について
・・プリンシプルをもった生き方とは日本人離れしたということ。つまり世間のしばりにとらわれない生き方だ

「人間尊重」という理念、そして「士魂商才」-"民族系" 石油会社・出光興産の創業者・出光佐三という日本人
・・日本人の精神のあり方を説いていた出光佐三自身はきわめて「突出した日本人」であった

朝青龍問題を、「世間」、「異文化」、「価値観」による経営、そして「言語力」の観点からから考えてみる

書評 『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』(石井琢磨、すばる舎、2013)-「論理」だけに頼らず「心理」を大いに利用すべし!





(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)





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2013年12月16日月曜日

書評 『代官山 オトナ TSUTAYA 計画』(増田宗昭、復刊ドットコム、2011)-「リアル店舗」における「レコメンド」の意味について考える


2011年に誕生した代官山蔦谷書店。書籍・CD・DVDという商材を売るのではなくライフスタイルを売るのがそのコンセプト。現時点でのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の総集編といった位置づけのようです。

わたしも一度いってみましたが、緑豊かな敷地に低層階の建物が並ぶ4000坪の新型商業施設は、これまでのTSUTAYAのイメージが完全に崩されます。

代官山蔦谷書店は、CCCが「プレミアエイジ」と呼ぶ50歳以上の大人たちがメインターゲット。

世代的には「プレミア世代」ではありませんが、書籍・CD・DVDというこの3つパッケージ化されたコンテンツがなければ生きていけないわたしのような人間にとっては大いに関心のある存在でです。代官山の近くに住んでいないのが残念です。

CCC会長で本書の著者・増田宗昭氏は、「TSUTAYAは企画会社」であると述べています。そして、「企画とは情報の組み合わせ」である、と。

こう聞かされると、企画の本質とイノベーションの本質は同じであることがわかりますね。

イノベーションは既存の情報の並べ替えによる組み合わせ。そのキッカケとなるのは、既知の情報ではない未知の情報が触媒となるときです。

インターネット時代にはすでに情報編集がフラット化し、専門家の占有ではなくなっています。既知の情報はいくらでも検索によってネット空間から引っ張りだせるわけです。その結果、顧客の側は当然のことながら、フリーかどうかにはかかわりなく顧客はすぐに見破ってしまう。

顧客にとっての未知の情報とは、情報そのものよりも、情報の組み合わせの仕方や見せ方といったものになるでしょう。

(代官山蔦屋書店 筆者撮影)

「企画は店舗として、建築物として可視化する」というのが増田氏のポリシーですが、店頭における情報の組み合わせの仕方や見せ方は「レコメンド」(推奨)となります。

あるいはネット的な表現をつかえば「キュレーション」となるでしょう。アナログに近い発想なら「コンシエルジュ」に近いかもしれませんが、まずは店舗の側が「見せる」ということが前提になりますね。

販売する側にとって必要なのは、商品であるコンテンツに対するリスペクトだという増田氏の指摘はきわめて重要です。

商品に対する愛情あるいはリスペクトがあることによって、情報をもっている顧客とのあいだに共通の基盤が成立し、コミュニケーションも成立するのです。そのコミュニケーションの一部として金銭を媒介とした売り買いも発生すると考えるべきなのでしょう。

アマゾンなどのネット書店における機械による「レコメンド」機能との差別化をいかに図るか、アナロぐのリアル店舗の可能性について考えるヒントにもなる内容の本です。

ただ、2013年時点で読むとすれば、フェイスブックなど友人関係を媒介とした人力(じんりき)による「レコメンド」とどう差別化を図るかという課題も生まれています。

もちろん、ネットとリアルのインタラクション(相互作用)について仮説検証を繰り返していくことは当然ですね。

抽象的な思考や哲学をベースにした企画を具体的な店舗として可視化するという姿勢。本書から得ることのできる発想がいろいろあると思います。





目 次

はじめに 企画の羅針盤
第1部 "プレミアエイジ" という可能性
 第1章 "世界初" を目指してはならない!
 第2章 顧客の皮膚感覚との距離
 第3章 "顧客価値" の鏡像関係
 第4章 "大人を変える大人" の誕生
 第5章 人がポジティブになれる場所
 第6章 "モノ" と "コト" のベクトル
 対談 糸井重里×増田宗昭 「プレミアエイジの楽園」
第2部 コミュニケーションの力学
 第7章 オンとオフの溶解がもたらすもの
 第8章 代官山と軽井沢という森の磁場
 第9章 "編集権" が移行する時代 
  第10章 リコメンド進化論
 第11章 コンテンツは有料か無料か?
 第12章 オンラインは体温を持てるか?
 対談 飯野賢治×増田宗昭 「コミュニケーションの価値と質」
第3部 "森の中の図書館" を抱く街
 第13章 建築とはすなわちメディアである
 第14章 代官「山」と渋「谷」の位相
 第15章 旧山手通りのテロワール
 第16章 TV局所在地と視聴率の意外な相関
 第17章 "森の中の図書館" を流れる時間
 第18章 「観られない映画はない」へのロードマップ
 第19章 4000坪のカフェで起きるドラマ
 第20章 出発点と到達点をつなぐもの
 対談 クライン ダイサム アーキテクツ×増田宗昭 「シンプルで強いメッセージ」
おわりに 螺旋の行程


著者プロフィール

増田宗昭(ますだ・むねあき)
1951年1月20日生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役CEO・最高経営責任者。




<関連サイト>

代官山T-SITE (代官山蔦谷書店)

僕がいっさい図面を見ないから、代官山 蔦屋書店ができた カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長・増田宗昭さん(1) (川島 蓉子 日経ビジネスオナイン、2013年9月6日)



<ブログ内関連記事>

キュレーション (きょうのコトバ)

書評 『わたしはコンシェルジュ-けっして NO とは言えない職業-』(阿部 佳、講談社文庫、2010 単行本初版 2001)-「コンシェルジュ」という「ホスピタリティ」の仕事と「サービス」の違いとは?

書評 『知的唯仏論-マンガから知の最前線まで ブッダの思想を現代に問う-』(宮崎哲弥・呉智英 、サンガ、2012)-内側と外側から「仏教」のあり方を論じる中身の濃い対談
・・代官山蔦谷書店で行われた出版記念トークショーに参加(2012年11月23日)

書評 『アースダイバー』(中沢新一、講談社、2005)-東京という土地の歴史を縄文時代からの堆積として重層的に読み解く試み
・・「第14章 代官「山」と渋「谷」の位相」で、『アースダイバー』にインスパイアされたことが語られている




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2013年12月9日月曜日

ふなっしーにとって「非公認」こそ増殖する「ゆるキャラ」のなかでの "勲章" であり "差別化" ポイントだ



船橋ウォーカー』がついに発売されました! 船橋市民としてはたいへん喜ばしくウェルカムです。これまでは『船橋・習志野ウォーカー』でしたので「独立」ということになります。

「非公認ゆるキャラふなっしー」のおかげで船橋が全国的な知名度をもつにいたったわけです。ゆるキャラじたいの魅力と、ゆるキャラが代表する地域の相乗効果(=シナジー)が生まれたわけです。「ふなっしー」さまさまであります。

千葉県北西部の東京湾岸地帯(=東京ベイエリア)においては、船橋市に隣接する習志野市とあわせて「ふななら」(=船・習)とされています。それはそれとして、船橋市民としては、さらに細分化されて船橋だけが独立したのはうれしいことなのです。

船橋は交通の便もいい。羽田空港と成田空港のほぼ中間にあります。ららぽーとやIKEAなどみな船橋が発祥の地。船橋の梨はうまい。これはふなっしーが勝手に言っているのではなく、ゆるぎない事実でありますよ。もちろん「船橋市公認ゆるキャラ」の「船えもん」が推奨する海産物もまた。

