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2011年11月28日月曜日

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました


 コロンビア大学ビジネススクール 心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました。「選択とはチカラ」を説く授業です。

 心理学者で 『選択の科学』(櫻井祐子訳、文藝春秋社、2010) の著者が、米国東海岸ニューヨークの名門コロンビア大学のビジネススクール(=MBAコース)で教えている授業です。学生はみな社会人、しかも日本人も含めて世界中から集まってきています。

 アイエンガー教授の『選択の科学』 は半分まで読みましたが、今回の授業はビジネススクールでのものであるにもかかわらず、どうやらビジネスクールでは当たり前の 「合理的意志決定理論」 ではカバーできない心理学の領域が授業内容のようです。

 盲目の女性で両親はシーク教徒のインド人移民、カナダのトロント生まれで現在は米国のコロンビア大学教授。これだけでもこの人はどんな「選択」を人生で行ってきたのだろうかと興味が引かれますよね。

 「NHK コロンビア白熱教室」の公式サイトから授業概要の説明を引用しておきましょう。

 この大学で今人気を集めているのが、シーナ・アイエンガー教授の講義です。厳格なシーク教徒の両親に育てられ、さらに高校のとき網膜の病気で視力を失った彼女は、選択の余地がなかった自分の運命から、逆に「選択」を研究テーマに選びました。
 動物園の動物は、たっぷりエサを与えられているのに、野生の動物に比べてなぜ寿命が短いのか? スティーブ・ジョブズは、人生においてどんな選択をすることで世界を変えたのか? 24種類のジャムを売り場に並べた時と6種類のジャムを並べた場合を比較すると、前者の売り上げは10分の1しかなかった。なぜそんなことが起こるのか?
 アイエンガー教授は、学生たちに「あなたならどちらを選ぶ?なぜ?」と投げかけながら、自分で選択することの難しさと意味を問いかけていきます。その講義は、これから人生を切り開いていく若者たちにとって大きな指針を示すとともに、ビジネスの場における実践力をも養っています。
 圧倒的に不利な環境の中でも、自分の選択によって人生を切り開いてきたアイエンガー教授のメッセージ「選択は力なり」は、何ごとも自分で決めたがらない私たち日本人を目覚めさせてくれるはずです。


 講師をつとめるシーナ・アイエンガー教授の経歴がまた「選択」そのものの人生ですね。

シーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)
1969年、カナダ・トロント生まれ。現在コロンビア大学ビジネススクール教授。両親はインドからの移民でシーク教徒。アメリカに移住した3才の時、眼の病気を患い、高校に上がる頃には視力を失った。シーク教徒の厳格な教義に従って育てられてきたが、アメリカの教育を受ける中で、「自分で選ぶこと」こそ、アメリカの力であると思い至り、「選択」を研究テーマにすることを思い立った。この講義は、どんな環境にあっても、自分の選択によって道は切り開けると信じてきた彼女の人生の物語でもある。


 昨日(11月27日)放送の第1回放送では「あなたの人生を決めるのは偶然?選択?」がテーマでしたが、これは英語で言うと Chance or Choice ? になります。Chance(偶然)も Choice(選択)も、同じ ch- で始まる単語なので、耳で聞くと、より効果的な「選択肢」ということになるのでしょう。

 アイエンガー教授は「選択」(choice)を「意志的な選択」の意味で使っていますが、「偶然による選択」もあるのではないか(?)と考えてしまうのは、ちょっと天の邪鬼に過ぎるでしょうか?

 ビジネスで行われる「判断」(judgement)、「選択」(choice)、そして「意志決定」(decision)。いずれも似たようなコトバですね。

 「判断」「選択」「意志決定」が、ほんとうに主体的な意志によるものになっているかどうか、反省する機会になるのではないかと、この心理学の授業には期待しています。人間は「習慣の奴隷」ですから、主体的な選択と思っているものが、じつはそうではないとはよくありそうなことですから。

 授業は全5回、以下の内容になっています。

2011年11月27日(日):第1回「あなたの人生を決めるのは偶然?選択?」
2011年12月4日(日):第2回「選択しているのは本当にあなた自身?」
2011年12月11日(日):第3回「最良の選択をする方法 選択ノートの勧め」
2011年12月18日(日):第4回「あふれる選択肢:どう選ぶか」
2011年12月25日(日):第5回「今の100ドルと1月後の120ドル どちらを選ぶ?幸福になるための技術」

 これまで放送された「ハーバード白熱授業」のサンデル教授は政治学、「スタンフォード白熱授業」のシーリグ教授は創造性開発、今度の「コロンビア白熱授業」は心理学。

 それぞれ専門分野も違いますし、授業のスタイルもそれぞれ個性的ですが、いずれも共通しているのは、一方通行のブロードキャスティング型ではないということ。インタラクティブ(=双方向)の対話を前提にした授業であるということですね。

 「対話」をつうじた相互理解のあり方のモデルとしてもとらえてみたい授業です。





PS 2014年7月10日に『選択の科学』が文春文庫から文庫化されます!




<関連サイト>

「NHK コロンビア白熱教室」の公式サイト

シーナ・アイエンガー『選択の科学』|文藝春秋|特設サイト・・『選択の科学』の特設サイト。今回の「白熱授業」(Heated Debate in the Classroom)の参加者募集のポスター(英語)を見ることができます

Sheena Iyengar on the art of choosing(TED July, 2010 英語・字幕なし 24分強)
・・授業ではなく講演(talk)の映像を見ることができる。いきなり京都での研究留学時代の「緑茶に砂糖」の話からはじまる。聴衆を笑いに誘う、この「つかみ」はうまい!


<ブログ内関連記事>

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ

「ハーバード白熱教室」(NHK ETV)・・・自分のアタマでものを考えさせるための授業とは

ダイアローグ(=対話)を重視した「ソクラテス・メソッド」の本質は、一対一の対話経験を集団のなかで学びを共有するファシリテーションにある





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2011年11月25日金曜日

「緊急企画 日タイ洪水復興セミナー」(JETRO主催 東京)が開催されます(2011年12月9日 入場無料)


 JETRO(東京本部)にて、「緊急企画 日タイ洪水復興セミナー」(JETRO主催 東京)が開催されることぬなりました。

 今年2011年は、「3-11」の大地震と大津波、そして原発事故という「未曾有の」大災害が収束する間もなく、今度は日本企業にとっての製造拠点タイでは「未曾有」の大水害の被害に見舞われ、多くの死傷者や避難民がでているだけでなく、日系企業が多く入居している工業団地が軒並み大被害を受けています。

 被害の状況については独自に情報収集され、すでに対策を取られていると思いますが、総括的な話を聞くことによって、短期的な課題だけでなく、中期的・長期的な課題についても、アタマの整理をする機会になるのではないかと思います。 

 以下に、JETROによるセミナーの紹介文を転載いたします。


◇◇--------------------------◇◇
緊急企画 「日タイ洪水復興セミナー」(東京)のご案内
◇◇--------------------------◇◇       
 10月中旬にタイ北部にて発生した大規模な洪水。バンコク中心部の冠水は回避され、状況の改善が見られる一方、北部・西部やアユタヤ周辺では冠水が続いている状況で、多くの日系企業が被害を受けています。
 今回の洪水は直接的被害だけでなく、サプライチェーンの寸断といった、より大きな被害をもたらしています。こうした状況下、被害最小化に向けてタイ政府も各種取り組みを強化、労働者向けの被災者支援策や、タイ王国投資委員会(BOI)による個別投資プロジェクト向けの各種恩典の拡大・継続措置等を展開しています。
 タイの現状と今後の見通し、経済復興に向けたタイ政府の取り組みと日本企業が受けられる恩典等、在京タイ王国大使・タイ政府関係者やジェトロ・バンコク事務所長によりお伝えします。

■日時: 2011年12月9日(金)13:30 ~ 16:30(受付開始13:00~)
■会場: ジェトロ東京本部 5階展示会場(東京都港区赤坂1-12-32アーク森ビル)
■主催:駐日タイ王国大使館、日本貿易振興機構(ジェトロ)

■プログラム :
 13:00 開場
 13:30 開会の辞 
 13:50~14:50 第一部 「タイ洪水の現状とタイ政府の対応-中長期的経済復興の取り組みと信頼回復への道のり-」(仮)
  駐日タイ王国大使館 商務担当、経済・投資担当
 14:50~15:00 休憩
 15:00~16:10 第二部 「在タイ日系企業の洪水対策と直面する課題また今後の復興への取り組み」(仮)ジェトロ・バンコク事務所長 井内 摂男
  「日本からの専門家派遣事業の紹介」
   財団法人海外技術者研修協会(AOTS)、財団法人海外貿易開発協会(JODC)
16:10~16:30 質疑応答

