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2010年5月20日木曜日

「バンコク騒乱」について-アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性

        
 みなさんお元気ですか。

 こんにちは、ケン・マネジメントの佐藤賢一(さとう・けんいち) です。

 本日も時事ネタを扱いながら、B&M(ビジネスとマネジメント)の観点からコメントを加えていきたいと思います。

 では、本日のテーマは、今回の「バンコクの騒乱」についてです。
 アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性について、あらためて考えたいと思います。


「バンコク騒乱」の終結とその余波
               
 昨日(2010年5月19日)バンコク市内の騒乱状況は、最後通牒のあと行われたタイ陸軍治安部隊による強制排除作戦によって、「赤組」幹部は投降し、市内の占拠状態は終了した。

 しかしながらその後も「暴徒化したデモ隊」が ISETAN の入っている Central World が焼き討ちされ黒煙を吐きながら炎上した。暴徒が乱入し、略奪を行っているという情報もある。

このほかにも証券取引所(SET)や金融機関も放火され、地方都市でも焼き討ちが飛び火している。政府寄りとされる財閥CPグループ傘下の「セブンイレブン」(合弁企業)は、破壊と放火の対象になっている。商業銀行ではバンコク銀行(BBL)が標的とされているようである。
 このため「夜間外出禁止令」(curfew)がだされ、金融機関も活動停止状態になっている。
 タイ政府が発表しているように、「赤組」内部に「テロリスト」あるいは「外国人傭兵」が紛れ込んでおり、こうした者たちが「暴徒」を扇動したことの蓋然性は高いと思われる。

 私は、「タイ・フェスティバル2010」 が開催された東京 と「封鎖エリア」で市街戦がつづく騒乱のバンコク(2010年5月17日付け)と題したブログ記事において、地方の農民層を主体とした「赤組」にやや同情しないでもないような内容の文章を書いているが、タイ国内に激しい格差が存在し、低い「身分」に置かれている農民層が目覚めたことは間違いないことだ。彼らの多くが、出稼ぎ先の首都バンコクで貧困層として差別されてきた。
 しかし、こうした農民層の怒りにつけ込み、暴力によって「国家転覆」(?)を目的とした外部勢力が紛れ込んでいる可能性が否定できないように思われる。タクシン以外に背後にいかなる勢力がいるのか、さまざまな憶測が飛んでいるが、私には検証のしようがないので、断定的なことは書くことができない。

 混乱が拡大すると、必然的に外部勢力の浸透を誘発しやすいのは、古今東西変わることはない。とくに比較的「ゆるい」タイのことである。かつてベトナム戦争当時、「国際スパイ都市」といわれたバンコクのことでもある。アルカーイダの海外ネットワークの重要な拠点ともいわれるバンコクのことである。なおさら、さまざまな勢力が跋扈しやすい素地があるといえる。

 今回の騒乱によって、対処療法には明らかに限界があることが示された。根本的な問題に対応するために、タイは国家として、抜本的に社会政策を見直さなければならないであろう。間違いなく多くのタイ国民が問題のありかに目覚めたはずである。


日本企業と日本人ビジネスパーソンにとっての教訓

 以上はタイの内政問題であるが、ビジネスパーソンとしては、クライシス・マネジメント(危機管理)の立場からこの問題を捉えなくてはならない
 日本語で「危機管理」と表現することが多いので、リスクマネジメントと誤解している人が多いのだが、クライシス・マネジメントは、自然災害、誘拐事件そして脅迫、テロなどの「不測の事態」が発生したときに、混乱する状況のなかでいかに対応するかという問題にかかわるものである。

 今回の「バンコク騒乱」はまさに、海外ビジネスの難しさ、負の側面を痛感させられる事件となっている。
 「閉鎖エリア」内にオフィスを構えていた日系企業は、臨時オフィスでの業務を余儀なくされている。市内交通の混乱、金融機関の活動縮小停止など、ビジネスに与える影響はきわめて大きい。
 また焼き討ちにあった商業ビルの損害など、果たして保険でどこまでカバーされるのか、これもまた暴動、内乱などの「不可抗力」(force majeure)であるだけに、きわめて疑問である。政府による損害補償も限界はあろう。

 2010年のタイ経済は、第一四半期のパフォーマンスが景気回復の兆候を示していただけに、今回の騒乱のダメージは計り知れない。
 クライシス・マネジメント体制が出来上がっている大企業とは異なり、中堅中小企業の対応は万全といえるだろうか、という問題意識である。

 そもそも日本人のマインドセットは、「マイペンライ精神」のタイ人ほどではないが、「まあ、なんとかなるさ」という「お気楽意識」が強すぎる。
 「いまそこにある危機」に鈍感すぎるのではないか。
 日本にある本部は、現地感覚をどこまで理解できているだろうか。イマジネーションに欠けるところはないか?

 どうも事業のコスト削減に意識が集中しすぎて、安全面でのコストを軽視しがちな傾向がありはしないだろうか?
 何事もバランスが不可欠である。リスクマネジメントの観点から保険さえかけておけばそれで終わりという話ではない。
 アジアでは過去にも、1997年のアジア金融危機後の「ジャカルタ暴動」(インドネシア)などが発生したことは記憶に新しい。
 自社ビジネスを展開する進出国の現地状況を、どこまで理解して事業経営に取り組んでいるのだろうか。一度じっくりと考えてみてほしい。


 あらためて、このクライシス・マネジメント問題についての注意喚起を行いたい。




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(2016年7月3日 情報追加)





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