などと船橋の地元自慢をかさねてもあまり意味はないでしょうから、ここらへんでやめておきますが、たいていの人にっては、自分の地元が注目を浴びるのはうれしいものでしょう。

「ゆるキャラ」ブームのなか、船橋市は公募したなかから選ばれた「船えもん」を公認したのですが、残念なことにイマイチの状態が続いています。けっして悪いキャラだとは思わないのですが・・・

一言でいってしまえば、「ふなっしー」があまりもエッジの立った濃いキャラであるからなのです。突出しているのです。

気ぐるみですだが、飛んだり跳ねたり、しゃべったりというのはいままでなかったし、「ゆるキャラサミット受賞」して全国的知名度の高い滋賀県彦根市の「ひこにゃん」熊本県の「くまモン」には考えられないことです。

「ふなっしー」は、船橋市在住のデザイナーが地元の船橋を元気にし、ひいては日本を元気にしたいという思いから一念発起し、まったく個人的にはじめたものです。

船橋市からは公認してもらえず、自分で動画をアップするなどの努力の末、徐々に認知度が高まって、マスコミへの登場などをつうじて、ついには全国的な知名度を獲得するにいたったという次第です。

先日、「ゆるキャラサミット」が埼玉県羽生市で開催されましたが、参加するゆるキャラは増える一方で、ゆるキャラをつくっただけではすでに特別な存在ではなくなってています。

増え続けるゆるキャラのなかでいかに目立つか? これはゆるキャラを推進する自治体の関係者にとっては、じつに悩ましいが喫緊の課題でありましょう。

さすがに船橋市も「ふなっしー」の貢献をたたえて11月には感謝状を贈りました。遅きに失した感もなくはありませんが、あたらしく選出された船橋市長は過去のしがらみがないので英断に踏み切ったのでありましょう。

現在の船橋市長は、「ふなっしー」が「非公認」であるがゆえに価値があるということの意味もわかっているので、ヤボなことはしなかったようです。

「非公認」ということじたいが勲章であり "差別化" ポイントなわけですね。

はたして「ふなっしー」を越えるような「非公認ゆるキャラ」は出現してくるのかどうか?







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地域密着型で成功した 「地域新聞」 というフリーペーパー(=無料紙)のビジネスモデルを知ってますか?

民主党による政権交代からちょうど二年-三人目の首相となった第95代内閣総理大臣の野田佳彦氏は千葉県立船橋高等学校の出身である (2011年8月30日)

船橋漁港の「水神祭」に行ってきた(2010年4月3日)
・・いまでも「漁師町」でもある船橋

船橋大神宮で「酉の市」・・商売繁盛!を祈願 (2009年12月の酉の日)

初詣は船橋大神宮で参拝、そして境内にある"木造の灯台"を見学してきた(2010年1月3日)

船橋大神宮の奉納相撲(毎年恒例10月20日開催)を見に行ってきた






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2013年12月5日木曜日

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか


星野リゾートもまた「自律分散型組織」の実践例。「現場」に権限委譲して、「現場」のチカラを最大限に引き出す経営スタイルを行っています。

もともとは家業であった中小の旅館業であったがゆえに、人の採用が難しい、採用しても定着しない、大卒を採用して育ててもいずれ辞めてしまうといった、人材にかかわる問題を社長の星野佳路氏は抱えていたとのこと。

だからこそ、トップダウンのスタイルの限界に気づいて経営スタイルを転換、思い切って「現場」に大幅に権限委譲して、「任せて見守る」経営スタイルに転換した結果、現在に至ったということのようです。

「現場が考えて現場で決めて動ける組織」に変え、多様な働き方ができるように対応、しかもその制度が持続可能なものとなるような工夫の数々。「現場」が考え実行する組織はどうやったらできるのか、そのヒントがナマの形でちりばめられた本。

解決策はつねに現場にある、経営の役割は方針を決めて、あとは現場にまかせること。自律性ある従業員による組織は、一方では高度なマネジメント能力と裏合わせでないとうまくいかないのです。しかし、自律性ある従業員による組織は、一方では高度なマネジメント能力の裏づけがないとうまくいかないことが、わかる人にはわかるのでしょう。

この本は、「現場」のスタッフたちが顧客満足度(CS)を向上させるために自分たちで考え、自分たちで話し合い、自分たちで決めたことを自分たちで実行するなかで発生した具体的な「事件」を、従業員視線と経営者視線の両面を、等距離の立場で第三者である記者が書いたものです。

TVなどのマスコミで有名な星野リゾートですが、あらためて活字の形で考えながら読むと、さまざまな「気づき」を得ることができるでしょう。

サービス業に従事する人のあいだではすでにバイブル的な本ですが、実践の記録である本書は、旅館業やホテル業、そしてサービス業だけでなく、サービス経済化が進むすべての業界で応用可能なものをもっています。読者が自分の現場に則して、どこまで「気づき」を得ることができるかにかかっているといっていいでしょう。

たとえば、いかに「慣性の法則」にとらわれたベテラン従業員を意識変革に促すか、企業理念の原理主義者である「新人」のもつ意味現場の「気づき」をうながす質問力のあり方、ファシリテーター型のリーダーシップとは、イノベーティブな組織であるために不可欠なフラットな人間関係などなど。

経営者の星野氏自身も「解説」という形で寄稿していますが、基本的に「当事者」ではない第三者である記者が従業員の活動と経営者の活動を等距離で見ていますので、読者が得る「気づき」は経営者が書いた経営書よりも多いかもしれません。

「当事者」ではない第三者というスタンスはコンサルタントなどとも共通するものがありますが、組織のなかにいるとなかなか気づきにくいものです。

経営者にとっても、現場のスタッフにとっても、それぞれの立場で読んで得るものの多い本です。まだ読んでない方は、ぜひ読むことをおすすめします。



目 次

はじめに
頂上駅の雲海 アルファリゾート・トマム(北海道占冠村)
踊る超名門旅館 古牧温泉 青森屋(青森県三沢市)
新入社員のブチ切れメール アルツ磐梯(福島県磐梯町)
一枚のもりそば 村民食堂(長野県軽井沢町)
地下室のプロフェッショナル 星のや 軽井沢(長野県軽井沢町)
先代社長の遺産 ホテル ブレストンコート(長野県軽井沢町)
地ビールの復活 ヤッホー・ブルーイング(長野県軽井沢町)
常識との決別 リゾナーレ(山梨県北杜市)
スキー場なきスキーリゾート リゾナーレ(山梨県北杜市)
激論する未経験スタッフ アンジン(静岡県伊東市)
名おかみの決断 蓬莱(静岡県熱海市)
あとがきにかえて 社員が辞めない会社になる
解説 事件が会社を強くする 星野佳路 星野リゾート社長




著者プロフィール

中沢康彦(なかざわ・やすひこ)
1966年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。新聞社記者を経て日経BP社に入社。「日経ビジネス」記者などを経て、現在、「日経トップリーダー」副編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの



・・活力あふれる企業風土の背景には、現場のリーダーシップと経営のリーダーシップを融合させた、チームスポーツ型の組織運営がある。

「あ、失敗しちゃった」という人が現場で信頼されるワケ 第4回 星野佳路・星野リゾート社長(中) (日経ビジネスオンライン 2013年11月6日)
・・「人間関係がフラットじゃないと、コミュニケーションはうまくいきません。」(星野氏)  この短いコトバこそキモのキモ。

フラットな組織にするためのヒントは以下の発言に。

「大学の新卒組というのは、社会人の経験がないから、良い意味でも悪い意味でも超フラットなんです。サークルの延長線上で会社に入ってきますから。彼らを地方の再生現場に送ると、まず衝突します。「星野リゾートなんだから、こういうことをするのが当然じゃないですか」と言い出す。その衝突の中から、フラットになるきっかけみたいなものが出てくる。
 そうすると、古くからいる人たちも、フラットにコミュニケーションしている人たちを見て、「上下関係を気にしなくても全然平気なんだ」「何も問題は起きないんだ」ということが分かって、だんだんまねをするという現象が起きてくる。そのうち、「言わなきゃ損だ」ということになる。それがうちの現場がフラットになるルートのような気がします。」
・・この記事で初めて知りましたが、星野社長は大学時代は体育会アイスホッケー部の主将だったんですね。経営学者の野中郁次郎氏のいう「知的体育会系」を体現したような経営者です。