■言語: タイ語・日本語(同時通訳あり)
■参加費: 無料(※お申込多数の場合、1社1名様とさせていただく場合もあります)
■定員: 200名

■申し込み方法:
 オンライン申し込みフォームに必要事項をご入力ください。または 上記URL にてお申込み書を印刷の上、必要事項をご記入いただき、FAXにてお申し込みください。

■申込締切: 12月5日(月)

-----------------------------


<追記>

 なお、同じ内容のセミナーが、名古屋(2011年12月19日)、大阪(2011年12月20日)にも開催されることになりました。(2011年12月2日)

●名古屋会場

日時:2011年12月19日(月曜) 13時30分~16時30分 (13時00分 開場)
場所:名古屋マリオットアソシアホテル 16階 アイリス(名古屋市中村区名駅1-1-4)

定員:200名(予定) ※定員になり次第締め切ります。
お申し込み方法:名古屋会場 お申し込みフォームに必要事項をご記入うえ、送信ください。


大阪会場

日時:2011年12月20日(火曜) 13時30分~16時30分 (13時00分 開場)
場所:第二吉本ビルディング 8階ABC会議室(大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー)

定員:200名(予定) ※定員になり次第締め切ります。
お申し込み方法:大阪会場 お申し込みフォームに必要事項をご記入うえ、送信ください。



<関連サイト>

緊急特集:タイ洪水に関する情報(JETRO)



<ブログ内関連記事>

バンコクへの渡航は自粛を!-タイの大洪水と今後の製造業立地の方向性について(2011年10月26日)

タイのあれこれ (21) バンコク以外からタイに入国する方法-危機対応時のロジスティクスについての体験と考察-

「バンコク騒乱」について-アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性

製造業ネットワークにおける 「システミック・リスク」 について

「不可抗力」について-アイスランドの火山噴火にともなう欧州各国の空港閉鎖について考える

「タイビジネスミッション 2011年11月」 (BOI:タイ投資委員会主催)のご案内





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2011年11月24日木曜日

映画 『マネーボール』 をみてきた-これはビジネスパーソンにとって見所の多い作品だ!


 映画『マネーボール』(Moneyball)を見てきました。ブラッド・ピットが主演だけでなく、製作者としてもかかわっているベースボール映画です。

監督: ベネット・ミラー
原作: マイケル・ルイス『マネー・ボール』
製作: マイケル・デ・ルカ、レイチェル・ホロヴィッツ、ブラッド・ピット
主演: ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル
配給:  コロンビア映画、ソニー・ピクチャーズ
上映時間 133分

 メジャーリーグ球団のひとつ、カリフォルニア州北部にフランチャイズのあるオークランド・アスレティクス(Oakland Athletics)の GM(=ゼネラル・マネージャー)として球団経営に数字とロジックを持ち込んで、劇的な V字回復を果たした44歳の中年男の実話(ture story)に基づいた映画です。

 プロスポールであるベースボールの世界では当たり前であった、「長年の勘」にもとづく球団経営ではなく、統計数字に基づく戦略理論を持ち込んだのは、ビジネスの世界でいえば科学的マネジメント手法の導入といってもいいかもしれません。しかしこれは 2002年ですから、つい 9年前(!)の話なんですね。

 ライバルのニューヨーク・メッツに比べると、予算の絶対額が、段違いに少ないという弱小球団の「制約条件」 のもとで、いかに 「最適解」 を導き出すかということは、経営工学の世界でいえば OR(=オペレーションズ・リサーチ)そのものです。

 そのためには選手を将棋の駒のように、トレードによって他球団と入れ替え差し替えするわけですが、日本人の目から見れば非人道的と映るかもしれません。

 しかし、選手だけでなく、GMも監督もみなある意味では身分が安定していないのは同じで、すべて上位者との請負契約関係にあると言っていいわけですから、これには慣れるしかないわけです。

 契約社会ですから「結果」を出さなければクビになるし、クビを事務的に告げる本人だって、いつクビになるかわからない存在です。しかし、これは慣れてしまえばなんでもありません。わたしも両方とも経験しています(笑)

 また、個々の試合の勝ち負けに一喜一憂せず、最終目的はリーグ優勝というのは、ただしい 「ゴール・セッティング」 とは何かを考えるにも示唆の多いものがあります。「個々の戦闘に勝っても戦争に負けたのでは意味がない」というのと同じことでしょう。

 そして、主人公の 「モチベーション」 が金銭というインセンティブではなく、個人の価値観や「内発的動機」 であることなども、見ていて我が意を得たりという気持ちにもなりました。人間の生き方そのものにかかわるものであるということも。

 「GM が頭をさげるのは球団オーナーと神だけ」 というセリフがありましたが、いま日本でもめているのとは、かなり違う世界ですね(笑)。アメリカの場合はオーナーは真の意味での球団の所有者、日本のように親会社のサラリーマン重役ではありません。

 この映画は、人生における「選択」の意味を考えさせてくれるものでもあります。ビジネスにおいても、人生においても、「選択」した結果は、ほかの誰でもない自分が引き受けなければならないのです。

 そしてまた「自らリスクテークする者は美しい!」ということを語った映画でもありますね。即断即決と自己責任原則

 もちろん、観る人の立場によって、感情移入する対象が GM か、アシスタントのアナリストか、スカウトか、球団オーナーか、野球選手か、その配偶者か子どもか親かで、映画の見方は大きく異なるでしょう。

 1963年生まれのブラピが、中年男として「いい味」出している、というのはあえて言うまでもないことですね。彼の演技に「人生」を感じるのはわたしだけではないと思います。

 こういう映画です。あとはもう、映画館で見るしかありませんね。





     (原作本)


<関連サイト>

映画『マネーボール』日本版公式サイト

Moneyball Trailer 2011 HD(米国版トレーラー 英語 字幕なし)


<ブログ内関連記事>

映画 『英国王のスピーチ』(The King's Speech) を見て思う、人の上に立つ人の責任と重圧、そしてありのままの現実を受け入れる勇気

映画 『インビクタス / 負けざる者たち』(米国、2009)は、真のリーダーシップとは何かを教えてくれる味わい深い人間ドラマだ

映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた

Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)




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2011年11月21日月曜日

松下幸之助の 「理念経営」 の原点- 「使命」を知った日のこと


 日本経済新聞に連載された "経営の神様" 松下幸之助の 『私の履歴書』 「私の履歴書 復刻版 松下幸之助」 として読むことができることを最近知りました。「日経 Biz アカデミー」というサイトに小出しでアップが続いています。

 「第7回 発展時代」に 「理念経営」 の原点となった出来事が記されていますので、ちょっと長くなりますが、ご紹介します。なお、太字ゴチックは引用者(=わたし)によるものです。

 このころの私には商売に対し反省がわいていた。いままでは世間の通念どおりの商売をやってなんとかうまくいっていたが、次第にこれでは物足りないという気持ちが出てきた。一体生産者の使命はなんだろう、こんなことを連日夜おそくまで考えた結果、私なりに一つの信念が生まれた。

 それは簡単にいうと、この世の貧しさを克服することである。社会主義者みたいなことをいうようだが、たとえば水道の水はもとより価のあるものだ。しかし道端の水道を人が飲んでもだれもとがめない。これは水が豊富だからだ。結局生産者はこの世に物資を満たし、不自由を無くするのが務めではないか。

 こう気付いた私は昭和7年の5月5日を会社の創業記念日とした。開業した大正7年から14年も経ってから新しい創業記念日を設けるとは不思議に思われるかもしれないが、私が使命を知ったときとしてこの日を選んだのだ。そしてこの使命達成を250年目と決め、25年を一節、十節で完成することにした。つまりわれわれの活動は第一節でこの基礎を固めることだ。

 これが、かの有名な 「水道哲学」 です。日本ではすでにモノがあふれかえっていますが、全世界を見渡せば、この「水道哲学」がまだ貫徹していないことは一目瞭然でしょう。

 「使命」を知った日を創業記念日としたという松下幸之助。そして、「使命達成を250年」と設定したことにも、自分一代ではミッション・コンプリートとならないと感じていたということでもあるわけですね。自分の「使命」であり、企業という運動体の 「使命」 でもある、と。

 実際の企業経営は、仏教用語でいう「無常」(=常ならず)の世界で行われるものですから、山あり谷あり、照る日もあれば曇る日もあるわけで、紆余曲折はつきものです。

 しかし、「使命」を自覚したことによって、経営活動に一本筋が通ったものになったわけです。

 これは、松下幸之助にとって、じつに大きな意味があったというだけでなく、後に「経営の神様」と尊敬されるようになった松下幸之助の言動を通じて、同時代の日本人だけでなく、後生に生きる日本人にとっても、きわめて大きな「気づき」となったわけでもありました。