星野さんはホテルマネジメント分野では世界最高の教育機関である、アメリカのコーネル大学ホテル学科で修士号を取得されてますね。コーネル大学のキャンパスには大学が経営しているホテルがあって実践的な教育が行われているそうです。

「やめること」を決めることが、僕の最後の仕事 第4回 星野佳路・星野リゾート社長(下) (日経ビジネスオンライン 2013年11月13日)

現場スタッフ一人ひとりの「気づき」が最高のおもてなしを生み出す源泉に(前編) (日経BPネット 2014年1月27日)
・・「星野: リゾート施設を魅力的にするために、私が一番重要だと考えているのは、現場の最前線でお客様と接するスタッフです。いくら経営陣に素晴らしい人材がいても、お客様の要望や期待と直接向き合うのは現場のスタッフです。スタッフ一人ひとりの対応が、お客様による星野リゾート全体の評価となります。現場スタッフがその場その場で下した意思決定の質が、星野リゾート全体の業績を大きく左右することになります

星野リゾートの経営の醍醐味は、お客様満足度とコストのバランス(後編) (日経BPネット 2014年2月3日)
・・「星野: いえいえ、フラットな文化と規律の厳しさは関係ありません。うちの場合は、フラットであることが規律なんです。規律というのは「みんなでやろう」と決めたことをきちんと守ることです。星野リゾートの場合は、「フラットな文化になろう」と決めているので、これを守ることが規律なのです」


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「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏

書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)-日本の経営学を世界レベルにした経営学者・野中郁次郎の知られざるロングセラーの名著
・・「知的体育会系」というのは野中教授のネーミング

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる
・・「(フラットな組織である)オーケストラにおいては、個々の演奏者が、いかに他の演奏者とのハーモニーをつくり出すことができるかということであり、別の表現をつかえば、いかにチームワークを作りあげるかということになる。「もともと日本には、教会の響きのなかで賛美歌を歌いながらハーモニー(調和・和声)を創っていくという習慣がない。そのため、お互いの音を聴き合ってハーモニーを創っていくという意識が、どうしても低くなっているようにみえる」(P.157~158)」 日本と西欧との大きな違い。

書評 『アマン伝説-創業者エイドリアン・ゼッカとリゾート革命-』(山口由美、文藝春秋、2013)-植民地解体後の東南アジアで生まれた「アマン」と「アジアン・リゾート」というライフスタイルとは?

(2014年3月19日、12月28日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)





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2013年12月4日水曜日

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡


セブンイレブン(7-11)が日本で誕生して2013年11月で40年(!)になりましたが、日本でこの業態を切り開いた最大手のセブンイレブンとはまったく真逆の組織戦略で作り直されたのが二番手のローソン。

そのローソンを「自律分散型組織」として再生させたのが新浪剛史氏です。「万年2位」に甘んじていた従業員の意識をいかに変革したか、この本でその10年間の取り組みを時系列と機能ごとの変革を概観することができます。

セブンイレブンが鈴木敏文会長を中枢頭脳とする「中央集権型」とすれば、ヒト・モノ・カネの経営資源では劣るローソンは苦肉の策として「自律分散型組織」で社員や加盟店オーナーのやる気を引き出す方向しかなかったわけです。

つまり限られたリソース(=経営資源)をいかに巧みに組み換え、「勝つべき地点」を設定しるといいう戦略とその実行が「自律分散型組織」であったわけです。

具体的な経営施策は以下のとおりです。

まずは変革の起爆剤として「成功体験」を作り、人材面では「ダイバーシティ(=多様性)と分権」を導入し、パートナーとしてのフランチャイズオーナーの地位を上げ、、「マネジメント・オーナー」制度を導入してやる気のある加盟店オーナーを育て、脱POSシステムの観点から「個」としての消費者動向をつかむためメンバーカードをベースにした「CRM」に挑戦し、新規分野にヒトを回すため業務改善の「BPR」に取り組む。

いずれも小売業とコンビニの常識に大胆に挑戦したものです。

そして仕上げとしては、ガバナンスのための集団経営体制にむけて、カリスマ経営に頼らない体制をつくる。

ローソンの組織変革の中核にあるものは「自律分散型組織」ですが、これはできるだけ現場に近い部署に権限を委譲し、現場の創意工夫を引き出す経営スタイルのことです。「自律分散型組織」は「自律型人材」を必要とします。

そしてまた、「自律型人材」になればなるほど遠心力が働きますので、一方では人材を組織人としてまとめていくための求心力が必要になります。それが経営理念です。

「自律分散型」か「中央集権型」は二者択一ではありません。企業が置かれている状況によって異なる選択肢です。

ベンチャー立ち上げから初期段階では当然のことながら強いリーダーによる中央集権型組織で一点集中突破、しかしつぎの段階以降では自律型組織に転換していくのが望ましいでしょう。

企業組織の内部で「個と組織」をどうバランスさせるか、そして基本的に「個」である消費者の心をどうつかむか、これは永遠のテーマであります。キーワードは「個」にあるのです。




目 次

はじめに
第1章 試された「分権経営」-ドキュメント・東日本大震災
第2章 迷走する経営と上場の「傷跡」-社長就任前夜
第3章 一番うまいおにぎりを作ろう-「成功体験」を作る
第4章 「田舎コンビニ」を強みに転じる- 「ダイバーシティーと分権」の導入
第5章 オーナーの地位を上げましょう-「ミステリーショッパー」の導入
第6章 加盟店オーナーにも「分権」-「マネジメント・オーナー」の誕生
第7章 「個」に解きほぐされた消費をつかむ-「CRM」への挑戦
第8章 「強さ」のために組み替える-「BPR」の取り組み
第9章 僕が独裁者にならないために-集団経営体制と新規事業
第10章 人間・新浪剛史-その半生
【インタビュー】スクウェア・エニックス 和田 洋一社長 「起業家ではない経営者」という同類から

著者プロフィール

池田信太朗(いけだ・しんたろう)
『日経ビジネス』記者。ビジネス情報誌『日経ネットブレーン』、中小企業向けIT情報誌『日経IT21』、『日経アドバンテージ』、定年退職者向けライフスタイル誌『日経マスターズ』の編集・記者などを経て、2006年から『日経ビジネス』で小売り業界を中心に取材、執筆。2011年12月に『日経ビジネスDigital』の立ち上げを担当し、2012年1月から編集長。2012年9月から香港支局特派員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



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書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか
・・星野社長は慶応義塾大学アイスホッケー部出身

書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)-日本の経営学を世界レベルにした経営学者・野中郁次郎の知られざるロングセラーの名著
・・「知的体育会系」というのは野中教授のネーミング

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ

書評 『オーケストラの経営学』(大木裕子、東洋経済新報社、2008)-ビジネス以外の異分野のプロフェッショナル集団からいかに「学ぶ」かについて考えてみる
・・「(フラットな組織である)オーケストラにおいては、個々の演奏者が、いかに他の演奏者とのハーモニーをつくり出すことができるかということであり、別の表現をつかえば、いかにチームワークを作りあげるかということになる。「もともと日本には、教会の響きのなかで賛美歌を歌いながらハーモニー(調和・和声)を創っていくという習慣がない。そのため、お互いの音を聴き合ってハーモニーを創っていくという意識が、どうしても低くなっているようにみえる」(P.157~158)」 日本と西欧との大きな違い。

「やってみなはれ」 と 「みとくんなはれ」 -いまの日本人に必要なのはこの精神なのとちゃうか?
・・2014年にサントリーの次期社長にローソン会長の新浪氏がスカウトされ内定。「やってみなはれ」精神の持ち主と評価されてのことだという

(2014年3月19日、7月3日 情報追加)




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2013年11月28日木曜日

お寺の「経営改革」-外部環境の変化にどう対応して生き残るか?