 ところで、松下幸之助は「事業部制」を昭和10年(1935年)に導入しています。これは同時代の米国企業GM(ゼネラル・モーターズ)で採用さfれた経営組織でした。

 現在のパナソニックでは、事業部制のデメリットがメリットを上回ったため、中村氏のもとで大なたを振るう改革が行われましたが、昭和10年(西暦 1935年)というきわめて早い時期に「事業部制」を導入したのは、松下幸之助が病弱だったので、部下に権限委譲するための施策だったとも言われています。

 いわゆる「中村改革」で大胆な企業変革を実行できたのも、中村氏が松下幸之助の理念を完全に身につけており、「理念以外、聖域なし」というマインドセットで改革に取り組めたからだと言われています。

 これはすでにこのブログでも「経営理念以外、聖域なし」-松下電器(当時)の「中村改革」 と題して書きました。

 なお、松下幸之助の『私の履歴書』は、『松下幸之助 夢を育てる-私の履歴書ー』(日経ビジネス人文庫、2001)として文庫化されてロングセラーになっています。ぜひこの機会に一度とおして目をとすことをお奨めします。





<関連サイト>

「私の履歴書 復刻版 松下幸之助」
・・「日経 Biz アカデミー」サイト

"経営の神様" 松下幸之助氏が説いた「経営の要諦」- 「人が代われば組織も変えろ」 (日経ビジネス編集部、2014年9月1日)
・・1973年8月20日号よに掲載されたインタビュー記事の再掲する (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のもの。

「なにごとも、使命感がないと、あかんな」 悩み抜いた末に得た、生涯における悟り (江口克彦、東洋経済オンライン、2014年11月6日)
・・松下幸之助の側近であった江口克彦氏が幸之助から直接聴き取った「知命」の詳細が再現されている。天理教の本部での経験から得た悟りである。

ところが、こっちはチャンと値段をつけている、こっちのほうが、もっと大きくなってええのに、そうではない。あっち(=信者が無償で奉仕している天理教)の方が隆々としている。なんでやろうか、帰りの電車の中で考え続けて、ハッと気がついたんや。それは、こっちに使命感がないからや。向こうは、人間を救うという大きなもんがある。こっちにはない。それでは、商売する者の使命はなにか。そや、貧をなくすことや。この世から貧をなくすことが、わしらの使命なんや。そこで、悟ったんやな。それが、使命を知ったということで、昭和7年を命知元年ということにしたんや。(*太字ゴチックは引用者=さとう、カッコ内の注釈も)

松下幸之助は「宗教」をみて「経営」を悟った どうして宗教は盛大で力強いのか (江口克彦 故・松下幸之助側近、東洋経済オンライン、2016年6月10日)

(2014年9月1日、11月6日、2016年6月10日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

「経営理念以外、聖域なし」-松下電器(当時)の「中村改革」





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2011年11月17日木曜日

「ベトナム投資セミナー」 (国際機関日本アセアンセンター)が、2011年12月12日(東京)と13日(名古屋)に開催されます(入場無料)


 「ベトナム投資セミナー」 (国際機関日本アセアンセンター)が、2011年12月12日(東京)と13日(名古屋)に開催(入場無料)されることになりました。

 『日経ビジネス』最新号(2011年11月14日号)が、「VIP経済圏」(ベトナム・インドネシア・フィリピン)として特集しているように、ベトナムは進出先として検討する意味のある国といってよいでしょう。

 ベトナムは国土が南北に長く、ロジスティックスの観点からは問題がないとはいいませんが、若年人口が多く人口ピラミッドが末広がり型であるだけでなく、長く中華文明圏(儒教・道教・大乗仏教)のなかにあったために、その他の東南アジア諸国とは大きく異なり、勤勉で向上心が高いなど、日本との共通性も多い点は強調しておきましょう。

 ベトナムに現地進出を考えておられる方は、ぜひ最新の「投資情報」を知る機会として活用されることを推奨いたします。

 以下に、国際機関日本アセアンセンターによるセミナーの紹介文を転載いたします。


◇◇--------------------------◇◇
「ベトナム投資セミナー(東京・名古屋)」のご案内 
◇◇--------------------------◇◇

日本アセアンセンターは、ベトナム計画投資省他と共催で、東京・名古屋で「ベトナム投資セミナー」を開催いたします。

ベトナムは、中国に集中した生産拠点分散化の候補地として注目され、シンガポールをはじめ外国からの直接投資が増加しており、2010 年の外国直接投資額は、79 億ドル、日本からの投資額は、11 億ドルとなっています。2010 年は、6.78%の成長率を達成し、一人当たりのGDP は約1,200ドルになりました。金融危機の影響により製造業への大型投資は減少する一方で、不動産やホテル・飲食業など非製造業への投資が増加傾向にあります。最近のトレンドとしては、8,500万人の市場をターゲットにした企業の進出が進んでいます。

今回のセミナーでは、ベトナム計画投資省外国投資庁ド・ニャット・ホアン長官から基調講演を頂く他、ベトナムで操業されている企業の方より進出体験談をお話いただく予定です。
ぜひこの機会に、皆様の御参加を心よりお待ち申し上げております。

【東京会場】
日時: 2011年12月12日(月)13:30-16:30
会場: 帝国ホテル 本館中2 階 「光の間」
    東京都千代田区内幸町1-1-1  
参加費: 無料
詳細・お申込み: 
http://www.asean.or.jp/ja/invest/about/eventinfo/2011/2011-18.html


【名古屋会場】
日時: 2011年12月13日(火)13:30-16:30
会場: 名古屋商工会議所 3階 第5会議室
    愛知県名古屋市中区栄2-10-19        
参加費: 無料
詳細・お申込み: 
http://www.asean.or.jp/ja/invest/about/eventinfo/2011/2011-19.html


注)東京と名古屋で、それぞれ申込みフォーマットが異なりますので
ご注意ください。


<問い合わせ先>
日本アセアンセンター 投資部
TEL:03-5402-8006
-----------------------------

 なお、冒頭に掲載した写真は、住友商事の開発・運営によるハノイの日系工業団地「タンロン工業団地」です。Thang Long とは漢字で書けば「昇龍」のことです。現在ベトナムでは漢字は使用されていません。


<ブログ内関連記事>

ベトナムのカトリック教会
・・大乗仏教国ベトナムですが、フランスの植民地であったため、とくに南部にはカトリック人口もすくなからず存在します。人口の12%がカオダイ教、7%がカトリックです。アジアでは、フィリピン、韓国についでカトリック人口が多いことはあまり知られていません。

「フィリピン投資セミナー」 (国際機関日本アセアンセンター)が、2011年7月28日に開催(入場無料)




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2011年11月16日水曜日

書評 『人材は「不良社員」からさがせ-奇跡を生む「燃える集団」の秘密-』(天外伺朗、講談社+α文庫、2011、初版 1988)



 『人材は「不良社員」からさがせ-奇跡を生む「燃える集団」の秘密-』(天外伺朗、講談社+α文庫、2011)が再刊されました。

 初版が刊行されたのは 1988年ですから、いまからなんと 23年前になります。

 メインタイトルは同じですが、2011年版のサブタイトルは「奇跡を生む「燃える集団」の秘密」。23年前の初版では「画期的プロジェクト成功の奥義」。

 正式には、初版のタイトルは、『人材は「不良(ハミダシ)社員」からさがせ-画期的プロジェクト成功の奥義-』(ブルーバックス、1988)です。

 天外伺朗(てんげ・しろう)は、じつはソニーの上席常務までつとめた土井利忠氏のペンネームです。天外伺朗というペンネームでは、「気」や、オカルトめいた内容の本が出版されてますが、今回の再刊では、天外伺朗名義となっています。

 本書に登場する D博士とは誰か(?)というのは出版当時話題になりましたが、言うまでもなく土井博士のことですね。

 かつて、勤務先の金融系コンサルティングファームの会員向け情報誌に書いた「書評」がありますので採録しておきたいと思います。

 本の内容は「画期的」なものでしたが、中身は 23年前と「劇的に」変化しているわけではありません。


//////////////////////////////////////////////////
『人材は「不良(ハミダシ)社員」から探せ』

 何とも過激なタイトルである。中身はタイトルにもまして過激だ。ただ、これぐらいでないと本書のメインテーマである「画期的プロジェクトの成功」など考えないほうがよいのかもしれない。そういう意味では非常に厳しい内容の本である。