今週月曜日(2013年11月25日)の「首都圏ニュース」をたまたま見ていたら、「檀家制度やめます」というタイトルで埼玉県熊谷市のお寺が「檀家制度」を廃止した(!)というニュースを取り上げていました。「みんなのお寺 見性院」の事例です。

なんと全国で7万以上と、4万軒あるコンビニより数の多い(!)のがお寺です、過剰感は否定できないでしょう。

お寺の経営を財務面から支えているのが「檀家(だんか)制度」。「檀家制度」とは、「葬祭供養を独占的に(!)執り行なうことを条件に結ばれた寺と檀家の関係」(wikipediaの説明)のことですが、江戸時代初期以来、徳川幕府の宗教政策として生まれ、日本仏教に定着したものです。




この檀家制度が、少子化や都市化などが原因で、基盤となる地域コミュニティーの崩壊によって維持が困難になってきております。つまり外部環境が変化しているのです。

「檀家制度」を廃止して「開かれたお寺」にし、檀家に依存しない収入構造を確立し(・・お寺を葬儀場にして葬儀コストを3割ダウンすることに成功、などなど)、お坊さんが親身になって信徒のカウンセラーを行うなどの結果、かえって信徒が増えた(!)と放送では紹介されていました。

お寺の世界はビジネスとは関係ないとおもうべきではないでしょう。経済問題、とくにキャッシュフロー問題から考えると、檀家の減少はそのままキャッシュインフローの減少という問題につながります。

わたしは、この番組をみていて、外部環境の変化に対して、いかに経営主体として環境変化に対応するかという事例で考えていました。

追い詰められて住職=経営者は真剣に考える。この住職の場合は、檀家制度を廃止してみて、はじめてそこに「市場」があると気付いたわけですね。市場の発見です。

いまなら「檀家制度廃止」は、消費者(=潜在的信徒層)にとって、きわめてアピール力のつよい「差別化要因」となるはずです。

お寺を本来の姿に戻して、コミュニティーセンターあるいはサロンとしてとらえることが大事なのだと思います。「地域密着型」業態としてのお寺の意味があらためて見直されてきたということでしょうか。

「みんなのお寺 見性院」は一歩前に踏み出した、ということですね。そうはいっても、400年近く続いてきた社会制度に風穴を開けたわけですから、なかなか向かい風も強いのではないかと思われます。

成功モデルが増えれば「お寺改革」も流れとなっていくのではないかと期待されます。ぜひ住職の橋本氏には信念を貫いていただきたいと、心から応援いたいと思います。

外部環境の変化に対応しなければ、生き残ることができないのはビジネスだけではありません。






<関連サイト」>

見性院・熊谷のぴんころ寺/日本で初めて檀家制度を廃止!宗派を超えて寺院葬儀と家族葬を承ります

遺骨を「ゆうパック」で送る時代 漂流する墓 (下) (日経ビジネスオンライン、2015年2月18日)
・・「埼玉県熊谷市にある曹洞宗・見性院には毎週のように「遺骨」が、宅配便で送られてくる。遺骨は、ペットの骨や化石などではない。れっきとした火葬後の人間の骨である・・」

(2015年2月18日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

書評 『お寺の経済学』(中島隆信、ちくま文庫、2010 単行本初版 2005)-経済学の立場からみた知的エンターテインメント

タイのあれこれ (16) ワットはアミューズメントパーク
・・タイのお寺(ワット)は地域社会のコミュニティセンターである!

「法然セミナー2011 苦楽共生」 に参加してきた-法然上人の精神はいったいどこへ?






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2013年11月24日日曜日

書評 『爆速経営-新生ヤフーの500日-』(蛯谷 敏、日経BP社、2013)-現在進行中の「組織変革」ドキュメント第1章とその前夜の舞台裏


本書は、現在進行中の Yahoo! JAPAN(ヤフー・ジャパン)における「組織変革」の最初の500日とその前夜の舞台裏をドキュメントとして描いたビジネス・ノンフィクション作品です。

ヤフーが変わってきた、そう感じているのはわたしだけではないと思います。その変化をもたらしたのは40歳代を中心にした新経営チームが推進している「組織変革」です。組織変革を必要としたのは、劇的では」ないが根源的な経営環境変化でした。

その環境変化とは、ヤフーが成功してきたPCにおけるポータル戦略が、顧客がスマートフォンにシフトするにつれて機能しなくなりつつあるのではないかという前の経営者が抱いた危機感。これは劇的な変化ではあっても一気に顕在化することのない、静かに潜行する根源的な変化であったというべきでしょう。

わたしはこの本を読んでいて、インテルの創業メンバーの一人でCEOをつとめていたアンディー・グローブの『インテル戦略転換』を思い出していましたが、あるいは本書に何度も引用されているクリステンセン教授の『イノベーションのジレンマ』を地で行く事例といってもいいかもしれません。『イノベーションのジレンマ』はスティーブ・ジョブズも愛読していた本でした。

オーナー企業ではありませんが、スタート時から17年間にわたって経営を担ってた天才経営者を承継するというミッション。しかも、外部からのスカウトではなく、組織内部からの抜擢によって40歳代の新経営者が抜擢され、彼を中心に経営チームが組成されます。

新経営チームによる「組織変革」がなによりも困難に直面していたのは、変革の起爆剤と推進剤になる危機感がかならずしも見える形で顕在化していたわけではなかったということ。ヤフー・ジャパンは、優良企業として17期連続で利益を出し続けていたということです。

そのような状況のなかでは、なぜ変革しなければならないかという気持ちを従業員にもたせるのは容易ではありません。いままでどおり現状維持したいし変わりたくないという「慣性の法則」が人間には働くためです。

すでに5,000人規模にまで拡大した上場企業をつくりなおすというミッションが、いかなる状況のもと、いかなる考えにもとづいておこなわれたか、そしてどのように進行しているか、それを密着取材によって読者は追っていくことができます。

「まず、登る山を決め」、経営チームという「異業種タッグが既成概念を壊」し、「爆速」などのキーワードにこめた"言霊"が組織を動か」し、「組織変革」を具体的な形に落とし込んでいくプロセス。まずは枠組みをつくって、組織全体がむかうべき方向性を示し、それから個々の従業員にとって自分の問題として、つまり当事者意識をもたせていくプロセス。

このプロセスはきわめて常識的で定石を踏んだもの。けっして奇をてらったものではありません。

しかし、「組織変革」というものは、むしろ持続的にやりぬいていくことこそがむずかしいわけです。

とりわけわたしが感心しながら読んだのが、「組織変革」の実際のフェーズに入ってから、「見ること」を徹底させているということ。

「見る」とは、わたしの表現では「観察」と言い変えたいところですが、徹底的に観察することによって、はじめて組織内コミュニケーションの基盤ができるわけです。上司と部下のあいだはもちろん、「斜め上」からの観察もきわめて重要。この基盤があってこそ信頼感が生まれ、人材育成が実現されていくわけです。人は見られていることを意識することで変わるのです。

このように、従業員一人一人のやる気を引き出し、組織としての活力を個々人どうしの掛け算として実現していく組織変革。これはぜひ一つのモデルとして、生きたケーススタディとして大いに学ぶべきものがあるといっていいでしょう。

著者もなんども書いていますが、この組織変革プロセスはあくまでも進行中のものであり、結果がどうなるかはわかりません。

しかし、変革に踏み出さなければ明日はないのです。成功モデルを後追いで振り返るのではなく、変化をどうマネジメントしていくかという「組織変革」の渦中を追体験する読み方をしたいものです。

ぜひ読むことをおすすめします。



PS. この書評は、R+(レビュープラス)さまより献本をいただいて執筆したものです。




目 次

まえがき
Chapter 1 革命前夜-ヤフーが一番つまらない!
Chapter 2 電撃指名-53番目の社員に託された命運
Chapter 3 改革始動-まず、登る山を決める
Chapter 4 前例破壊-異業種タッグが既成概念を壊す
Chapter 5 爆速誕生-"言霊"が組織を動かす
Chapter 6 再活性化-見られるからこそ社員は輝く
Chapter 7 試行錯誤-「!」を生み続ける組織へ
あとがき
参考図書・ヤフーの経営陣がオススメする書籍一覧
新生ヤフーの改革プロセス
新生ヤフーを率いる12人

著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)
日経ビジネスDigital編集長。2000年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BP社入社。入社後は通信業界誌「日経コミュニケーション」の記者として通信業界を担当し、2006年から「日経ビジネス」に所属。2012年9月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

<参考>

本書にでてくる「組織改革」のキーワードとワンフレーズ

「脱皮できない蛇は死ぬ」
「10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍成功する」
「大切なのは、誰をバスに乗せるか」
「経営は軍議長くすべからず」
「経営者が自分の判断に迷うのは、目標が明確ではないからだ」
「まず、登るべき山を決める」
「改革とは、組織の中で浮くこと」
「組織は原理原則で動かす」
「見られるからこそ社員は輝く」 
「アサインよりもチョイスを増やす」
「イノベーションには会議より会話」







<関連サイト>

「コラム 爆速経営 新生ヤフーの500日」(日経ビジネスオンライン 2013年11月)

ヤフー宮坂社長に聞く“爆速経営”の手応え--2014年は「×10倍」 (CNET JAPAN  2014年1月1日)



<ブログ内関連記事>

スティーブ・ジョブズの「読書リスト」-ジョブズの「引き出し」の中身をのぞいてみよう!

「痛み」から学び、イマジネーションによって組織で共有する「組織学習」が重要だ!

「組織変革」について-『国をつくるという仕事』の著者・西水美恵子さんよりフィードバックいただきました

コトダマ(きょうのコトバ)-言霊には良い面もあれば悪い面もある

「自然エネルギー財団」設立に際して示した、ソフトバンク孫正義氏の 「使命」、「ビジョン」、「バリュー」・・・

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一、小学館、2012) -孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ

「ハーバード リーダーシップ白熱教室」 (NHK・Eテレ)でリーダーシップの真髄に開眼せよ!-ケネディースクール(行政大学院)のハイフェッツ教授の真剣授業

書評 『個を動かす-新浪剛史 ローソン作り直しの10年-』(池田信太郎、日経BP社、2012)-「個」が重要な時代に取り組んだ「組織変革」の軌跡

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか

アムンセンが南極に到達してから100年-西堀榮三郎博士が説くアムンセンとスコットの運命を分けたチームワークとリーダーシップの違い
・・自律型人材によるチームワークとリーダーシップ


(2012年7月3日発売の拙著です)





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2013年11月15日金曜日

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ


こんな「骨太の日本人」がいたとはまったく知りませんでした。なんと、大統領の「一般教書演説」に日本人では初めて招待され、2013年春には商務省評議員に選出ている日本人。

その人の名は藤田浩之氏。アメリカのクリーブランドでハイテク製造業を起業し、現地で雇用をつくりだし、輸出企業としてアメリカの製造業復活に貢献している47歳の物理学者で企業経営者です。

その会社の名は QED(クオリティ・エレクトロダイナミクス)、物理学で博士号を取得した藤田氏は量子電磁力学の QED(クオンタム・エレクトロダイナミクス)から取ったそうです。事業内容は、電磁気を利用して身体の画像診断を行うMRI(核磁気共鳴画像法)のキーデバイスを製造販売する研究開発型企業

著者とこの本のことは、JBプレスのインタビュー記事ではじめて知りました。「オバマ大統領に米国の未来を託された日本人 東大に2度落ち早稲田をやめたことでチャンスをつかむ」はぜひ読んでみてください。

藤田氏もまた京セラの創業者・稲盛和夫氏の「稲盛哲学」の実践者です。アメリカでもアメリカ流のMBA経営ではなく、稲盛哲学に基づいた理念経営を実践しています。

多民族国家のアメリカでも、日本発の稲盛流の理念経営が十分に通用することを自ら実践して示しているわけです。

藤田氏は、経営は「仁義と理念」でするものだと本書のなかで語っています。古臭く感じる「仁義」ですが、このキーワードは渡米して20年以上たつ藤田氏にとっては、ゆるぎない信念を生み出す源泉のようです。人の道を外してはならない、ということですね。

カネ儲けのための起業ではなく、人のために役に立ちたいという思いからの起業だということは、本書で何度も強調しています。アメリカでは当たり前のカネ儲けが目的の起業には大いに違和感を感じるのだ、と。

藤田氏は、博士号取得後に勤務した研究開発型企業が世界的大企業の GE に買収された結果、GEで働いたという経験をもっています。

極限までビジネスパーソンとしての「スケールアップ」を求められるGEで働いた経験は、みずからの成長のうえできわめて貴重なものがあったと語る一方で、重要な技術が一企業内に囲い込まれてしまうのは産業全体のためによくないという思いが起業の動機であったと語っています。

価値観重視の経営によって世界中でモデルとされることの多い GE ですが、すばらしい価値観であても、かならずしも内部の人間がすべて愚直に実践しているわけではないことを藤田氏は見抜いています。

「コミュニケーション重視!」とクチにしながら、個室にこもってしまう言行不一致のマネージャーが登場しますが、GEですら実際は大企業病の症状を示しているわけですね。このことが「他山の石」として著者の胸に刻み込まれて箇所は、ひじょうにつよい印象を受けます。

「価値観重視の経営」としてアメリカの GE流 と日本の稲盛流の二つを熟知する藤田氏の発言には耳を傾ける価値があります。日米の共通点、相違点について考える材料を与えてくれるからです。

その「稲盛哲学」もそのまま鵜呑みにするのではなく、藤田氏は自分なりに咀嚼したものを実践しているとのことです。基本原理という「軸」がブレていなければ、現実に合わせて応用するのは当然といえば当然です。

「自分のアタマで考え、自分で行動する」という「自律人」そのものですね。稲盛氏自身も材料工学のバックグラウンドをもったエンジニアですから、アメリカの大学で物理学で博士号を取得した科学者でもある藤田氏には共通するものも多いのでしょう。

アメリカ人のメンターとの交流から学んだ地域貢献、社会貢献の話も、読者として大いに学ぶべきものがあると感じます。人はなんのために生かされているのか、なんのための事業経営なのか、経営者はつねに考えていなければならないからです。

本書は、基本的に若い日本人に向けて書かれた熱いメッセージですが、アメリカにおける企業経営、とくにハイテク製造業の経営について知ることのできる本として読むこともできます。そこから学ぶことのできるヒントも多くあります。

カバーには Pathfinder という英語が記されてますが、パスファインダーとは直訳すれば「道を探す人」。まさに「道を切り拓く人」としての使命感に満ち満ちた藤田氏の生きざまは、若い人ではなくとも大いにインスパイアされるものがあると思います。

経営者のみならず、一人でも多くのビジネスパーソンに読んでいただきたい本です。





目 次

序章 一般教書演説への招待状
第1章 ずれたドット
第2章 アメリカ生活
第3章 QED誕生
第4章 社員の意識改革
第5章 二人のメンター
第6章 私のアメリカ、私のクリーブランド
第7章 日本よ、日本人よ
終章 生まれてきた証