 本書は、画期的プロジェクト(本書では基本的にメーカーの技術開発を念頭に置いている)成功の条件を様々な側面から浮かび上がらせようとした試みであり、D博士(知る人ぞ知る)の聞き書きという形をとっている。D博士の語り口は実に熱っぽい。

 D博士は数々の画期的プロジェクト(CDプレーヤー、ワークステーションその他)を成功させてきた歴戦のツワモノである。組織内での研究開発のあり方、特にプロジェクーを失敗させる要因についての発言は、数々の体験に基づいたものであるだけに、きわめて手厳しいものがある。


 まず「失敗要件」を要約してみよう。

 ① 協調精神、② 「良い子」の存在、③ サロン化、④ 不明瞭な雰囲気、⑤ 船頭が多すぎる、⑥ マネジャーが邪魔をする、⑦ 上を向いて仕事をしている。

 組織風土としては良く見えるものも、実はプロジェクー遂行の上で阻害要因となっている場合があることが分かる。

 次に「成功要件」を見てみよう。ただし、これらはあくまでプロジェクト成功の必要条件であって、これをやればうまくいくという意味での十分条件ではない

 まず、個人的な条件として必要なのは、① プロのセンス、② 戦略眼、③ 強力な推進力・達成意欲、④ 感激する心、⑤ 頭の柔らかさ、⑥ 好奇心、⑦ 茶目っけ、⑧ 行動力、⑨ 問題提示能力、⑩ 問題(とくにトラブル)解決能力、⑪ その分野の専門知識、⑫ 向上意欲・積極性である。

 そして、プロジェクーを遂行するチームにとっての必要条件は、次のとおりだ。

① 目標は単純明快、センスが良く画期的で、ユニークであり、短期間で達成可能なこと。
② 人材たちの魂の底からほとばしる目標であり(高い志)、成功の直感がすること。
③ 一定レベル以上の人間集団(感受性、心の広さ、頭の柔らかさ、感激する心、好奇心、積極性、戦略の理解力)であること。
④ リーダーとフォロワーがはっきりしており感情的な抗争がない。また、専門が適度に分散している。
⑤ チームとして自律的に動ける。
⑥ 全体のムードは、ほどよく楽観的、ほどよく過激。力んでおらず、目がつりあがっていない。
⑦ 大問題が発生しても、ビックりしたりあわてたりしない。着実に解決策を出す。

 このように列挙してみると、すぐにでもできるような気もしてくるが、これがなかなか難しいことはプロジェクー経験(技術開発に限らない)のある方ならお分かりのことと思う。また、たとえ成功条件をクリアしたとしてもあらゆる方向(特に内部)から邪魔が入ってくる。第14章で D博士自身がいうように、「‥‥だから(画期的プロジェクトは)あまり人には勧められないのですヨ。だいたいはうまくいかないケースが多いですからナ。徒労が多く、消耗するのがオチです。もし、うまくいきそうになったとしても確実に背後から鉄砲で撃たれる」 のである。

 結局、次のような人間がリーダーとして存在することが不可欠なのだ。「・・画期的なプロジェクーを遂行するということは大変な闘いなんです。これを闘いと認識して闘いを楽しめる人には、すぼらしい喜びを提供するでしょう・・」

 自ら「不良社員」であることをもって任ずる社具のみならず(たんなる不良社員なら内容の厳しさにへキエキするだろう)、経営者・管理者のいずれもが読むべき本であると評者は確信する。

 新書版で200ページのボリュームだから、通勤電車の中で読める。だが、あくまでも「成功の奥義」の解説書であって、ハウツー物ではない。読み捨てにできない本である。

(K・サトウ)

(出典)『長銀総研エル』1988年12月号


 23年前(!)に、わたしが書いた文章ですが、とくに付け加えることはありません。この時点では、まだイヌ型ロボットの AIBO はまだ市場には登場していませんでした。

 このたびの文庫版では、活字も大きくなって 240ページになっていますが、この本は面白いのでぜひ読むことをお奨めしたいと思います。

 新版のまえがきで、著者は本書の内容がチクセントミハーイのフロー概念や、内発的動機理論にも合致したものであることを語っています。

 本書は、著者が40歳代の、まさに油に乗っているときに、現役の開発責任者として書かれたものだけに説得力があるのです。

 そうじゃなくても就活事情が悪化して萎縮してしまいがちな日本と日本人ですが、型破りのブレークスルーの製品開発には、いまな亡きスティーブ・ジョブズとまではいかなくても「不良社員」が不可欠

 道をはずれることを恐れず、回り道することを恐れず、「不良社員」を大いに活用したいものですね。かつてのソニーのように、大きな度量をもって。





目 次

D博士は酩酊して…(舞台は1987年、東京)
人材が「不良社員」になる理由
良い子シンドローム
人材は修羅場で育つ
人材のセンス
技術開発を支えた人材たち
燃える集団
チームづくり
マネージャーは鳥になれ!
人材の魂の底からほとばしり出る目標
20年前のソニーではみなこうやっていた!
上を向いて仕事をするな!
戦略は行動のスピードから生まれる


著者プロフィール

天外伺朗(てんげ・しろう 本名:土井利忠)

1942年、兵庫県生まれ。元ソニー上席常務。工学博士。1964年、東京工業大学電子工学科卒。ソニーに42年間勤務。その間、CD、ワークステーションNEWS、犬型ロボットAIBOなどの開発を主導した。現在は病院に代わる「ホロトロピック・センター」の設立推進などの医療改革や、企業経営者のための「天外塾」なども開いて経営改革に取り組むほか、教育改革へも手を拡げている。著書には『マネジメント革命』(講談社+α文庫)、『経営者の運力』『非常識経営の夜明け』( 以上、講談社)、『GNHへ』(ビジネス社)、『心の時代を読み解く』(飛鳥新社)、『般若心経の科学』(祥伝社黄金文庫)、『宇宙の根っこにつながる生き方』(サンマーク文庫)など多数(amazonより転載)





<ブログ内関連記事>

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ

『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク、大前研一訳、講談社、2010) は、「やる気=ドライブ」に着目した、「内発的動機付け」に基づく、21世紀の先進国型モチベーションのあり方を探求する本

「学を為すには、人の之れを強うるを俟たず。必ずや感興する所有って之を為す」 (佐藤一斎) -外発的なキッカケを自発性と内発的動機でかならずモノにする!

書評 『修羅場が人を磨く』(桜井章一、宝島社新書、2011)

「地頭」(ぢあたま)について考える (1) 「地頭が良い」とはどういうことか?

「地頭」(ぢあたま)について考える (2) 「地頭の良さ」は勉強では鍛えられない 


映画 『加藤隼戦闘隊』(1944年)にみる現場リーダーとチームワーク、そして糸川英夫博士
・・糸川英夫博士と厳しい風土と制約条件の多いイスラエルについても触れている

書評 『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダン・セノール & シャウル・シンゲル、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012)-イノベーションが生み出される風土とは?

書評 『「無分別」のすすめ-創出をみちびく知恵-』(久米是志、岩波アクティブ新書、2002)-「自他未分離」状態の意識から仏教の「悟り」も技術開発の「創出」も生み出される

(2014年8月27日 情報追加)






(2012年7月3日発売の拙著です)









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禁無断転載!



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2011年11月14日月曜日

【アタマの引き出し】のつくりかたワークショップを開催いたします (2011年12月8日)


 【アタマの引き出し】のつくりかたワークショップを開催いたします。

 もともとは、「営業パーソン」のために開発した「研修メソッド」を、一般向けに公開するワークショップです。

 営業テクニックに依存するのではなく、対人関係における 「人間力」 で勝負(!)という趣旨のもと、 「アタマの引き出し」 を増やして、 「対話力」 を身につけることを目的としています。

 内容は、ほぼ 8割がワークでレクチャーは2割のワークショップ形式ですので、眠ってしまう心配がないだけでなく、参加人数も20人と比較的少人数ですので、ワークショップをつうじて密接な交流も可能になります。

 わたしがファシリテーターとして進行役をつとめます。


■日時: 2011年12月8日(木)
■場所: 「コンファレンス銀座」
 東京都中央区銀座 6-5-13 JDB銀座ビル5F コンファレンスC 
 地下鉄銀座駅から徒歩2分、JR有楽町駅徒歩5分
■募集人数: 20人




 次に該当する方々にご参加いただけると幸いです。

「アタマの引き出し」の増やし方を身につけたい人
豊富な話題で営業に不可欠な 「人間力」 を高めたい人
部下の育成のお悩みの人
「会話力」を越えた「対話力」を身につけたい人
ファシリテーションの実際を体験したい人
ワークショップ最中の密接な交流が楽しみな人
ワークショップ終了後の交流会が楽しみの人