著者プロフィール

藤田浩之(ふじた・ひろゆき)
1966年、奈良県生まれ。1998年、米国ケース・ウエスタン・リザーブ大学(CWRU)物理学博士課程修了。物理学博士。GEを退社後、2006年、医療機器開発製造会社クオリティー・エレクトロダイナミクス(QED)を設立、社長兼最高経営責任者。現在、非常勤でCWRU物理学部教授、医学部放射線学科教授、オーストラリアのクイーンズランド大学情報技術電気工学部教授を兼任。主な受賞に、2009年、フォーブス「米国で最も有望な新興企業20社」(11位にランクイン)、2010年、アーネスト・ヤング起業家大賞、2011年、米国政府から研究技術助成金を受け事業を大きく成長させた企業に贈られるチベット国家賞などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。

<関連サイト>

「オバマ大統領に米国の未来を託された日本人 東大に2度落ち早稲田をやめたことでチャンスをつかむ」 (JBプレス 2013年11月17日)


<ブログ内関連記事>

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり

書評 『俺のイタリアン、俺のフレンチ-ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方-』(坂本孝、商業界、2013)-ビジネスモデル×哲学(理念)を参入障壁にブルーオーシャンをつくりだす
・・「稲盛哲学」の実践者による新ビジネス成功までの軌跡

書評 『全員で稼ぐ組織-JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書-』(森田直行、日経BP、2014)-世界に広がり始めた「日本発の経営管理システム」を仕組みを確立した本人が解説
・・稲盛哲学と経営管理の仕組みが合体した「アメーバ経営」とは?

『週刊ダイヤモンド』の「特集 稲盛経営解剖」(2013年6月22日号)-これは要保存版の濃い内容の特集

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!

原点としての 「HPウェイ」 -創業者の理念は度重なる経営者の交代でも生き続けているのだろうか?

TIME誌の特集記事 「メイド・イン・USA」(2013年4月11日)-アメリカでは製造業が復活してきた

(2014年6月12日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です 電子書籍版も発売中!)





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2013年11月8日金曜日

『ドクターX 外科医・大門未知子』(テレ朝系列)が面白い-TVドラマからみえてくる大学病院という「日本型組織」の病理現象



2013年10月17日から第2シリーズが始まった 木曜午後9時のドラマ『ドクターX 外科医・大門未知子』(テレ朝系列)が面白い。主人公を演じる米倉涼子のファンならなおさら、そうではなくても内容が面白いからです。

主人公は特定の病院や医局に属さないフリーランスの女性外科医。「包丁一本さらしに巻いて」の渡り職人のような医師。正社員ではなくフリーランス。

フリーランスというワークスタイルは、以前からさまざまな業界で存在しましたが、医者の世界にも存在するというのは新鮮ですね。キャリア論の観点からも興味あります。

このドラマが面白いのは、きわめて個性のつよいフリーランスの医師の存在が、絵にかいたような典型的な日本型組織である大病院の「病理」をあぶり出すという仕掛けになっていることにあります。

本来はスキルによって評価されるべき専門家集団、とくに外科は手術の腕に大きな個人差がでるものですが、個人の能力とスキル以外の人間関係がおおきくものをいうのが風通しの悪い大病院という組織である、と。まさに「世間」としかいいようがない。

大学医学部という「医局」によって形成されている巨大なピラミッド型組織が、さまざまな要因によって崩壊がはじまっていながら、あらたな組織のあり方がいまだ見えてこない移行期の混乱をドラマとして描いています。

組織における個人の生き方が、さまざまな登場人物の言動をつうじて描かれています。当然のことながら、それぞれの登場人物たちは、それぞれの思惑のもとに、いかに自分にとって有利になるかを念頭に行動しています。

ドラマのなかで強調されているのが、たがいにコミュニケーション不全状態となっている巨大組織内部の縦割り組織の問題セクショナリズムの問題。本来はクライアントである患者の治療が最大の目的であるはずなのに、専門分野(=医局)ごとの縦割り組織がカベとなって、患者不在の縄張り争いが常態化している現状。

病院も高度の医療サービスを提供するサービス業である以上、顧客中心を徹底してほしいと思うのですが・・・。供給側の論理を需要側の立場に変えていくのは容易なことではなさそうです。

また、大学病院と医局という「組織」と、フリーランスの医師という「市場」とのコンフリクトともこのドラマの大きなテーマです。

市場」のなかで活動する「組織」のなかに、いかに「市場」を導入して折り合いをつけるか、人事管理の観点かいってなかなか難しい課題です。

正社員と非正規社員が混在している職場といえば航空業界を想起しますが、パート・アルバイトや派遣社員、そして嘱託社員などさまざまな雇用形態の異なる従業員が混在しているのは、いまやほぼすべての業種業界でも「常識」といっていいでしょう。しかも、外国人社員がいる職場もいまや珍しくもない。

主人公のキャラクターをはじめとして、ドラマ自体はやや戯画的ではありますが、日本型組織がかかえる問題点が明確に見えてくる点は、たんなるエンターテインメントを超えたものがあるといっていいかもしれません。


<関連サイト>

ドラマ『ドクターX 外科医・大門未知子』(テレ朝系列) (公式サイト)

医局崩壊!さらば、教授という”名ばかり職”もはや国立医大の教授もリストラされる時代に(ノマドドクターXは見た!)
ノマドドクターXは見た!(東洋経済オンラインの連載)
・・現役の麻酔医の女医が執筆する病院組織の病理と人事労務管理にかんする問題点が具体的で説得力がある。執筆者の筒井冨美氏は『ドクターX 外科医・大門未知子』の監修もつとめている。麻酔医にはフリーランス勤務の人が多いという


<ブログ内関連記事>

『JAL崩壊-ある客室乗務員の告白-』(日本航空・グループ2010、文春新書、2010) は、「失敗学」の観点から「反面教師」として読むべき内容の本

書評 『未完の「国鉄改革」』(葛西敬之、東洋経済新報社、2001)-JALが会社更生法に基づく法的整理対象となり、改革への「最後の一歩」を踏み出したいまこそ読むべき本

書評 『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(大宮冬洋、ぱる出版、2013)-小売業は店舗にすべてが集約されているからこそ・・・

書評 『医者に殺されない47の心得-医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法-』(近藤 誠、アスコム、2012)-つまるところ自分が好きなように生きるのがいちばんいいということだ

医療ドラマ 『チーム・バチスタ 3-アリアドネの糸-』 のテーマは Ai (=画像診断による死因究明)。「医学情報」の意味について異分野の人間が学んだこと




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2013年11月5日火曜日

【セミナー開催のお知らせ】 「成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方」(2013年11月27日 日本橋)-経営者向けセミナーを開催



来る2013年11月27日(水)に経営者向けセミナーを開催します。概要は以下のとおりです。


【経営者/幹部10名様限定有料セミナー】 

成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方
-本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様へ!-
⇒ http://www.seminars.jp/s/92793

【セミナー概要】

日程: 2013年11月27日(水)
時間: 15時00分 ~ 17時00分
会場: ビジョンセンター日本橋 502号室
講師: 高田 稔(たかだ・みのる)/佐藤けんいち(さとう・けんいち)
⇒ http://www.seminars.jp/s/92793


【セミナー内容】

中小企業経営者の皆様!

-若手の営業担当者の育成がうまくいかない
-営業マネージャーが部下を育成しない
-営業担当者をセミナーに派遣しても成長が見えてこない
-営業チームの雰囲気が悪い
-営業チーム内の連携が悪い

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

成熟して縮小傾向にある日本市場ですが持続可能に勝ち残っていくことは十分に可能です。そういう会社は多数あります。

持続可能な成長とは、自社の既存の市場をベースにしながらも営業のチカラによって成長軌道を維持していくこと。「現状維持」するためには「成長」を続けていかなければなりません。

そのためのカギがなにか御存じでしょうか?

カギはずばりいって「営業チーム」全体の営業力にあります。特定の個人の営業力がいくらパワフルでも「営業チーム」全体の営業力があるとはいえません。

では、どうしたら「営業チーム」全体の営業力をつけることができるのでしょうか?