 ご興味のあるかたは、詳しくは facebookページのイベント紹介(☚ ここをクリック!)をご覧ください。

 ご質問、お問い合わせ、申し込みは ken@kensatoken.com まで

 今回は、前回より広めの会場を確保しましたので余裕があります。ぜひご参加ご検討くださいますよう、よろしく申し上げます。

 また、法人など組織向けにカスタムメイドの研修も実施しておりますので、詳しくは ケン・マネジメントのウェブサイト http://kensatoken.com をご覧ください。
 



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「カンボジア王国 投資(進出)セミナー」 のご案内 (2011年11月22日開催)


 カンボジア進出が本格的なブームになりそうな今日この頃ですね。

 そんな折り、「カンボジア王国 投資(進出)セミナー」が東京都内で開催されますのでご紹介します。


◇◇--------------------------◇◇
「カンボジア王国 投資(進出)セミナー」のご案内 
◇◇--------------------------◇◇

詳細→ http://www.kaigaiadvisers.jp/seminar/

この度、在日本国カンボジア大使館、(株)フォーバルの主催により、来る11月22日にカンボジア王国投資(進出)セミナーを開催する事となりました。
 カンボジアは近年、日系企業の進出が活発となってきている地域であり、本セナーでは、カンボジアの投資状況、既進出日系企業による進出準備体験談のほか、会計・税務面での講演も実施されますので、是非ご参加下さい。カンボジアでのビジネスに興味をお持ちの企業様をはじめ、多くの方にこの機会を活用いただけましたら幸いです。

■日時: 2011年11月22日(火) 14:00~16:45
■会場: 汐留ビル3F 東京都港区海岸1-2-20

■主催: 在日カンボジア大使館、(株)フォーバル
■後援: フジサンケイビジネスアイ、神奈川産業振興センター、神奈川県中小企業団体中央会、日本貿易振興機構(ジェトロ)

■プログラム:(予定、敬称略)
1)ご挨拶
 在日本国カンボジア大使館 ハオ・モニラット特命全権大使

2)基調講演
 「メコンにおけるカンボジア投資の魅力」
 特定非営利活動法人 元気な日本をつくる会 理事長 大久保 秀夫

3)「カンボジア経済特区」について
株式会社 フォーバル 海外事業グループ長 有賀 正宏

4)「カンボジアの会計・税務」
辻・本郷 税理士法人 国際税務部門 部長 八木 雄一

5)「カンボジア進出準備体験談」
 株式会社 スワニー 代表取締役 板野 司

6)質疑応答

■参加費: 無料
■お申込方法:
http://www.kaigaiadvisers.jp/seminar/を参照。
■お申込締切:2011年11月18日(金)
       ※ただし定員に達し次第締切とさせていただきます。
-----------------------------

 申し込み、問いあわせは上記サイトからお願いします。



<ブログ内関連記事>

「投資熱高まるカンボジアの可能性を探る」(大メコン圏ビジネス研究会・日本商工会議所)の勉強会に参加

「カンボジア投資セミナー」 (国際機関日本アセアンセンター)が、2011年6月2日(木)に開催 (入場無料)




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2011年11月10日木曜日

書評 『未曾有と想定外-東日本大震災に学ぶ-』 (畑村洋太郎、講談社現代新書、2011)


「未曾有」や「想定外」といったあいまいな「呪文」をクチにしない、させないために

 「失敗学」の畑中洋太郎氏が、「失敗学」と「危険学」の立場から、今回の「3-11」の大地震と大津波という「自然災害」、そして原発事故という「人災」をどう考えるかについて一般向きに書きおろした本です。

 「3-11」後、とにかく耳についたのが、専門家たちがクチにする「未曾有」と「想定外」というコトバでしたね。その分野の専門家ではないわたしたちにとっては、責任放棄としか聞こえないこのコトバに対して、著者もまた本書で厳しく批判しています。あいまいさのなかに本質を隠してしまう呪文のようなコトバだからです。

 「想定」の「枠内」であれば、手順さえ間違えなければ問題解決はそれほど困難ではありません。しかし、「想定」の「枠外」になるととたんに右往左往してしまうのが専門家です。

 想定外の事象にかんしては、その場その場でイマジネーションをフルに発揮して対応しなければならないからです。ここで専門家の限界が明らかになるわけですね。

 「想定」という枠の範囲を可能な限り拡げれば、ほぼすべての事象が「想定内」となるわけですが、実際問題、予算や時間など使える資源に制約がある以上きわめて難しいのです。「想定内」の問題解決はマニュアルでも対応可能なのですが、千年に一回しか発生ししない大津波を「想定内」として対処するのは、いくら予算があっても足りる話ではありません。つまりは非現実的ということ。

 「想定内」か「想定外」かは、「想定」どう設定するか次第です。そのためには問題設定が重要だということですが、とはいえ、時間の経過とともに「想定内」の枠をめぐる環境も変化することも忘れてはいけないと著者は注意喚起しています。

 思考停止状態にならないためには、つねにみずからシミュレーションという思考訓練を行っておく必要があるのです。もちろん、カラダもすぐに動けるようにしておかねばなりませんね。

 著者の指摘で傾聴に値するのは、自然と「折り合う」ことの重要性です。

 すべてを想定内とし、防潮堤で津波をすべて防ごうとして世界有数の防潮堤を建設し、鉄壁の守りと思われていた田老町のケースにおいては、今回の大津波であっけなく防潮堤が決壊し、想定外の被害がもたらされてしまいました。

 人間のチカラで自然と全面対決するのではなく、自然災害を「いなす」、「すかす」といった対応をとってきた、昔の人々の知恵に学ぶべきではないかという教訓です。

 これはある意味では、わたしが以前このブログでも書いた、経営計画の策定と実行は、「自力」と「他力」という仏教の考えをあてはめるとスムーズにいく にも通じる知恵かもしれません。

 あらためて気づくのは、こうした日本人の先人の知恵が、漢字語ではなく「いなす」、「すかす」のように「ひらかな語」だということです。

 漢字語や英語由来のカタカナ語は、いかにも近代科学的なニュアンスを感じさせますが、自然を征服できると考えてきた近代科学の限界を痛いほど知らされたのが、今回の「3-11」の大災害であったことは真剣に反省しておきたいものですね。

 コントロール可能な範囲は管理するが、コントロール不可能なものものについては、すべてを人間のチカラで支配できるという幻想を捨てて、起こるかもしれないことを想定したうえで事前にアタマの体操というシミュレーションを行い、いざ起こったときにイマジネーションをフルに働かせて臨機応変に対応するということでしょう。

 「天災」は、日本という国にいる以上、避けて通ることはできません。

 いや、たとえ日本の外にでても自然災害や人災から逃れることができないことは、今年の10月に本格化したタイの大洪水を考えてみればわかることです。むしろ海外のほうがホ-ムグラウンドではないアウェイであるだけに対処はより困難であると言うべきでしょう。

 文明が進めば進むほど、自然災害による被害は増大するだけでなく、たとえ一部の損害であっても、すべてがシステムのなかに組み込まれている以上、その被害はシステム全体に拡がる。これは「天災は忘れた頃にやってくる」と喝破した物理学者・寺田寅彦の考えですが、著者とともに深くかみしめる必要があるでしょう。

 真摯な反省の本として、一般のビジネスパーソンだけでなく、「専門家」と呼ばれる人たちにもぜひ読んでいただきたいと思います。





目 次

第1章 津波と未曾有
第2章 原発と想定外
第3章 日本で生きるということ


著者プロフィール

畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)

1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。2002年に NPO法人「失敗学会」、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。日本航空安全アドバイザリーグループ委員、JR西日本安全有識者会議委員、リコールの原因調査・分析検討委員会委員長などを務め。2011年6月より東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<ブログ内関連記事>

最悪の事態を「想定」する-人もまた「リスク要因」であることを「想定内」にしておかねばならない!