その答えは、ぜひセミナー当日お伝えさせていただきたいと考えております。

⇒ http://www.seminars.jp/s/92793


【受講対象】

本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様


【期待できる効果】

成熟市場となった日本で勝ち残るための「一番化戦略」の概要、強化すべき「営業チーム」とはなにか、そしてチームとしての総合力を養成するにはなにをすべきか、小手先のテクニックではない本質論に基づいた方法論を知ることができます。


【セミナー概要】

一握りの優秀な営業パーソンがいても、けっして会社は強くなりません。「営業チーム」全体の能力アップが成熟市場での生き残り続けるカギなのです。そして、営業が変われば会社全体もかならず良い方向に変わります。今回のセミナーでは「一番化戦略」を指南する営業コンサルタントと「自律型組織人育成」を支援する組織コンサルタントが、本気で営業を変えたい中小企業経営者の皆様に向けて、成熟市場で勝ち残れる「営業チーム」の作り方をお伝えいたします。「営業が変われば 会社は変わる」のです!


【講師紹介】 

高田 稔(たかだ・みのる)
MBAコンサルタント(一番化戦略・営業コンサルタント)

米系外資企業にて日本国内及びグアム、マイクロネシアにて営業、及び営業のマネジメントを行う。社長賞(1位)を含め3位以内、10位以内の受賞経歴を持つ。2005年より独立し、営業を主体としたコンサルティングを中小企業を中心に行い、営業マンの育成、営業戦略の立案から実施までを手がけ飛躍的な売り上げのアップを図り現在に至る。

1969年、東京生まれ。1993年、立命館大学卒業(京都)。2005年、英国ハル大学(University of Hull)にてMBA取得(専攻:マーケティング)。著書に、『20代で身につけたい 営業の基本』(中経出版、2011)、『小さなことでいいから、まずは一番になりなさい。』(中経出版、2012)がある。


佐藤けんいち(さとう・けんいち)
MBAコンサルタント(自律型組織人育成支援・組織変革コンサルタント)

組織人事からビジネスキャリアをスタート。金融系コンサルティグファーム、広告代理店系コンサルティングファームを経て、中小の機械部品メーカーの取締役として「ナンバー2」のポストに就任、営業チーム力強化からはじまる経営改革を責任者として主導、売り上げと利益を倍増させ持続可能な経営体制をつくりあげることに貢献。その間、タイ王国のバンコクで同社の現地法人を立ち上げ社長を歴任。2010年に独立して現在に至る。

1962年、京都府生まれ、1985年、一橋大学卒業(東京)。1992年、米国レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)にてMBA取得(専攻:技術経営)。著書に、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房、2012)、『一個人的策展年代:串聯社群,你需要雜學資料庫』(世茂出版社、台湾、2013)がある。



【セミナー詳細】

日程: 2013年11月27日(水)
時間: 15時00分 ~ 17時00分
受付開始: 14時40分
定員: 10 名
申込期限 2013年11月26日
会場 ビジョンセンター日本橋 502号室
会場住所 中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル5F
アクセス 日本橋三越店向かい(徒歩1分)。1Fに島根県物産店「島根館」があるビルの5F
持参物 名刺、筆記用具
主催・共催 株式会社ケン・マネジメント
当日の連絡先 080-8410-1101
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2013年10月31日木曜日

書評 『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹、新潮新書、2013)-この本をいかにマネジメントの現場に応用するか考えるべき



『反省させると犯罪者になります』(岡本茂樹、新潮新書、2013)は、読む価値のある本です。

受刑者の更生に長年かかわってきた著者は、臨床教育学を専攻する大学教授。ロールレタリングという手法で、被害者ではなく加害者自身に心情を考えさせ、「更生」に導いてきました。

多くのケースにかかわっているなかで著者がわかってきたのは、犯罪者にすぐ「反省」を求めるのは逆効果をもたらすということ。出所してもまた累犯者となってしまうのは、「反省」することがうまくなるだけで、ほんとうは「反省」などしていないからなのだ、と。

なぜこの本をマネジメント関係者に推薦するのか? まずは「目次」をみてもらうのがよいでしょう。

第1章 それは本当に反省ですか?
第2章 「反省文」は抑圧を生む危ない方法
第3章 被害者の心情を考えさせると逆効果
第4章 頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる
第5章 我が子と自分を犯罪者にしないために

「反省」させることじたいが目的ではないのです。二度と同じ犯罪や事故を起こさせないことが目的であるはず。

うわべだけの「反省」はむしろ有害だというのが著者の見解ですが、たしかに自分にあてはめて考えてみても、うなづくことの多い内容です。

ある意味では「逆転の発想」です。常識の真逆であり、常識の盲点を突くといってよいでしょう。

JR西日本・福知山線の脱線事故は多くの死傷者がでた大事故でしたが、職員の乗務中のミスを「日勤教育」という労務管理の手法で「反省」させていたことを想起させるものがあります。「日勤教育」とは、精神論にもとづいた非人間的な「反省」を強いる手法でありました。

毎日のように有名な大企業で大きな不祥事が発生していますが、マスコミをつうじて表明される一般世間向けに行われる「謝罪」がほんとうに不祥事の再発防止につながっているのか、よくよく考えてみる必要がありそうですね。

この本をいかに教育の「現場」やマネジメントの「現場」にあてはめて応用できるかを考えてみることは、まずはみずからの日々の言動を「反省」するよい機会ともなるでしょう。

わたしとしては、企業内教育でもつかわれることのある「内観療法」の問題点を指摘(P.113)していることに注目したいと思いました。

自分とは異なる世界での体験を、どう自分の世界にあてはめて考えるか。これは大事なことです。自分の体験にも照らし合わせながら考えてみることです。そのためにはまず、自分とは異なる世界の経験を「一般化」し、それを自分の世界に「応用」してみることが大事ですが、この「一般化」というプロセスは訓練しないとできないかもしれません。

教育関係者や企業関係者にとって、読むとさまざまな気づきや示唆を受けることのできる本だと思います。ぜひ読んでみてください。





目 次

まえがき
第1章 それは本当に反省ですか?
第2章 「反省文」は抑圧を生む危ない方法
第3章 被害者の心情を考えさせると逆効果
第4章 頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる
第5章 我が子と自分を犯罪者にしないために
あとがき

著者プロフィール

岡本茂樹(おかもと・しげき)
1958(昭和33)年、兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部教授。臨床教育学博士。中学・高校で英語教員を務めた後、武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科博士課程を修了。日本ロールレタリング学会理事長。刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

<関連サイト>

立命館大学 産業社会学部 現代社会学科 岡本 茂樹 (教員紹介サイト)

「現在の刑務所は罰を与えるだけで更生する場になっていない」 ホリエモンが語る刑務所からの"社会復帰" 岡本茂樹 × 堀江貴文 【前編】 (現代ビジネス 2013年12月17日)



<ブログ内関連記事>

「ハインリッヒの法則」 は 「ヒヤリ・ハットの法則」 (きょうのコトバ)

書評 『未曾有と想定外-東日本大震災に学ぶ-』 (畑村洋太郎、講談社現代新書、2011)

「痛み」から学び、イマジネーションによって組織で共有する「組織学習」が重要だ!