経営計画の策定と実行は、「自力」と「他力」という仏教の考えをあてはめるとスムーズにいく

「天災は忘れた頃にやってくる」で有名な寺田寅彦が書いた随筆 「天災と国防」(1934年)を読んでみる

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)

「ハインリッヒの法則」 は 「ヒヤリ・ハットの法則」 (きょうのコトバ)

書評 『リスクに背を向ける日本人』(山岸俊男 + メアリー・ブリントン、講談社現代新書、2010)




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2011年11月9日水曜日

「海外事業展開調査」国際協力銀行(JBIC) の海外投資セミナーが開催されます(2011年12月8日)


 海外投資セミナーの紹介です。国際協力銀行(JBIC:ジェイビック)による毎年恒例の「海外事業展開調査(海外投資アンケート調査)」結果の報告を兼ねた「海外投資セミナー」(会場:東京)を開催されます。

 以下、JBIC の案内を添付しておきます。

◇◇--------------------------◇◇
わが国製造業企業の海外事業展開(海外投資セミナー) 
◇◇--------------------------◇◇

国際協力銀行(JBIC)は、今回で23回目となる「海外事業展開調査(海外投資アンケート調査)」を企業の皆様のご協力を得て実施しました。調査結果は11月末を目処に公表を予定しておりますところ、調査結果のご報告を兼ねた「海外投資セミナー」(会場:東京)を下記要領にて開催致します。

本セミナーでは、毎年ご報告している「中期的海外事業展開見通し」や「有望事業展開先国・地域」など日本の製造業企業の海外事業展開の方向性に加え「インフラ事業の海外展開」、「震災後のサプライチェーンの動向」についてもご説明します。

また、一橋大学大学院MBA客員教授でもあるNPO法人 産学連携推進機構の妹尾堅一郎理事長をお招きし、「技術で勝る日本がなぜ事業で負けるのか―商品形態、事業業態、産業生態の次世代モデルが勝負を決める」のテーマでご講演頂きます。

日本の製造業企業が中期的な海外事業戦略をどのように考えているのか把握する機会として、皆様の海外事業展開のご検討の参考になれば幸いです。本セミナーに、是非とも多くの方々にご参加頂きたくご案内申し上げます。

 記

1.日時 2011年12月8日(木曜日) 14時00分~16時00分
2.場所 株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行 9階 講堂
  〒100-8144 東京都千代田区大手町1-4-1
  電話番号: 03-5218-3100
3.主催 株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行(JBIC)
4.協賛 一般財団法人 海外投融資情報財団(JOI)
5.参加費 無料
6.使用言語 日本語
7.プログラム(予定)
 1. 「2011年度海外事業展開調査」結果報告(JBIC国際業務企画室 調査課 課長 阿由葉真司)
 2. 「技術で勝る日本がなぜ事業で負けるのか―商品形態、事業業態、産業生態の次世代モデルが勝負を決   める」(一橋大学大学院 MBA客員教授 NPO法人 産学連携推進機構 妹尾堅一郎 理事長)

8.申込先 別紙の参加申込書(Word( DOC: 1.8MB)|PDF( PDF: 205KB))に必要事項をご記入の上、下記までファックスまたはメールにてお申込み下さい。
  (注:http://www.jbic.go.jp/ja/event/2011/1108-01/index.html
   から申し込みお願いします。
9.参加申込締切 2011年12月2日(金曜日)
※なお、会場の収容人数の関係上お断りすることもございます。

-----------------------------

 当日は、調査結果を分析した資料がもらえます。

 また、「技術で勝る日本がなぜ事業で負けるのか-商品形態、事業業態、産業生態の次世代モデルが勝負を決める」(一橋大学大学院 MBA客員教授 NPO法人 産学連携推進機構 妹尾堅一郎 理事長)という内容の講演は面白そうです。

 お時間のある方は、早めに申し込みされることをお奨めします。


<関連サイト>

わが国製造業企業の海外事業展開 海外投資セミナー(12月8日開催)(JBICのウェブサイト)
・・お問い合わせ、申し込みは、こちらのサイトから直接お願いします

わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告 2011年度海外直接投資アンケート調査結果(第23回)(2011年12月2日)




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2011年11月8日火曜日

「ポルシェのトラクター」 を見たことがありますか?


 ポルシェのトラクターを見たことがありますか?

 写真はポルシェの真っ赤なトラクターです。

 はい、あのスポーツカーで有名なポルシェのディーゼル・エンジンのトラクターです。ホンモノですよ。

 ドイツ南部のシュトゥットガルトにはポルシェ(Porsche)の本社工場と研究所がありますが、数年前に訪問したついでに、近くにあるポルシェの大型ショールームに展示されているものを撮影したものです。

 スポーツカーといっしょに展示されてますが、驚いているのは日本人のわたしだけで、地元の人たちは 「当たり前」 と受け止めているようでありました。

 調べてみると 50年前には日本にもポルシェのトラクターが輸入されて、日本の農村でも稼働していたようです。wikipedia 日本語版には、以下のような説明があります。

日本では、1962年から1966年にかけて井関農機が一部のポルシェトラクターを輸入販売し、その後ポルシェトラクターを参考に日本の気候や風土に合わせたヰセキオリジナルのトラクター「ヰセキトラクターTBシリーズ」を開発し、1964年に販売を開始した。

 うーむ、ポルシェとイセキ(ヰセキ)というのは、アタマのなかではなかなか結びつきませんねえ(笑) トラクターをつうじてポルシェとイセキに関係があったとは、まったく知りませんでした。

 1960年代半ば当時の日本では、まだスポーツカーとしてのポルシェのブランドイメージは確立していなかったでしょうか?

 しかし、よくよく考えてみれば、ポルシェはエンジンが命の自動車メーカーですから、ポルシェがトラクターを開発していても不思議でもなんでもありませんね。これはポルシェの企業博物館を見学するとよく理解できます。

 また、ドイツではむかしから扱っているので不思議でもなんでもないのでしょう。トラクターがポルシェのブランド価値を毀損(きそん)しているということは、すくなくともドイツではなさそうです。

 ホンダも芝刈り機(lawn moaner)をやっていて米国では有名ですし、トヨタもフォークリフトをやっています。農業関係者や物流関係者など、狭い業界内部では当たり前のことでも、一般人が知らないことは、けっこう多いものですよね。業務用と一般用の違いといってもいいでしょう。あるいは、B2B と B2C の違い。

 高級車の世界では、ホンダはアキュラ(Acura)、トヨタはレクサス(Lexus)というブランドを別途たちあげましたが、ポルシェのブランド戦略とはまったく異なることがわかります。

 おそらくこれは、自動車開発の歴史と密接な関係があるのでしょう。後発国の日本では、輸入代替から国内開発が始まりましたので、欧州と比べると自動車開発の歴史は短いだけでなく、一般車のイメージが固定していると、高級車ではそのブランドがそのままでは使えないということですね。

 日本ではポルシェというとスポーツカーといブランドイメージが定着していますから、ポルシェがトラクターもやっているということは、意外性をもって受け止められるかもしれません。

 北海道を除けば、農地面積がドイツのように広くない日本の風土には、かならずしもあってないかもしれませんが、かっこいいファーマー目指して、ポルシェのトラクターで耕作するのもいいかもしれませんね。





<関連サイト>

ポルシェ社 公式サイト(日本法人)


<ブログ内関連記事>

製品ブランドの転売-ヴィックス・ヴェポラップの持ち主は変わり続ける

「ブランド・ポートフォリオ」の組み替え-日立製作所 と LVMH にみる「選択と集中」

「風評被害」について-「原発事故」のため「日本ブランド」は大きく傷ついた




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2011年11月7日月曜日

書評 『「怒るお客様」こそ、神様です!-クレーム客をお得意様に変える30の方法-』(谷 厚志、徳間書店、2011)-「対話をつうじた問題発見」こそ、クレーム対応の要


「対話をつうじた問題発見」こそ、クレーム対応の要である

 クレームをキッカケに、クレーム客をロイヤルカスタマーにする方法について書かれた本です。

 重要なのは、ロイヤルカスタマーとリピーターは同じではないということ。低価格が目的のリピーターは、条件が変われば簡単にコロッと去ってしまうことがしばしばありますが、会社や商品に愛着をもってくれているロイヤルカスタマーは、頼みもしないのにクチコミをつうじて営業担当者になってくれるのです。

 とはいえ、クレームというものは、できれば受けたくないというのが人間の心情としては自然なものでしょう。誰だって文句言われてうれしい人はいない。わたしも、もちろん同じです(笑)

 じっさい、著者の前職場でも、クレーム担当者のストレスがたまるで、ガス抜きのための工夫を組織として行っていたようです。たとえ専門にクレームを専門に扱う担当者といえども、ココロのなかにたまった毒素は意識的に排出しておかなければ、自分のためにも家族のためにもならないからですね。カラダデトックス(毒素排出)と同じことですね。

 クレームからロイヤルカスタマーに変える方法といっても、アタマでは理解できても、なかなか実行は難しいものですね。まずは、クレームを受ける立場にある自分自身のココロのバリアを解除することが先決です。