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ

書評 『不格好経営-チームDeNAの挑戦-』(南場智子、日本経済新聞出版社、2013)-失敗体験にこそ「学び」のエッセンスが集約されている

書評 『稲盛和夫流・意識改革 心は変えられる-自分、人、会社-全員で成し遂げた「JAL再生」40のフィロソフィー』(原 英次郎、ダイヤモンド社、2013)-メンバーの一人ひとりが「当事者意識」を持つことができれば組織は変わる




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2013年10月29日火曜日

「ブルータス、お前もか!」-立派な「クレド」もきちんと実践されなければ「ブランド毀損」(きそん)につながる


先週木曜日(2013年10月25日)、大阪リッツカールトンで発覚したのが「メニュー誤標示」問題

行動規範としての「クレド」(=信条)を従業員に徹底させることで、すぐれたサービスを実践する会社として著名なアメリカ系の高級ホテルがリッツ・カールトンですが、まことにもって悲しいかな、「ブルータス、お前もか!」と言いたくなってしまう出来事です。

日本経済新聞に掲載された記事「リッツ大阪でも誤表示 公表なしにメニュー訂正」(2013年10月25日)から一部引用しておきます。

報道各社の取材に応じたオリオル・モンタル総支配人によると、ホテル内のレストランでブラックタイガーを車エビ、バナメイエビを芝エビとしてそれぞれ提供していたほか、レストランやラウンジで容器詰めのストレートジュースを「フレッシュジュース」とメニューに表記していた。・・(中略)・・「あってはならないことで深刻に受けとめている。誤表示が起きた詳しい経緯について今後調査する」とした。


接客にかんしては定評のあるリッツカールトンですが(・・わたしも大阪リッツカールトンには一回だけですが宿泊したことがあります)、お客様とはダイレクトに接触する接客ポジション以外では、「クレド」が徹底していなかったということでしょうか・・・?

まことにもって残念としかいいようがありません。


短期的なコスト削減がブランド毀損(きそん)を招く

企業経営にとっての最大の難問の一つは、短期利益と長期利益の折り合いをどうつけるかにあります。これは企業業績にかかわるものであると同時に企業倫理にもかかわる問題です。

おそらくホテルのレストランの現場においては、コストダウン要請プレッシャーがそうとう強かったのではないかと推測されます。

大阪リッツ・カールトンは米本社の直営ではなく、阪急阪神グループがオーナーです。阪急ホテルでも「誤表示」問題が表沙汰になっています。リッツ大阪のオーナーである阪急グループとしての経営姿勢が問われますが、リッツ・カールトンのブランドイメージに傷を付けた責任も問われることでしょう。

短期利益にたいして、ブランドはまさに長期利益の源泉企業がサステイナブル(=持続可能)な存在として利益を指し続けていくために大事なのがブランドです。

ブランドに体現された信用を築き上げるのには長い時間がかかるのに対し、信用が失われるのは一瞬の出来事です。なぜなら、ブランドは法的には企業の所有物であっても、あくまでも顧客のアタマのなかにあるものだからです。顧客の信用があってこそブランドは意味をもつのです。

つまり、短期利益追求姿勢と長期利益実現のコンフリクト(葛藤)が不祥事として表面化したということなのです。

さらなるブランド毀損(きそん)がリッツ・カールトン全体に波及するのを防ぐため、リッツの米本社サイドがどう判断し動くか要注視でありましょう。


リッツ・カールトンといえば「クレド」

「クレド」とは、米国の高級ホテルチェーンのリッツ・カールトン・ホテルが、全従業員に配布し、徹底させている「理念や使命、サービス哲学を凝縮した不変の価値観」のことです。

しかし今回明らかになったのは、たとえ「クレド」そのものは立派な内容でも、それを実践するのはあくまでもヒトであるということ、しかも全従業員が確実に実践できいていないのであれば、いくら立派な「クレド」であっても額縁に入って飾られた「経営理念」となんら変わらないということです。

顧客を中心にしたステークホールダーとのコミュニケーションにおいて、「ブランドの約束」が守れなかったということなのです。

コスト削減要請が無言のプレッシャーとして存在したのではないかと推測されますが、だからといってけっして許されることではありません。故意だったかどうかは外部からはわかりませんが、結果としてお客様をあざむいていたわけですから。

裏切られた思いをしているのはリッツ・カールトンのファンであるリーピーターの皆さんだと思いますが、それと同じくらい残念で悔しい思いをしているのは従業員のみなさんではないかと想像されます。

徹底的な調査を行ったうえで、「クレド」をふたたび徹底させるべく、一から出直してていただきたいものです。


行動規範を組織全体に徹底させるには組織内コミュニケーションがいかに重要か

それにしても、行動規範を組織全体に徹底させるのは、いかに難しいことか・・・。あのリッツ・カールトンですら、こうなのですから。

「クレド」にかんしては経営学のテキストでよく引き合いに出されるアメリカの医薬品メーカーのジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)があります。経営理念の浸透によって危機管理において初期動作を成功させた事例です。

1982年、ジョンソン・アンド・ジョンソンが販売する解熱剤「タイレノール」に何者かがシアン化合物を混入。服用した7人が死亡する事件が起きたのですが事件発生後1時間ほどで対応を開始、「シアン化合物混入の疑いがある」とすぐに情報を公開し、製品を回収。異物混入を防ぐ対策を取ったのがその内容です。徹底した情報公開と迅速な対応により問題を収束させたわけです。

そのジョンソン・アンド・ジョンソンですら、2010年には米国内で医薬品のリコール問題を引き起こしています。ヒューマン・エラーは完全に根絶できないのはいたしかたありません。

大阪リッツ・カールトンの件ですが、組織内コミュニケーションにも問題があったのではないかと推測されます。トップと現場との距離感が、どうも予想に反して存在していたのでないかという印象を受けています。

「誤(あやま)つは人のさが」という表現があるように、誰にでも安直な道を選択してしまうという誘惑にかられることも間違いを起こしてしまうこともあります。コスト削減要請を安い食材で代替してしまうという誘惑に負けてしまったかもしれません。

しかしながら、包み隠さずなんでも話し合うことができうようなコミュニケーション環境ができあがっていれば、こうした問題に直面したときに上司に相談ができたはずです。詳しい事情がわからないので何とも言えませんが。

組織内コミュニケーションの重要性をさらに真剣に捉えていただきたいものです。それがなければ、行動規範の徹底は不可能です。

世の中の経営者の皆さんは、大阪リッツ・カールトンのケースを「他山の石」として教訓を学び取るべきでしょう。


<関連サイト>

リッツ・カールトン大阪が食材を"偽装" 東京と異なる経営(ハフィントンポスト 2013年10月25日)

ホテル、百貨店で偽装を続発させた「レストラン」という世界の特殊性(財部誠一、ダイヤモンドオンライン 2013年11月8日)

阪急阪神ホテルズだけでない!メニュー表示偽装の構造問題(ダイヤモンドオンライン 2013年11月11日)

偽装メニュー対応で分かったホテル信用度 ワーストは近鉄系「奈良 万葉若草の宿 三笠」 主要30社調査(My News Japan 2013年11月5日)

食材偽装問題の根っこは「ブランド乱立」にあり!数百ページの再発防止策より大切な“シンプルルール”――水村典弘・埼玉大学経済学部准教授に聞く (ダイヤモンド・オンライン 2013年12月18日)
・・ブランドの根幹には顧客からの「信頼」という目に見えないものがあるという原点を見つめることだ。看板に書かれた表示を「信頼」している顧客を裏切るとブランド崩壊につながる!



<ブログ内関連記事>

「ゆでガエル症候群」-組織内部にどっぷりと浸かっていると外が見えなくなるだけでなく、そのこと自体にすら気が付かなくなる(!)というホラーストーリー

クレド(Credo)とは

「風評被害」について-「原発事故」のため「日本ブランド」は大きく傷ついた

本日(2011年3月28日)は、1979年の「スリーマイル島原発事故」から22年-「想定外」をなくすのがリーダーの務め

「距離感」と「パーセプション・ギャップ」-自分にとって不利となる誤解を正すためにまず認識すべきこと
・・メニューに記載された食材と実際に使用されている食材が一致しないという「誤表示」問題の背景には、調理という専門家の世界の「常識」と世間一般の常識」とのあいだにパーセプション・ギャップ(認識ギャップ)が存在しているから

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける

ゼスプリ(Zespri)というニュージーランドのキウイフルーツの統一ブランド-「ブランド連想」について






(2012年7月3日発売の拙著です)










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