 この本を読んでいて思ったのは、著者がそう言っているわけではありませんが、「対話をつうじた問題発見」こそ、クレーム対応の要であるということです。

 クレームをつけてくるお客さんは、話を聞いてほしいのです。自分の気持ちをわかってほしいのです。たんなる茶飲み話や雑談をしたいのではなく、真摯に対応してほしいのです。同情してほしいのではなく、「共感」してほしいのです。クレームの 80%は感情の問題だからなのです。

 つまりは、お客様は「対話」をもとめていることなわけですね。ですから、クレーム対応は「会話」ではダメ、「対話」にならないといけないのですね。

 この本は、そのための心構えや、使うべきフレーズ、使ってはいけないフレーズについて具体的に詳しく解説しています。

 何よりも実際のクレーム事例が面白い。当事者(=クレーム客とクレーム担当)にとっては真摯な対話なのですが、第三者的な立場で読んでいると、あまりにも理不尽で、笑ってしまうものも少なくありません。

 常識・期待値・価値観・・これらが当事者の双方でズレが発生しているからクレームが生じるのですが、これは事業者から見れば、このズレに気づくことができれば値千金というべきでしょう。

 クレーム客との真摯な「対話」をつうじて真因が発見できれば、あとは適切なフレーズを使ってクロージングにもっていくという方法論の問題となります。

 敵を味方に変える「対話術」は、最近では国際紛争解決においても利用されるようになっています。

 流血の事態にまでいたる国際紛争に比べたら、クレーム客の対応はそれほど困難なものとはいえないですよね。

 この本を読んだら、あとは「対話術」を磨くために実践あるのみです!





目 次 

第1章 「クレーム客」が「お得意様」になる理由
第2章 お客様の怒りは 90%笑いに変えられる
第3章 効果バツグン!クレーム対応の5ステップ
第4章 クレーム客を「10年客」にしてしまう魔法の言葉集
第5章 ご法度!やってはいけないNG対応
第6章 想定外!こんなときどうする?
第7章 想定外!「10年客」はこうして生まれる
第8章 お金をかけないサービスこそが「10年客」を喜ばせる


著者プロフィール

谷 厚志(たに・あつし)

クレーム・コンサルタント。学生時代から関西を拠点にタレントとして活躍。しかし大手新聞社の新創刊記念パーティーの司会でメインスポンサーの社名を間違えるという大失態をおかし、芸能界を引退。その後、広告会社を経て、2006年よりリクルートに移籍し、グループ会社のコールセンター、CS推進室クレーム対応責任者を歴任。2,000本以上のクレーム対応に接し、独自の「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立、売り上げを驚異的に伸ばす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。



<ブログ内関連記事>

書評 『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(宗次徳二、日経ビジネス人文庫、2010 単行本初版1995に改題加筆)
・・顧客アンケートを読み込んでクレームから気づきを得る

「マイナスをプラスに変える方法」-『なぜか、人とお金がついてくる 50の習慣』(たかの友梨、フォレスト出版、2011) 「出版記念講演会」 に行ってきた

コンサルタントの仕事は「対話」をつうじて問題を発見すること





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2011年11月4日金曜日

「ゆでガエル症候群」-組織内部にどっぷりと浸かっていると外が見えなくなるだけでなく、そのこと自体にすら気が付かなくなる(!)というホラーストーリー


 人間というものは、悲しいかな、ずっと内部にいると外部の常識がわからなくなってきます。恐ろしいことは、内部にいるとそのこと自体が、わからなくなっていることに気が付かないのですね。

 これはかつて「ゆでガエル症候群」とよばれたものです。

 「ぬるま湯」に浸かっているカエルは、徐々に温度を上げていっても気が付かず、ついには茹で上がってしまうという笑い話です。ほんとうにそんなことがあるのかどうか、実験してみたことがないのでわかりませんが(笑)

 いま問題になっているマスコミ不信も、高給取りの大新聞社やその系列テレビ局の組織は「ぬるま湯」に浸かっていて、世間の常識とはかけ離れていることもその原因の一つかもしれません。

 「ぬるま湯」がすでに沸騰していることに気が付かないまま、茹で上がってしまっているのでしょうか? 世間がマスコミを見る視線がきわめて厳しくなっているのに。

 たとえ個人的には志(こころざし)の高い記者であっても、最前線の現場を離れて管理職になると、組織の論理にからめとられてしまうようですね。

 これは新聞社やテレビ局だけでなく、官僚組織も同じでしょう。民間でも大企業組織は官僚組織そのものですね。銀行組織もまた同じであることは、銀行の関係会社であった金融系コンサルティング会社に身を置いていて、ごく身近で観察してきたわたしにはよくわかります。

 いま立て続けに発生している一部上場企業のガバナンス不全状況もまた、おなじ現象であるような気もします。外部の風が冷たいことに、ようやく気がつき始めたのではないでしょうか。タイミングとしては遅きに失したということでありますが。


「ゆでガエル症候群」は、組織の問題であり、また個人の問題である

 たとえ個人的には志(こころざし)の高い人であっても、知らないうちに組織の論理に囚われてしまっていることとは、それだけ組織のもつチカラというものは大きいことを意味しています。

 もちろん、個人のチカラには限界があります。だからこそ、少しでも大きな仕事をするためには、個人の集団である組織の存在意義があるわけです。

 どんな組織でも、最初はベンチャーだったのです。一人あるいは少数の人間の強い意志ではじめた事業が発展するにしたがって組織として体制を整えていく。しかし、組織が整備されていくと、組織の意思が個人の意思を上回って働くようになってくる。

 組織にしたがって、流されて生きていくのは、ある意味では気楽なことです。余計なことを考えなくても済むからです。平時なら、まことにもってすばらしいことですね。

 しかし、いったん有事になった際、いままでのルールがすべて変わってしまうとき、組織はみずからの生き残りのためになりふり構わぬ本性をあらわすものです。そのとき、果たして個人はそのまま「ぬるま湯」に浸かっていられるかどうか? そして組織自体も外部環境の大変化のなか、「ぬるま湯」に浸かっていあられるのかどうか?

 すでに「有事」になっている日本ですが、日本以外の世界もまさに「有事」のまっただ中にあります。タイの大洪水、ヨーロッパの金融問題 etc.etc.

 このような「有事」においては、「平時」以上に、個人のミッションを組織のミッションをいかにすりあわせていくことが、組織力をフルに発揮していくうえでが、ひじょうに重要な課題となってきます。

 これができれば百人力ですが、個人の価値観の変化に組織が追いつけなくなってくると、歯車がかみ合わなくなってきて、当然のことながら生産性も落ちてきます。

 もちろん、個人と組織は別物ですから、完全に一致することがそもそもありえません。「対話」は絶対に不可欠ですが、お互いイヤなのに我慢し続けには限度というものがあるでしょう。組織からみれば、価値観のあわない個人には辞めてもらうこともできますし、反対に価値観があわなければ組織を去るという選択肢も個人の側にはあります。

 「ゆでがえる」状態の上司が、世間の厳しい風を現場で感じている部下の価値観の変化に気がついていないことが、あなたの身の回りにもありませんか? 「3-11」後に、じわじわと目に見えない形で個人の価値観が変化しつつあることに気がついていますか?

 あなたがいる組織では「ゆでがえる症候群」が発生していませんか? いや、あなた自身が「ゆでがえる」になっていませんか?

 ときには外気に身をさらし、外部の空気を胸一杯に吸い込んで寒い思いを味わってみることも必要でしょう。それは、個人にとっても組織にとっても、お互いにとっていい関係であるためには必要なことですから。

 個人だけでなく、組織も「ゆでがえる」にならないようにしなければなりませんね。完全にゆであがってしまってからでは遅すぎるのです。



P.S. 上掲画像は、wikipedia 英語版の項目 boiling frog(ゆでがえる)からとりました。


<ブログ内関連記事>

いかにして異なる業種業界や職種間、また組織内の異なる機能間で「共通言語」と「コンテクスト共有」によるコミュニケーションを可能とするか

「3-11」後の個人の価値観の変化に組織は対応できていますか?-個人には「組織からの退出」というオプションもある

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか

「個人と組織」の関係-「西欧型個人主義」 ではない 「アジア型個人主義」 をまずは理解することが重要!

『グローバル仕事術-ニッポン式ビジネスを変える-』 (山本 昇、明治書院、2008) で知る、グローバル企業においての「ボス」とのつきあい方

(2014年8月29日 情報追加)





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2011年11月2日水曜日

コンサルタントの仕事は「対話」をつうじて問題を発見すること


 イタリア車のフェラーリなどのデザインを担当した、世界的な工業デザイナー奥山清行氏と経営学者・野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)との「対話」での奥山氏の発言に、ひじょうに示唆のとんだものがあることを発見しました。

 奥山氏は、「デザイナーの仕事はコンサルタントだ」と指摘したあとにつづけて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すことが(デザイナーの)仕事なのです」と述べています。

 これこそまさに的確な指摘。デザイナーの仕事をつうじて、コンサルタントの仕事を語ってもらったという思いがします。

 わたし自身、金融系コンサルティング・ファームを卒業してから、中小企業のナンバー2として、実業の世界に7年ほどいましたが、コンサルタントなどの外部「専門家」 と 「当事者」 であるクライアントとは、そもそもが異なる存在であることをつよく体感しました。コンサルタントを受ける側の立場に身を置くことによって、ふたつの異なる方向の発想を体感することができたからです。この件については、すでにこのブログでも
「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか と題して書いてみました。

 コンサルタントは「専門家」なので専門的なアドバイスをしますが、それを受け入れるかどうかはあくまでも「当事者」であるクライアントが、主体的に取捨選択して意志決定するもの

 専門家のアドバイスが意味をもつのは、クライアントとの 「対話」 をつうじて、「本人もまだ気づいていない問題を洗い出すこと」ができたときだといえます。

 クライアントがすでに気がついている問題は、部分最適の考えに基づいて外部にアウトソースすることも可能でしょう。それを専門にしているコンサルタントや士業やのかたがたも多く存在します。

 わたしは、あくまでも 「対話をつうじての問題発見」 を重視したコンサルティングを行ってきました。専門的アドバイスの前にコーチングによって問題発見を促すことにも似ていますが、誘導形式ではない、さらにもっと深いレベルの「対話」を重視しています。

 デザイナー奥山清行氏の発言は、コンサルタントの本質を語ってくれたものと考えるのは以上の理由です。

 デザインもコンサルティングも、あくまでも 「対話」 をつうじたクライアントとの共同作業であるのは、本質的に同じなのです。 



<関連サイト>

奥山清行氏×野中郁次郎氏 対談 7/9「創造の作法」


<ブログ内関連記事>

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか
・・内部の「当事者」であるクライアントと外部の「専門家」は「対話」をつうじて共通認識をもつことを前提にした共同作業を行う


書評 『経営管理』(野中郁次郎、日経文庫、1985)
・・「ナレッジ・マネジメント」で世界的な権威となった野中郁次郎氏の原点ともいうべき一書







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2011年11月1日火曜日

「専門家」は何も分かっていない?-いかにして 「当事者」 は 「専門家」 を使いこなすべきか


 「S・ジョブズ氏から学んだこと--G・カワサキ氏が得た12の教訓」という翻訳記事が CNET Japan に掲載されています。

 スティーブ・ジョブズが亡くなっていろんな人が回想を書いていますが、実際にジョブズの下で働いた人の回想は耳を傾けるべき価値があるものが多いですね。

 日系米人のコンサルタントで、元アップルのエヴァンジェリスト(伝道師)でもあったガイ・カワサキ(Guy Kawasaki)もまたそんな一人です。

 ガイがあげている「12の教訓」はランダムなものですが、どんなものか項目だけでも見ておきましょう。

1. 専門家は何も分かっていない
2. 顧客は自分のニーズを伝えることができない
3. 次のカーブまで飛ぶ
4. 大きな試練が最高の仕事を生む
5. デザインは重要
6. 大きなグラフィックと大きなフォントを選択すれば間違いない
7. 心変わりは知性の表れ
8. 「価値」と「価格」は違う
9. 一流のプレーヤーは超一流のプレーヤーを雇う
10. 本物の最高経営責任者(CEO)はデモをする
11.本物のCEOは製品を出荷する
12. 詰まるところ、マーケティングとはユニークな価値を提供すること
ボーナス:実現のために信じさせる必要があることもある


 さすがカリスマのジョブズのものらしく一般人にはマネしにくいものが並んでいますね。

 ひとつひとつの項目を読んでいくとアタマでは納得できるものばかりですが、ハードルはじつに高い。理解することと、実行に移すのは別物です。Knowing-Doing Gap があります。「知るは易し、行うは難し」ですね。


「専門家」と「当事者」では、コミットメントの深さと質が異なる

 ここでは、冒頭にあげられている「1. 専門家は何も分かっていない」について、「専門家」の立場から取り上げて考えてみたいと思います。

 ガイ・カワサキはこういってます。 

1. 専門家は何も分かっていない

専門家、すなわちジャーナリストやアナリスト、コンサルタント、銀行家、権威者たちは自分では何も「なし得ない」ので、「アドバイス」をする。専門家は製品の欠点を指摘することはできるが、偉大な製品を作り出すことはできない。専門家は何かを売る方法について語ることはできても、自分自身でそれを売ることはできない。専門家は素晴らしいチームの作り方を説明することはできるが、自分たちが管理できているのは秘書1人だけだ。例えば、1980年代中ごろ、専門家は、「Macintosh」の2つの最大の欠点はデイジーホイールプリンタのドライバと「Lotus 1-2-3」がないことだと指摘した。別の専門家からは、Compaqを買収しろという貴重なアドバイスをいただいた。専門家の意見には耳を傾けよう。だが、それを常に聞き入れてはいけない。


 「専門家、すなわちジャーナリストやアナリスト、コンサルタント、銀行家、権威者たちは自分では何も「なし得ない」ので、「アドバイス」をする」・・これはわたしのような「専門家」には、なかなか耳の痛い、しかも的確な指摘です(笑)。

 ただし、これは「専門家」だからというよりも、「当事者」ではないから「自分では何もなし得ない」と解釈するのが正しいのではないかと思います。ガイ・カワサキが言及しているのは「外部の専門家」のことですね。ただ、面倒なので、以下も「専門家」としておきましょう。

 アドバイスを受ける側が「主体的」に判断して、提言内容から取捨選択するのは当然です。それが、「当事者」というものです。提言内容を実行するということは、結果責任と説明責任がともなうからです。言われたことをそのまま実行できる場合とできない場合があり、その見極めと判断を行うのは、あくまでも実行する側にあることは言うまでもありません。

 「当事者」性が高いか低いかは、コミットメントの度合いによって測ることもできるでしょう。アドバイスする側も、意識としてはコミットメントが深いと思っていても、実行する側のコミットメントは意識だけではなく、行為にかかわるものですから、その度合いは深さも質も異なります。


「専門家の目」は「外部の目」。「当事者の目」は「内部の目」。同時にもつのはきわめて難しいからこそ必要なのは「対話」

 わたしがかつてコンサルファームにいた頃、なぜいくらいい提言をしてもクライアント企業はそのまま採用しないことがあるのか、欲求不満とともに疑問に感じていました。「自分ならそのまま実行するのに」と、歯がゆい思いです。

 ところが、攻守入れ替えて、自分が中小企業の取締役経営室長として「ナンバー2」になったとき実感したのは、「たしかにそれは正しい提言なのだが、内部事情を詳しく熟知している者としては、100%そっくりそのまま受け入れるわけにはいかない」というものでした。

 現在、ふたたび「専門家」として提言する側に回っていますが、いったん「当事者」のポジションを体験していますので、双方の立場がよく理解できます。「専門家」と「当事者」は問題を共有したとしても、立ち位置が組織の内外で異なる以上、見解が 100%完全に一致することはきわめてまれなだけでなく、180度対立することも多々あるものなのです。

 組織の「内部の目」と組織の「外部の目」を同時にもつことは、きわめて困難なことです。内部にいるとディテールはわかるが全体が見えにくい、外部から見ていると全体はわかるがディテールには目がいきにくい。
 
 この両立しがたい二つの異なる視点、これは、「専門家」と「当事者」で分担するのが望ましいのではないかと思います。

 ただし、「専門家」と「当事者」のあいでには、共通理解に基づいた「対話」が成立しなければ、共同作業は不可能です。平行線をたどったままでは、まるで縁のない存在となり何者も生み出しません。

 こういう観点から、「専門家」をうま使いこなす「当事者」が必要ですし、逆にいえば「当事者」の立場を理解しながらうまく使われる「専門家」の存在が必要だといえるでしょう。

 うまく使われる立場の「専門家」としては、「当事者」には「専門家」をうまく使いこなすワザをぜひ身につけてほしいと願ってやみません。



<ブログ内関連記事>
 
「生兵法は怪我のもと」-トップリーダーにあるまじき「愚行」とは?
・・原発事故に際して、専門家きどりで意志決定を行った当時の首相についての感想

経営計画の策定と実行は、「自力」と「他力」という仏教の考えをあてはめるとスムーズにいく




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